映画評「劇場版 ATARU -THE FIRST LOVE & THE LAST KILL-」

☆★（３点／１０点満点中）
２０１３年日本映画　監督・木村ひさし
ネタバレあり

「劇場版」が付く作品は敢えて観なくて良いとは思っているが、ほんの僅かに触れたアウトラインが面白そうだったので観てみた。結果は採点の示す通り。一応お話の前半部分を述べておきましょう。

日本とアメリカ両国でコンピューター・ウィルスにより送電線爆破事件が発生、そこでＦＢＩがサヴァン症候群で物凄い記憶力を持つ捜査官のアタルこと猪口在（中居正広）を日本に連れてきて犯人捜しをさせようとするが、第一容疑者と目される特殊能力者の美少女マドカ（堀北真希）が火事で焼死していた事実が判明した為、アタルが一連の事件を起こせる可能性を持つ唯一の人物として拘束されてしまう。

大真面目な一般的な映画なら、唯一真犯人に辿り着ける能力のあるアタルが身動きが取れなくなってしまうジレンマをサスペンスの軸として話を膨らませていくと思うが、最初からコメディーとして作っているとしか理解しようのない本作製作陣にはそんな気は毛頭なく、子供時代から特殊能力者同士として深く交流していたアタルとマドカの絆を描くのが目的だったようだ。

捜査ものに所謂“脱力系”笑いを最初に投入したのは、少なくとも映画版が作られたものの中では、堤幸彦の「ケイゾク」だと思うが、本作は「ケイゾク」「ＴＲＩＣＫ」の系譜にあると言って良い。韓国の前半と後半とで全く違う映画を観ているような作りよりは幾分マシと思うものの、半分くらいがギャグで構成されている為ジャンルとしては喜劇と判断せざるを得ないのに、お話としてはシリアスな形で終わるので、その意味では五十歩百歩だろう。

様々な事件や捜査過程が出て来ても、眼目が二人の関係にあるので観客が解ろうが解るまいがお構いなしに進む感じになっているのがつまらない。ＴＶ版がどういう風に作られているか知らない僕には、主人公の特殊能力がもっと生かされ、かつ、もっと真面目な内容で観たかった。

喜劇としてはたまに笑える部分がある。お笑い要素を除けば、同じく松雪泰子が出演している「脳男」を思い出させる作品で、日本では今後こういう特殊能力若しくはサイコ系の犯罪映画が増えていくだろう。

堀北真希嬢サイコな総金（銀？）歯の特殊メイク（CG加工？）で頑張ったのに。僕らの子供の頃金歯の老人が結構いましたが、金歯はいかにも成金趣味ということで廃れましたね。

Comments

[ねこのひげ]

堀北真希・・・・かわいいだけに金歯は不気味でしたね。
先日、金歯を入れた若い人を見て驚きましたが、現在、ねこのひげも歯医者に通っているので、調べてみたところ、金は加工しやすく歯の硬度に近いので歯の材料としては金属の中では最高なんだそうです。
本物の歯に近い白い材質セラミックやプラスチックのほうが現在では主流になっているそうですがね。

テレビのほうも、ほぼこんな感じでありますね。
サヴァン症候群のチョコザイに周りの人間が振り回されながら、事件が解決。
というパターンであります。

現実にもサイコな事件が増えてますし、まともとも思えない人間が増えてますからね～(*‘ω‘ *)

[オカピー]

ねこのひげさん、こんにちは。

＞金歯
そんなことは聞いたことがありますが、昔の小説を読んでも金歯は成金趣味で、良い感じで受け取っていない作家諸氏が多いですね。
成金趣味はともかく異様な感じがしますよ。

やや、ＴＶもご覧になっていらっしゃいましたか。
幅が広い・・・

＞サイコな犯罪
最古の犯罪なら良いんですけどね（笑）
２年ほど前の尼崎事件くらいびっくりした事件はありませんが、欲が絡まない犯罪としては先日の長崎の事件。全くサイコでした。