映画評「バレット」

☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督ウォルター・ヒル
ネタバレあり

40年もの間犯罪者として生きてきた殺し屋シルヴェスター・スタローンが相棒ジョン・セダと対象を仕留めた後、依頼者から派遣されたらしき大男ジェイスン・モモアにセダが刺殺された為、復讐に躍起になって行動中、最初の事件を捜査している韓国系の刑事サン・カンと腐れ縁が出来、助け助けられ反目しつつ、関係者を次々となぎ倒した後遂に娘を人質に取ったモモアと一騎打ちの対決となる。

モモアが暗黒街の大物ではなく、アフリカ出身の暗黒街のボスの傭兵に過ぎないのが物語の構成として疑問を感じるところ。また、1980年代風のシンプルな作劇自体は歓迎したいものの、余りに型通りで面白味が薄い。アーノルド・シュワルツェネッガーの本格復帰作「ラストスタンド」が型通りの構図をうまく利用したのと違って少々知恵の足りない印象を覚えさせるのである。

シリーズでお茶を濁していた感のあるスタローンの純粋な新作として一応話題になっている本作であるが、僕らの世代には70年代~80年代アクション映画ファンが最も注目していた監督の一人ウォルター・ヒルの久しぶりの作品というのが最大の関心事となる。昔からこういう直線的なストーリーをパンチ力に溢れる描写で見せ切る腕前のあった監督で、70歳を超えて作ったこの作品もそれなりのパンチを感じるが、何となくがっかりさせられた。
 画面が余りにも現代的風味、つまり、若者に迎合するようなスピード感優先で見せているような印象が避けきれず、それが80年代風の物語と完全には合致していない。だから、物語の型通りぶりが中途半端のまま浮いてしまい、「ラストスタンド」のじっくりした見せ方がクラシックな物語に合っていたのと対照的に感じるのである。一見良い当たり、実は少し詰まったファースト・ライナーくらいといった印象に留まる所以。

そうそう、題名の「バレット」はbullet(銃弾)のことで、「バレットモンク」の頃から文句を言っている(洒落です)が、一応英語発音により近い「ブレット」と記して欲しい。確かに発音記号"u"は日本語の“ウ”より強く、英語耳のない方には“バ”に聞こえないこともないが、カタカナで表記するなら“ブ”以外には考えられない。
 もっとみっともないのは"sword"を“スウォード”と記すケース。この単語の"w"は所謂【黙字】(listen, oftenの"t"など)なので発音しない。
 映画配給会社社員の英語力が推して知れる2ケースとして紹介しておきます。ゲーム用語などとして定着していなければ良いが。

ヒルさんなのに、暗い場面も多いです。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年06月22日 10:55
日本人は・・・というか人間は、自分が発音しやすいほうに直してしまいますからね~
シュワちゃんの作品は能天気な部分があるので観やすいのですが、スタローンはどこか暗さが残りますね。
それが演技を陳腐に見せたりしているようで・・・・
オカピー
2014年06月22日 20:19
ねこのひげさん、こんにちは。

必ずしも正しい発音がベストというわけではないですけどね。

>演技
演技自体はスタローンの方が大分上と思います。
シュワちゃんは下手です。元来オーストリア人で英語の発音も僕の耳には余り良くないですし。
スタローンの英語も聞き取りにくいですが(笑)

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