映画評「カーテンコール」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・佐々部清
ネタバレあり
10年くらい前に「チルソクの夏」という邦画にかなり惹かれた。佐々部清という若手監督の監督作で、その後何作か観るうちにヒューマニズムという点において山田洋次の後継者になるのではないかという感想を持った。未だに技術的には山田監督に及ばないが、その印象は殆ど変っていない。内容から言って本作は「チルソクの夏」の姉妹篇に当たるよう。
週刊誌写真記者・伊藤歩はスクープ写真を撮ったので出世できると思いきや、関係者の自殺未遂が起きた為に干される。それを見かねた上司の勧めで出身地・下関に程近い福岡のタウン誌に転職、読者の投稿から昭和30年代後半から40年代前半に活躍した幕間芸人について取材することになる。
今でも細々と経営されている映画館を訪れ、当時から働いている従業員の藤村志保から彼即ち藤井隆について色々と教えてもらう。本業は映画館の従業員で、フィルムが切れるハプニングの間をもたせたのが元で二本立ての幕間に歌などを聞かせて映画館のファンに人気を博す。が、斜陽が本格化した為遂に映画館を辞めざるを得なくなる。おばさんの情報はここまで。
在日朝鮮・韓国人ではないかという父親・夏八木勲のヒントから韓国の民団から情報を得、焼肉屋をしている娘・鶴田真由を訪問する。小学生の時に父親に捨てられたことを告白した彼女は、歩嬢が奔走して探し出し映画館閉館の日に招いた父親(老齢時は井上堯之)に会おうとしない。落ち着いた後日やっと会う決心をするのである。
出来栄えはもう一つであるが、余り潔癖に映画を観ようとしない限り精神衛生的に悪い影響を及ばさないから現在の僕には向いている。
やはり気になるのは、allcinemaでも指摘する人がいるように、幕間芸人が在日韓国人である必要があったかということ。公平に作者が扱っているつもりでも彼らの広告塔映画のように取られてしまうだけ損なのである。
登場する韓国人の殆どがある程度日本語ができることに疑問を覚えた人がいるようだが、日本人がよく訪れる済州島を始めとする韓国南部やソウルでは話せる人が多いと聞く。まして高齢の方が話せる可能性は低くない。台湾人のビジネス・フレンドの父親がかなり達者に日本語を話したので驚くと、日本統治時代に学童だった老人は「私の年齢なら皆これくらい話せます」と仰っていた。韓国も事情は大して変わらないだろう。
閑話休題。
しかし、「在日でなくてはならない」程ではないにしても、「在日にした」効果は考えられる。つまり、父と娘の和解を日本人と在日韓国人(娘はハーフ)との二重奏で奏でるという普遍化効果である。しかるに、その狙いがはっきりと打ち出せていない為僕も「在日」が出てきた瞬間に少し首をかしげてしまったわけだ。
映画館のロビーまで足を運んだ娘がその場で父親に会わず、後日韓国で会うというのは捻りすぎだが、彼女の心境を考えると無理な変化球とは言えない。
等々すっきり、しっくりしないところがあるものの、余り小難しいことを考えずに観ると良い。劇中「寅さん」は出て来るし、山田洋次監督も「虹をつかむ男」という映画館に絡む作品を作っている。本作を観ると、ご本人も映画界の大先輩を相当意識している部分があるのではないか、という気になる。
中国と韓国の悪口ばかり書いている週刊誌が増えた。売れるからと言ってここまでやるかという印象あり。確かに中国からの客十名ほどをディズニーランドに案内した時は苦労したけれど・・・。
2004年日本映画 監督・佐々部清
ネタバレあり
10年くらい前に「チルソクの夏」という邦画にかなり惹かれた。佐々部清という若手監督の監督作で、その後何作か観るうちにヒューマニズムという点において山田洋次の後継者になるのではないかという感想を持った。未だに技術的には山田監督に及ばないが、その印象は殆ど変っていない。内容から言って本作は「チルソクの夏」の姉妹篇に当たるよう。
週刊誌写真記者・伊藤歩はスクープ写真を撮ったので出世できると思いきや、関係者の自殺未遂が起きた為に干される。それを見かねた上司の勧めで出身地・下関に程近い福岡のタウン誌に転職、読者の投稿から昭和30年代後半から40年代前半に活躍した幕間芸人について取材することになる。
今でも細々と経営されている映画館を訪れ、当時から働いている従業員の藤村志保から彼即ち藤井隆について色々と教えてもらう。本業は映画館の従業員で、フィルムが切れるハプニングの間をもたせたのが元で二本立ての幕間に歌などを聞かせて映画館のファンに人気を博す。が、斜陽が本格化した為遂に映画館を辞めざるを得なくなる。おばさんの情報はここまで。
在日朝鮮・韓国人ではないかという父親・夏八木勲のヒントから韓国の民団から情報を得、焼肉屋をしている娘・鶴田真由を訪問する。小学生の時に父親に捨てられたことを告白した彼女は、歩嬢が奔走して探し出し映画館閉館の日に招いた父親(老齢時は井上堯之)に会おうとしない。落ち着いた後日やっと会う決心をするのである。
出来栄えはもう一つであるが、余り潔癖に映画を観ようとしない限り精神衛生的に悪い影響を及ばさないから現在の僕には向いている。
やはり気になるのは、allcinemaでも指摘する人がいるように、幕間芸人が在日韓国人である必要があったかということ。公平に作者が扱っているつもりでも彼らの広告塔映画のように取られてしまうだけ損なのである。
登場する韓国人の殆どがある程度日本語ができることに疑問を覚えた人がいるようだが、日本人がよく訪れる済州島を始めとする韓国南部やソウルでは話せる人が多いと聞く。まして高齢の方が話せる可能性は低くない。台湾人のビジネス・フレンドの父親がかなり達者に日本語を話したので驚くと、日本統治時代に学童だった老人は「私の年齢なら皆これくらい話せます」と仰っていた。韓国も事情は大して変わらないだろう。
閑話休題。
しかし、「在日でなくてはならない」程ではないにしても、「在日にした」効果は考えられる。つまり、父と娘の和解を日本人と在日韓国人(娘はハーフ)との二重奏で奏でるという普遍化効果である。しかるに、その狙いがはっきりと打ち出せていない為僕も「在日」が出てきた瞬間に少し首をかしげてしまったわけだ。
映画館のロビーまで足を運んだ娘がその場で父親に会わず、後日韓国で会うというのは捻りすぎだが、彼女の心境を考えると無理な変化球とは言えない。
等々すっきり、しっくりしないところがあるものの、余り小難しいことを考えずに観ると良い。劇中「寅さん」は出て来るし、山田洋次監督も「虹をつかむ男」という映画館に絡む作品を作っている。本作を観ると、ご本人も映画界の大先輩を相当意識している部分があるのではないか、という気になる。
中国と韓国の悪口ばかり書いている週刊誌が増えた。売れるからと言ってここまでやるかという印象あり。確かに中国からの客十名ほどをディズニーランドに案内した時は苦労したけれど・・・。
この記事へのコメント
写真も小さく文も短く、実に懐かしい。(笑)
この頃はまだ、プロフェッサーとは
お見知りおき、ではなかった、かしらん?
遥か昔のことで、私、忘れました。(^ ^)
本日は、珍しく、邦画最新作
「そこのみにて光輝く」鑑賞しました。
気が向けば記事にするかもしれません。
説明過多にて観客甘やかすのも困りますが
今回のは、いささか言葉足らずの感。
おまけに、滅法暗くてビンボ臭い。(^ ^);
今まで自重されてきた彼らの犯罪や嫌がらせが暴露されているんですから、週刊誌側や国内側も今まで散々我慢してきた鬱憤が爆発しているんだと思います。
部数が売れるという理由もあるでしょうね。
在米日本人が受けている嫌がらせは国内の比ではないです。
確か日本映画の会長が崔監督ですから、日本人が受けている被害などまず映画化されないでしょう。
姐さんのご訪問を受けたのは、2006年の今頃だったような記憶がありますので、2005年ですとまだ存じ上げない頃ですね。
当方もまだ元気でした^^;
>邦画最新作
説明過多だけが理由ではないでしょうが、昨今の日本のメジャー映画の上映時間の長さは異常という印象あり。大作というわけでもないのに。
東京時代「日本映画は暗い」とか言って特に当時の邦画鑑賞は避けていましたが、言葉足らずでも120分か。決して短くはないなあ(笑)
来年の今頃観られるかなあ^^