映画評「スカイライン-征服-」

★(1点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
ネタバレあり

1990年代からCGによる特殊効果を見せたがる輩が増えたためSF/ファンタジーが粗製乱造気味で、宇宙人侵略ものも増えた。「インデペンデンス・デイ」(1996年)や「宇宙戦争」(2005年)は何だかんだ言われても一流の手になることが伺われる出来栄えであったが、ここ数年見せられているものにそのレベルのものは一本もない。一部に評判の良いものはあるものの、まやかしやはったりの類でストーリーテリングから言えばお粗末なものばかりである。

今年(2013年)観た数本の宇宙人侵略SFの中で構図的に近い「アタック・ザ・ブロック」は宇宙人がゴリラみたいで、活躍するのが少年たちという部分に僅かな興味を覚えたが、こちらは侵略SFの型通りの展開でがっかりするほかあるまい。

宇宙人というよりはエイリアン、「ウルトラ」シリーズの怪獣に近い生命体の放つ光が魔力を持っていて、人がその光を見ると思わず引き込まれてしまうという設定が一応新味になろうか? 実際は、上映時間の半分ほどはエリック・バルフォー以下の面々による、ビルから出るだの出ないだのといった内輪もめに終始して退屈千万である。

後半いよいよ軍隊が登場してスペクタクルらしくなってくるものの、映像技術レベルはともかく、取り上げるに値する描写は特にない。一番面白いのは“3日目”の10分足らずの巨大宇宙船(?)の中の描写。重要なネタバレになるかもしれないので詳細は伏せることにするが、これとてSF通が見たら噴飯ものではないかと思う。

監督に当たったコリンとグレッグのストラウス兄弟としては前作「AVP2」もお粗末ながら、退屈度から言えばこちらが大分上(お解りになると思うが、けなしているの)である。但し、あの映画より明るい場面が多いのは有難い。

♪虹の向こうへ 出かけよう 今が通り過ぎて 行く前に(「ケンとメリー」・・・日産スカイラインのテーマ曲・・・名曲だけど、ニール・ヤングの「アウト・オン・ザ・ウィークエンド」の所謂パクリでした・・・こういうパクリ大好き)♪

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年01月06日 16:38
日本の『ウルトラQ』『ウルトラセブン』なら30分以内でもっと面白く作ったでありましょうな~
オカピー
2014年01月06日 21:24
ねこのひげさん、こんにちは。

しかし、アメリカ映画は緊急事態時における仲間割れ、内輪もめが好きですな。実際そうなるかもしれませんが、映画であれをやられるとどうもイライラさせられる。
「トレマーズ」という怪獣映画ではそれが殆ど出てこなかったので、大変楽しめた記憶があります。
2014年01月06日 22:45
こんばんは!遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

 この映画、ぼくは公開時に観に行きましたよ。

 かなり残念な出来だったのを覚えていますので、TSUTAYAに並んだ時も
「ああ、これソフトが出たんだあ…」という感じで、みんなお金損するよと思いながら、ラックに並んでいるのを眺めていました。

 どれもこれも似たような設定と場面作りなので、どれを見て、どれを見てないのかが分からなくなることが増えていますね。70年代頃に製作された、ぶっ飛んだ感じのB級映画のほうが数段ワクワクしますよ。

 今日も大昔テレビで見た『マッド・ボンバー』のDVDを購入してしまいました(笑)爆弾魔と暴行魔が同時に出てくるとんでもないヤツなので、またオカピーさんには叱られそうです(笑)

 ではまた!
オカピー
2014年01月07日 16:55
用心棒さん、こんばんは。

VFXはかなりきちんとしていましたけど、今それは売りにならないわけでして、このつまらなさは何だという印象でしたね。
ローコストに貢献した殆ど無名の役者も次の日には思い出せないくらいなものでしたし。

>『マッド・ボンバー』
とんでもない、当方も観ていますよ。
しかも、IMDbで履歴を調べましたら☆☆☆を付けていました。面白かったということですね。

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