映画評「ジャッキー・コーガン」

☆☆(4点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督アンドリュー・ドミニク
ネタバレあり

冗長である欠点は認められながらも映画として惹かれるものがあった「ジェシー・ジェームズの暗殺」を作ったアンドリュー・ドミニクが再びブラッド・ピットを主演にこしらえた犯罪映画。

殺し屋ピットが、賭場を営む組織の連絡員リチャード・ジェンキンズに頼まれて殺しをこなす、というお話は一応あるが、本作の言いたかったことはピットの最後の台詞に尽きる。要約すると、こんな感じだろう。

「福祉や保証のないアメリカは国の体をなしていず、全てがビジネス即ち金」。

背景になるのは大統領がブッシュからオバマに変わる2008年、即ちサブプライムローン問題からリーマン・ショックが起こる時期に当たる。映画はそれを犯罪映画の形で描いているわけで、問題を起こした当事者たちの代りに関与していないのに責任転嫁された者(レイ・リオッタ)が処分されるのは、本来責任を問われるべき政財界の大物(個人・企業)がのほほんと生き残った象徴である。

しかし、最後のこの台詞を聞かせたいが為にクエンティン・タランティーノばりの駄弁を90分も聞かされるのはたまったものではない。脚本も書くドミニクは冗長になる傾向が確認されたから今後観る時は気を付けないといけない。

僕も2007年のサブプライムローン問題の発覚時点で対応していたら、損ぜずに済んだのだがなあ。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年01月19日 07:52
殺し屋ビット・・・長いシリーズの小説だった気がしますが・・・勘違いかな?
最後のセリフは納得ですな。
”馬い話には裏がある”であります。午年の教訓でありますね。
オカピー
2014年01月19日 17:31
ねこのひげさん、こんにちは。

お金はとにかく面倒くさいですね。もう懲りました。
新しい話は飛びつかないことにします。
“馬い話”に見事にひっかかった小生であります。

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