映画評「ダイ・ハード/ラスト・デイ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督ジョン・ムーア
ネタバレあり
第1作のスタイルに拘らなければ、スパンを置いて作られた第4作はデジタルVSアナログを強調して割合面白く観られた。それに続く本作はどうであろうか。
ロシアで逮捕された息子ジャック(ジェイ・コートニー)に助け船を出すべくモスクワに降り立ったジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が、財界の重要人物コマロフ(セバスチャン・コッホ)を脱獄させる任務を帯びてわざと逮捕されたCIAエージェントの正体を現した息子の作戦を邪魔した結果、核兵器を巡るロシア政財界大物同士の卑劣な知能戦に巻き込まれてしまう。
というお話で、モスクワに到着早々華美もここに極まれりのカー・アクションが繰り広げられる。本当の車を最大限駆使した(ように見える)アクション自体は悪くないが、カット割りがまずい。
続いて多重の裏切りが判明した中盤を経て、大悪党と判明したコマロフ一族をけちらそうと仲の悪かった父子が手を組んで奮闘する。
不運にも事件に巻き込まれるという形だけは踏襲しているものの、マクレーンの人物像がぶつぶつ文句を言いながら難問をこなす一介の刑事からマッチョなヒーロー像に変わっている為、第1作に惚れ込んでいる方々はここに文句を言われる。
僕はその点は譲って良いと思っているが、98分という比較的短い尺に見せ場を詰め込んでノンストップ・アクションという形式にしても、ここまでシーンの繋ぎが下手だと盛り上がるものも盛り上がらず、どうしてもB級映画的になってしまう。やはり並の脚本家(スキップ・ウッズ)とジョン・ムーアのような中堅監督ではもう少し緩急をつけるオーソドックスな手法を取った方が無難である。ノンストップを面白く見せられる腕前のある監督は、良い脚本に当たった時のスティーヴン・スピルバーグくらいしか今の現役の中では見当たらない。
確かにこのシリーズ、なかなか死なない。但し、質としては死に体。
2012年アメリカ映画 監督ジョン・ムーア
ネタバレあり
第1作のスタイルに拘らなければ、スパンを置いて作られた第4作はデジタルVSアナログを強調して割合面白く観られた。それに続く本作はどうであろうか。
ロシアで逮捕された息子ジャック(ジェイ・コートニー)に助け船を出すべくモスクワに降り立ったジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が、財界の重要人物コマロフ(セバスチャン・コッホ)を脱獄させる任務を帯びてわざと逮捕されたCIAエージェントの正体を現した息子の作戦を邪魔した結果、核兵器を巡るロシア政財界大物同士の卑劣な知能戦に巻き込まれてしまう。
というお話で、モスクワに到着早々華美もここに極まれりのカー・アクションが繰り広げられる。本当の車を最大限駆使した(ように見える)アクション自体は悪くないが、カット割りがまずい。
続いて多重の裏切りが判明した中盤を経て、大悪党と判明したコマロフ一族をけちらそうと仲の悪かった父子が手を組んで奮闘する。
不運にも事件に巻き込まれるという形だけは踏襲しているものの、マクレーンの人物像がぶつぶつ文句を言いながら難問をこなす一介の刑事からマッチョなヒーロー像に変わっている為、第1作に惚れ込んでいる方々はここに文句を言われる。
僕はその点は譲って良いと思っているが、98分という比較的短い尺に見せ場を詰め込んでノンストップ・アクションという形式にしても、ここまでシーンの繋ぎが下手だと盛り上がるものも盛り上がらず、どうしてもB級映画的になってしまう。やはり並の脚本家(スキップ・ウッズ)とジョン・ムーアのような中堅監督ではもう少し緩急をつけるオーソドックスな手法を取った方が無難である。ノンストップを面白く見せられる腕前のある監督は、良い脚本に当たった時のスティーヴン・スピルバーグくらいしか今の現役の中では見当たらない。
確かにこのシリーズ、なかなか死なない。但し、質としては死に体。
この記事へのコメント
シリーズ化してもじり貧にはならなかったのはロッキーでしょうか。シナリオが書けるスタローンは才気があります。
さすが、ハリウッドとうか・・・ロシアがよく許したものと感心しました。
プーチンが、オープンさを強調しようとしたんでしょうかね。
細か所を言っていればきりがありませんが、それなりに楽しみましたよ。
最近のようにめったやたらに長くないのもよかったですね。
グチをいう役回りは息子の役割になったようですね。(笑)
いつもTBありがとうございますm(__)m
遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。
この映画、「質としては死に体。」
だと思いますね(笑)
『ダイ・ハード』の本質を見失っているような気がしました。
本年もよろしくお願いいたします。
第一作は、主人公がぶつぶつ言いながら対処するのが面白くなった最大の所以であったので、アクションだけを強調した第二作以降は本来の面白さがなくなったわけですよね。
とは言っても、第2作はサスペンスとしてなかなかよく出来ていると思ったのも事実ですが。
しかし、この第五作は見せ場を盛り込みすぎて、却って軽くなってしまった。
>スタローン
演出力でも、「ロッキー・ザ・ファイナル」では、ジョン・G・アヴィルドセンを勉強した跡が伺えて好印象でした。第2作より監督としての腕前を明らかに上げていました。
アメリカ映画は大作とそうでない作品がすみわけが完全に進んでいて、僕は喜んでいるんですよ。
それと比較して、日本の、特にTV局がどこかで絡んでいる作品の必要を超えて長いこと長いこと。韓国映画も長い。
後でデータを取って出す予定であります。
本作、「ダイ・ハード」シリーズと思わずに観ればコンパクトで退屈させませんね。しかし、アメリカ映画の核の扱いはどうにかなりまへんか(笑)
新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
いつもTB貼り逃げで恐縮です。
見せ場が多すぎて遊びがないのも物足りなく感じられることがあるということがよく解る作品と思います。
短いので退屈はしませんでしたが、仰るようにもはや「ダイ・ハード」ではない感じがします。