映画評「野蛮なやつら/SAVAGES」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督オリヴァー・ストーン
ネタバレあり
オリヴァー・ストーンが登場した頃は硬派な印象があり“映画的な潤いを欠く嫌いがある”などと評価したものだが、近年は敢えて彼がメガフォンを取らなくても良いような大衆的な作品を撮ることがままある。本作なども基本となるお話と作り方は若手監督が作りそうな感じである。原作はドン・ウィンズロウの犯罪小説。
細かく書けばややこしくなるお話ながら、アウトラインは至って単純。
植物学者のアーロン・テイラー=ジョンスンと傭兵上がりのテイラー・キッチュがその知識を生かして麻薬で大儲けをするが、メキシコに麻薬組織を取り仕切っている中年美女サルマ・ハエックの一味に共有の恋人ブレイク・ライヴリーを誘拐された為、それではと女ボスが可愛がっている娘を誘拐して交換するように事を運ぶ。
というだけのお話で、監禁されたブレイク嬢が監禁先で綴ることを許されている文章の形で紹介されていくという手法を取っている。この文章が回想ではなくほぼ現在進行形に近いため先のことが解らないというちょっとした工夫がサスペンスを醸成していく。今月再鑑賞しようと思っている「サンセット大通り」のような死者の語りではないので、一応新機軸。叙述トリックに近いが。
しかも、「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPART2」のように未来予想で観客をドキッとさせた壮絶な場面の後に本当のシーンが展開されるという仕掛けに至っては、オリヴァー・ストーンもヤング・アダルト的発想の作品を撮るようになったか、とどちらか言えば苦笑が洩れる。
アフガニスタンと麻薬など深読みすればそれなりの社会性が背景に揺曳しているとは言え、そこまで考える必要もない水準的な犯罪映画だろう。
オリヴァーも歩けば石に当たる。
2012年アメリカ映画 監督オリヴァー・ストーン
ネタバレあり
オリヴァー・ストーンが登場した頃は硬派な印象があり“映画的な潤いを欠く嫌いがある”などと評価したものだが、近年は敢えて彼がメガフォンを取らなくても良いような大衆的な作品を撮ることがままある。本作なども基本となるお話と作り方は若手監督が作りそうな感じである。原作はドン・ウィンズロウの犯罪小説。
細かく書けばややこしくなるお話ながら、アウトラインは至って単純。
植物学者のアーロン・テイラー=ジョンスンと傭兵上がりのテイラー・キッチュがその知識を生かして麻薬で大儲けをするが、メキシコに麻薬組織を取り仕切っている中年美女サルマ・ハエックの一味に共有の恋人ブレイク・ライヴリーを誘拐された為、それではと女ボスが可愛がっている娘を誘拐して交換するように事を運ぶ。
というだけのお話で、監禁されたブレイク嬢が監禁先で綴ることを許されている文章の形で紹介されていくという手法を取っている。この文章が回想ではなくほぼ現在進行形に近いため先のことが解らないというちょっとした工夫がサスペンスを醸成していく。今月再鑑賞しようと思っている「サンセット大通り」のような死者の語りではないので、一応新機軸。叙述トリックに近いが。
しかも、「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPART2」のように未来予想で観客をドキッとさせた壮絶な場面の後に本当のシーンが展開されるという仕掛けに至っては、オリヴァー・ストーンもヤング・アダルト的発想の作品を撮るようになったか、とどちらか言えば苦笑が洩れる。
アフガニスタンと麻薬など深読みすればそれなりの社会性が背景に揺曳しているとは言え、そこまで考える必要もない水準的な犯罪映画だろう。
オリヴァーも歩けば石に当たる。
この記事へのコメント
9・11で活躍した消防士を描いた「ワールド・トレード・センター」も他人の脚本をひねりなく映画化した作品で、余りストーンらしくなかったですね。