映画評「遺体 明日への十日間」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・君塚良一
ネタバレあり

現在かなり憂鬱なのだが、この映画を見れば僕などはまだ良いほうなのだと思う。人間への不信も多少払拭できそうな気さえする。

3・11は個人的にも忘れられない出来事であった。どうも気分のすぐれなさそうな気丈な母を目にしながら、計画停電とガソリン不足を理由に病院へ連れて行くのを4月に延ばし、結果、地震から丁度30日後の4月10日に亡くなった。三月の時点では既に遅かったのかもしれないのだが、「あるいは」ということも考えられる。とにかく、自分の罪悪感を軽減しようと東京電力に罪を擦り付けているのである。

本作は、3・11の震災により亡くなった人々にボランティアとして接する、葬儀屋に勤めていたこともある民生委員(西田敏行)を中心に、歯のデータを取る歯科医(柳葉敏郎)や内科医あるいは小児科医(佐藤浩市)、市役所職員(筒井康隆、志田未来)の活動を真摯な態度で再現した実話である。
 そこに映画としてどうのこうのといった余地は殆どない。敢えて言えば、「誰も守ってくれない」のような一見よく出来ているがかなりおためごかしで、かつ、非常に神経にさわるカメラワークの映画を撮った君塚良一監督と柏野直樹撮影監督がかくも素直なタッチで映画にしたことに敬意を払いたいということである。採点も便宜的なもので、どうでも良い。

西田敏行だけがややオーヴァーアクトだが、そんなこともどうでも良いという気になる。日本人なら一度は見る価値があると思う。

2011年は終わりの始まりだったのか。僕の見解では、2013年日本は終わった。福沢諭吉は言っている、民間では優れた人物も政治家になると愚者になるケースままあり、と。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年01月03日 06:30
政治家になると愚者になる・・・・猪瀬、橋下に聞かせてやりたい言葉ですな~
福沢諭吉は北里柴三郎に土地などを与えて援助して北里研究所を創設させたそうで、そののち慶應大学に医学部が作られた時、やめるまで無給で北里は部長を務めたそうであります。

まあ、メゲないで行きましょう。
すこしは希望の火はあるということで。
オカピー
2014年01月03日 17:41
ねこのひげさん、こんにちは。

福沢諭吉は、その言の大半が西洋思想の受け売りとは言え、その良い部分をバランスよく吸収して日本流にうまく咀嚼したと思いますね。
僕はまだ初心者なので細かい逸話をよく知らないのですが、非常に興味をそそられる人物です。

>猪瀬
また民間人になりましたから(笑)

>希望
昨日楽観的な姉が遊びに来て、その精神に触れて、かなり気が楽になったところです。
大学の学費を親に代わって出してくれた姉ですから、頭も上がらないのですがね^^;
我が家の誰よりも頼りになる姉であります。

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