映画評「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・御法川修
ネタバレあり

コミックを原作とする映画が増えて久しいが、本作原作となった益田ミリの「すーちゃん」は四コマ漫画だそうである。

34歳でカフェの店員をしているすーちゃん(柴咲コウ)は、バイト時代の同僚であるほぼ同世代であるOLまいちゃん(真木よう子)と認知症の祖母と母親のいる自宅で仕事をしているさわ子さん(寺島しのぶ)という友達がいて、時々ピクニックや食事会をする。共に独身で、将来に備えてパートナーを見つけるか否かを決める年齢も終盤にさしかかろうとしている。
 すーちゃんはカフェのマネージャー(井浦新)に好感を覚えているが、同様に見えた彼は先に進展していた同僚(佐藤めぐみ)との結婚話をまとめてしまう。その後彼女はオーナーから持ち掛けられた話を引き受けて店長になる。若い店員(染谷将太)のアプローチには全く気付かない(年下すぎて最初から可能性を全く考えていない)。
 まいちゃんは美人中堅社員として社外でも評判ながら、上司と後輩との関係でストレスが溜まっている。結局結婚相談所で知り合った男性と結婚して子供を産むも、その選択が正解であったか少し疑問に思う。
 さわ子さんは同級生の男性と親しくなるが、相手から「子供ができる証明書を取ってくれ」と言われてお断りを申し上げる。祖母はぼけてしまってはいるが、そのそばにいる幸福をかみしめる。

ガール」という同趣向の邦画があったが、男性の僕がこういうのも何であるものの、こちらのほうが遥かに実感を伴い、後味もずっと良い。

テーマは選択である。人生には色々な場面で選択が求められる。選んだ大学や会社、選んだ異性、あるいは(女性においては)仕事か結婚かという選択により人生の大半が決まると言っても過言ではない。もっと小さな選択も色々とある。
 しかし、本作が用意する結論は「将来への不安が色々あっても、必ずしも今決めなくても良い」。この力の抜け加減が「なるほど四コマ漫画だわい」と思わせ、そこはかとない味わいを生み出している。

残念ながら、僕の周囲にこの映画の感想を聴きたい三十代独身女性はいませんです。

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