映画評「クルードさんちのはじめての冒険」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督カーク・デ・ミッコ、クリス・サンダーズ
ネタバレあり

観るものがないと言いつつ、碌に調べず間違って日本劇場未公開の作品を観ることがままある。勿論、未公開と公開の差は出来栄えには基本的に関係のないものと言いながら、未公開作品の場合は余程出来が良くない限りは“がっかり”が後を引く。このアニメはその典型になった。尤も、そうつまらないわけではなく、寧ろ最近観た公開アニメの水準より出来は良いくらい。しかし、余り推す気にもなれない。

原始時代、冒険は危険であるとして洞穴区域の外に出たことがない洞穴族の父親グラグが、娘イープが知り合った他の部族の少年ガイの「世界が終る」の言葉にしぶしぶ外の世界に出ることを決意、洞穴の崩壊や凶暴な動物たちとの遭遇を乗り越えるうちに「変わることの意義」に気付く。

ドリームワークスの作品だからディズニーほど説教調でないとは言え、主題(本作の場合は教訓)を言葉で全て説明してしまうのがつまらない。その教訓を露骨に言葉で表現する代わりに、観客に感じ取らせようと作ってくれれば感動がぐっと深まる。こうした作り方が鑑賞者の理解力を落としていく。十歳以下のお子様向けなら仕方がないかなとも思うが、実際のターゲットはどの辺り?・・・というよりファミリー映画なのだろう(ご存知のようにファミリー映画は家族のことを描いた作品という意味ではなく、子供を含め家族揃って観る映画のことなり)。

モーガンの「古代社会」によれば、家族は氏族より後に発生したのだそうだ。つまりごく最近のこと。尤も、逆に本作のように火のおこし方を知らない原人レベルでは家族が先にあっても不思議ではないかもしれない。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年08月24日 07:06
どうもアメリカのアニメは説教臭さが匂うのが好きになれないところであります。
『アナと雪の女王』もなんであんなに当たっているのかよくわからないですね。
男と女と子供が最初の社会でしょうから、家族の方が先でしょうか?
オカピー
2014年08月24日 21:19
ねこのひげさん、こんにちは。

ジブリの映画を観ると、エコロジーの問題なんかも出てきますが、説教臭くないんですよね。まして言葉で説教するなんて無粋なことはしない。

「古代社会」によりますと、男系の場合兄弟の妻は他の兄弟の妻であったようなのです。兄弟五人がそれぞれ妻を持っていると、25通りの組み合わせが可能。しかも、その子供も皆兄弟の子供になるので、父親が5人いるのだそうです。叔母は存在するようです。
アメリカ・インディアンやオセアニア部族の進化度の差や、ギリシャ神話やギリシャ演劇、ローマ史などとの突き合わせると、初期には氏族のみで、道具などの発達により徐々に固有財産の意識が出来て家族が生まれた、ということで、マルクスやエンゲルスの共産主義に影響を与えたようです。

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