映画評「マジック・マイク」
☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督スティーヴン・ソダーバーグ
ネタバレあり
長編第一作の風俗劇「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)でカンヌでパルム・ドール(最高賞、かつてのグランプリ)を取って颯爽と登場したスティーヴン・ソダーバーグとしては原点に帰ったような風俗青春映画である。リメイク作品「オーシャンズ11」(2001年)を観た時は彼らしくない素材と思ったものだ。
フロリダ州タンパ、夜は男性ストリッパーをしているチャニング・テータムは昼間の仕事である瓦ふきで知り合った一回り年下の若者アレックス・ペティを仕事に誘ってみる。経営者マシュー・マコノヒーの承諾を得て舞台に立たせてみたら出たとこ勝負の芸ながら可能性を感じさせ、結局若者はこの仕事に落ち着く。
テータムはペティの真面目な姉コディー・ホーンを知って惹かれるものを覚えるが、彼女は見学に出かけた弟の仕事が必ずしも面白くない。その弟は仲間の麻薬のお裾分けに預かったことから色々事件を起こし、結局出した損失をテータムが補填する羽目になる。マイアミでオーダー家具の店を始めようと思っていた彼はお金のこともあり、その夢を一旦諦めて現地に残り、コディーとの関係を見つめ直そうとする。
資料によれば俳優になる前にテータムが従事していたストリップの経験を元にこしらえられたお話ということだが、要素であって実話と理解しない方が良い模様。
僕は男のストリップなど一向に興味はないものの、踊りは割合きちんと演出(振付)されたものでショーとしての価値がそれなりにあり、風俗劇たる所以はここに集約される。それを除くと、お金の為に水商売をしているが本質的には真面目なテータムと後輩の姉コディーとのごく真面目な恋模様を描く青春映画である。正にこれがテータム(演ずる人物)の本質ならで、本作の本質である。が、ストリップを交えることでアングルを付けてはいるものの、残念ながら、青春恋愛映画としては定石的展開の域を出ず、そう面白い作品とは言いにくい。
ところで、アメリカの若者は皆ドラッグに染まっているかと思いきや、そんなこともないらしく、高校生のパーティーでは少年が恋人にドラッグをやらせたとペティ君に食って掛かるし、彼の姉コディーも全くその気がない。脱法ドラッグが日本社会を賑わしている今、こういう描写に出くわすと嬉しくなるし、これも一種の風俗点出と言うべし。
IMDbでの投票結果はアメリカでヒットしたという割に低いが、興味深いことに各年代とも女性の評価の方が高い。テータム君の裸の効果ということに尽きるのだろう。
因みに、IMDbの投票結果は単純平均ではなく加重平均(詳細は不明)である。同じ人が何度も投票できる代わりに、同じ点に投票した場合反映しないなどの措置が取られているようで、日本のものより信用できる。また僕のようなトップ1000投票者の点は特に加重されて評価される。だから投票数が極端に少ない(5票以上で反映)場合、僕一人で大きく点数を変えてしまうことがある。
タンパへの 旅を名付けりゃ ストリップ
2012年アメリカ映画 監督スティーヴン・ソダーバーグ
ネタバレあり
長編第一作の風俗劇「セックスと嘘とビデオテープ」(1989年)でカンヌでパルム・ドール(最高賞、かつてのグランプリ)を取って颯爽と登場したスティーヴン・ソダーバーグとしては原点に帰ったような風俗青春映画である。リメイク作品「オーシャンズ11」(2001年)を観た時は彼らしくない素材と思ったものだ。
フロリダ州タンパ、夜は男性ストリッパーをしているチャニング・テータムは昼間の仕事である瓦ふきで知り合った一回り年下の若者アレックス・ペティを仕事に誘ってみる。経営者マシュー・マコノヒーの承諾を得て舞台に立たせてみたら出たとこ勝負の芸ながら可能性を感じさせ、結局若者はこの仕事に落ち着く。
テータムはペティの真面目な姉コディー・ホーンを知って惹かれるものを覚えるが、彼女は見学に出かけた弟の仕事が必ずしも面白くない。その弟は仲間の麻薬のお裾分けに預かったことから色々事件を起こし、結局出した損失をテータムが補填する羽目になる。マイアミでオーダー家具の店を始めようと思っていた彼はお金のこともあり、その夢を一旦諦めて現地に残り、コディーとの関係を見つめ直そうとする。
資料によれば俳優になる前にテータムが従事していたストリップの経験を元にこしらえられたお話ということだが、要素であって実話と理解しない方が良い模様。
僕は男のストリップなど一向に興味はないものの、踊りは割合きちんと演出(振付)されたものでショーとしての価値がそれなりにあり、風俗劇たる所以はここに集約される。それを除くと、お金の為に水商売をしているが本質的には真面目なテータムと後輩の姉コディーとのごく真面目な恋模様を描く青春映画である。正にこれがテータム(演ずる人物)の本質ならで、本作の本質である。が、ストリップを交えることでアングルを付けてはいるものの、残念ながら、青春恋愛映画としては定石的展開の域を出ず、そう面白い作品とは言いにくい。
ところで、アメリカの若者は皆ドラッグに染まっているかと思いきや、そんなこともないらしく、高校生のパーティーでは少年が恋人にドラッグをやらせたとペティ君に食って掛かるし、彼の姉コディーも全くその気がない。脱法ドラッグが日本社会を賑わしている今、こういう描写に出くわすと嬉しくなるし、これも一種の風俗点出と言うべし。
IMDbでの投票結果はアメリカでヒットしたという割に低いが、興味深いことに各年代とも女性の評価の方が高い。テータム君の裸の効果ということに尽きるのだろう。
因みに、IMDbの投票結果は単純平均ではなく加重平均(詳細は不明)である。同じ人が何度も投票できる代わりに、同じ点に投票した場合反映しないなどの措置が取られているようで、日本のものより信用できる。また僕のようなトップ1000投票者の点は特に加重されて評価される。だから投票数が極端に少ない(5票以上で反映)場合、僕一人で大きく点数を変えてしまうことがある。
タンパへの 旅を名付けりゃ ストリップ
この記事へのコメント
この映画は未見ですが、無理に観なくてもいいようなかんじですね……
ゲイリー・ビシーが落ち込んでいたのは「ビッグ・ウェンズデー」での成功の後ですよね?
多分1980年代前半くらいかな?
本作は男性ストリップがトータル二十分くらいは観られる本格派(笑)で、やはり女性向きでしょう。しかし、日本の女性にはああいう露骨さは希薄で、やはり肉食人種は違うと思われます。
基本的には凡庸な風俗青春劇だと思うので、観なくて大丈夫でしょう^^
助平であることは子孫繁栄の為に必要なことですが、「ま、ほどほどに」というところですかねぇ。