映画評「G.I.ジョー バック2リベンジ」

☆☆(4点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ジョン・M・チュー
ネタバレあり

4年前に第一作の映画評を書いた時は僕は意気軒昂で、SFXとVFXとの違いを殺戮の量に絡めて心理学的な観点から分析、映画評というより映画論をものしてみた。
 しかし、この手の話も言い尽した感はあるし、そんな元気も失せてはいるし、今回は単純に面白いかどうかに絞って語ってみようと思ったがやはり腹が立ってそれなりになってしまった。

僕について言えばどうしてもVFX映画は実写に見せかけた実質上のアニメ映画なので力が入らないということが傾向としてはある。アニメ映画に優れた作品が少なくないように、実写であろうが絵であろうが要はお話がきちんとできていることが肝要。ところが、アニメはアニメとして作っているからお話がしっかりしているケースも多いのに対し、“何ちゃって実写映画”は本物(実写)らしく見せれば観客が喜んでくれるだろうという安易な魂胆が見えるから結局つまらないものが多い。今回もお話が甚だ面白くない。

オバマ大統領のノーベル平和賞受賞に繋がった発言をベースにしているような皮肉が感じられるところもあるが、こんなことで評価する大人はもういらっしゃるまい。

正義の味方であるはずのGIジョーのメンバーたちが、パキスタン大統領暗殺により核弾頭を奪った罪でアメリカ大統領(ジョナサン・プライス)の司令により次々と捕縛される。残ったGIジョーのメンバーたち(ドワイト・ジョンスンら)は核廃止を訴える米国大統領がテロ組織“コブラ”の頭目が変装したものであることを掴むと、世界征服を実行すべく各核保有国会議の席上で恐るべき計画を実行しようとする“コブラ”の悪計を阻止すべく立ち上がる。

基本的には「007」以来の世界征服サスペンスの、より漫画化した型通りの内容でつまらず、何よりがちゃがちゃした目に悪いだけのアクション描写が腹が立つくらい出鱈目。映画文法を無視してコミックのコマ割りみたいに並べた様子はカット割りと言えるようなレベルになく、こんなものを“実写映画”と称して見せること自体恥と思うべきである。少なくとも、あるジャンルにおいて“映画”は終わった。

王になった男」とイ・ビョンホンの連投でしたが、やはり韓国で王様をやっているほうが良いね。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年04月13日 07:10
先日、深夜にやっておりましたが『ディー・ウォーズ』というひどい映画もありましたな~
いくら龍好きのねこのひげでも受け入れがたかったですね。
なぜに韓国でヒットしたのか?
オカピー
2014年04月13日 15:16
ねこのひげさん、こんにちは。

>「ディー・ウォーズ」
「ヤンガリー」もひどかったが、こちらもひどかった。
どちらも同じ監督で、お話もさることながら、この方は映画にも文法があることも知らないらしい。
韓国で大ヒットしたと聞いて本当に素晴らしかった映画は殆どないです。

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