映画評「奇跡のリンゴ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・中村義洋
ネタバレあり
現在の僕は映画以外の番組(それも大半はWOWOW)は殆ど見ないので全く存じ上げないのであるが、りんごの無農薬栽培に成功した木村秋則氏の実話を映画化したものである。日本映画では珍しく実名で登場する。
子供時代から機械を分解するのが大好きで凝り性だった秋則氏が成人して(阿部サダヲ)、婿養子に入る形で同級生の木村美栄子(菅野美穂)と結婚、同家家業のりんご栽培に励むことになるが、妻が虫や病気にデリケートなりんご栽培に欠かせない農薬に対しアレルギー体質であったために無農薬でりんごが実らせることができないか考え始める。明治にりんごが日本に入り父祖が苦労して辿り着いた農薬栽培と逆行する非現実的なアイデアであるが、義父(山崎努)の賛同も得て、実験に実験を重ねるうちに10年の月日が経ってしまう。
その為家の資金は底をつき役所に四つある畑のうち二つを差し押さえられ、光熱費は払えず、食事も最小限、隣接するりんご畑経営者を中心に村八分に遭いにっちもさっちも行かなくなる。
かくして首を吊ろうと登った岩木山で逞しく育っているくるみの木を発見、土地を全くいじらない栽培法に思いが至る。彼の方策が他の農家に恩恵をもたらすことがあることを知って周囲の目も変わり始め、徐々に生活が改善され、二年目に遂にりんごの木は小さな実をつける。
貧乏な家に生まれついたせいで値段優先で腹の足しになれば食べ物など何でも良いと思っている僕は農薬を使おうが使うまいが知ったことではないのだが、一家や村民の喜怒哀楽を盛り込みなかなかきちんと出来ている。中村義洋が思った以上に器用な監督であることが解ったのが収穫かもしれない。
映画的には、後半の悲惨さとのコントラストを狙ったとしか思えない少年時代のコミカルに過ぎる描写は感心しないし、彼に影響を与えたはずの書物にどういうことが書いてあったのかよく解らない為に土を自然に帰すという発想の画期性が把握しにくいという辺りは難点である。
主人公は細君と子供には恵まれた。これがある意味奇跡であろう。だから、本作のハイライトは彼らの描写に尽きるという気がする。生まれつき泣き虫で儒教的な考えが強い僕は、自分たちを赤貧洗うが如き生活に追い込んだ夫を寧ろ励ます妻と、そんな父を誇りに思う娘、娘が書いた絵や作文を見るだけで涙が出てきた。
しかし、ノンフィクションをベースになかなか要領よくドラマ化したという印象は持ったものの、映画としての面白味は全く別の次元の話であるし、大きな満足を得たとは言いにくい。僕の中では良い家族の物語ということだけに終わっているのである。
一昨日父親の三周忌をした。久しぶりにまともなマグロを食べたです。
2013年日本映画 監督・中村義洋
ネタバレあり
現在の僕は映画以外の番組(それも大半はWOWOW)は殆ど見ないので全く存じ上げないのであるが、りんごの無農薬栽培に成功した木村秋則氏の実話を映画化したものである。日本映画では珍しく実名で登場する。
子供時代から機械を分解するのが大好きで凝り性だった秋則氏が成人して(阿部サダヲ)、婿養子に入る形で同級生の木村美栄子(菅野美穂)と結婚、同家家業のりんご栽培に励むことになるが、妻が虫や病気にデリケートなりんご栽培に欠かせない農薬に対しアレルギー体質であったために無農薬でりんごが実らせることができないか考え始める。明治にりんごが日本に入り父祖が苦労して辿り着いた農薬栽培と逆行する非現実的なアイデアであるが、義父(山崎努)の賛同も得て、実験に実験を重ねるうちに10年の月日が経ってしまう。
その為家の資金は底をつき役所に四つある畑のうち二つを差し押さえられ、光熱費は払えず、食事も最小限、隣接するりんご畑経営者を中心に村八分に遭いにっちもさっちも行かなくなる。
かくして首を吊ろうと登った岩木山で逞しく育っているくるみの木を発見、土地を全くいじらない栽培法に思いが至る。彼の方策が他の農家に恩恵をもたらすことがあることを知って周囲の目も変わり始め、徐々に生活が改善され、二年目に遂にりんごの木は小さな実をつける。
貧乏な家に生まれついたせいで値段優先で腹の足しになれば食べ物など何でも良いと思っている僕は農薬を使おうが使うまいが知ったことではないのだが、一家や村民の喜怒哀楽を盛り込みなかなかきちんと出来ている。中村義洋が思った以上に器用な監督であることが解ったのが収穫かもしれない。
映画的には、後半の悲惨さとのコントラストを狙ったとしか思えない少年時代のコミカルに過ぎる描写は感心しないし、彼に影響を与えたはずの書物にどういうことが書いてあったのかよく解らない為に土を自然に帰すという発想の画期性が把握しにくいという辺りは難点である。
主人公は細君と子供には恵まれた。これがある意味奇跡であろう。だから、本作のハイライトは彼らの描写に尽きるという気がする。生まれつき泣き虫で儒教的な考えが強い僕は、自分たちを赤貧洗うが如き生活に追い込んだ夫を寧ろ励ます妻と、そんな父を誇りに思う娘、娘が書いた絵や作文を見るだけで涙が出てきた。
しかし、ノンフィクションをベースになかなか要領よくドラマ化したという印象は持ったものの、映画としての面白味は全く別の次元の話であるし、大きな満足を得たとは言いにくい。僕の中では良い家族の物語ということだけに終わっているのである。
一昨日父親の三周忌をした。久しぶりにまともなマグロを食べたです。
この記事へのコメント
早朝『マイアミガイズ俺たちはギャングだ』をやっていましたが、けっこう面白かったですよ。
『レッド』よりもっと年寄りの話で、隠居した4人の元ギャングがマフィアのボスを殺したことがばれそうになって・・・・
娘が警官で・・・なんってこった!という話に・・・・(*^▽^*)
>かなりの変人
お寄りしたブログ等ではそのように書かれている方もいらしましたね。
>『マイアミガイズ俺たちはギャングだ』
へえ、リチャード・ドレイファスとバート・レイノルズかあ。
割合豪華な陣容なのに、知らなかったなあ。