映画評「死霊館」
☆☆★(5点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
ジェームズ・ワン監督のオカルト映画。納涼の為(?)色々な恐怖映画をWOWOWが特集を組んでいるが、少なくとも新作はこの一本しか鑑賞しないつもり。
序盤は新しく購入した中古住宅に越してくる一家がその家に巣食う霊体にひどい目に遭わされるというオカルト・ハウスもの(?)の定石通りで「またか」と思わせるが、最初の一幕に登場するオカルト現象専門家の夫婦パトリック・ウィルスンとヴェラ・ファーミガを早めに絡ませることで、当初受けた印象とは少し違う方向にお話が進む。
つまり、家に固有の地縛霊の退治ではなく、家とは直接関係のない悪魔退治のお話になっていくのである。それでも、秀作「エクソシスト」のヴァリエーションになっていくだけだから新味不足の感は結局拭えない。しかし、お話が進むにつれて退治する側に焦点が移っていくのは一応のひねりとは言える。また、悪魔が母親リリ・テイラーにとりつく過程やその後の現象が具体的なので恐怖醸成は効果的に行われている。かなり正統派である。
ただ、シークエンスの繋ぎは案外ぎこちない。序盤の方で、家を買った一家から専門家夫婦の家に舞台が移る個所などはその典型で、環境描写を入れるなどの工夫がないと唐突な感じがするし、結果的にもその前後の場面から浮いている。好意的に見れば作劇における“ひねり”と関連する意図的な唐突さという解釈もできるのだが、これに関しては気に入らなかった。
こけおどしやはったりに頼るところ少なく、全体的に昨今のオカルト映画の中では上出来の部類とは言え、世評ほど買えない。個人的な趣味では、納涼には日本の幽霊映画のほうが向いている。映画館で観たほうが間違いなく怖い筈だが、大昔十代半ばで「エクソシスト」を映画館で観た時も全く怖くなかったからなあ。
「死霊館」ふたを開ければ「資料館」。
2013年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
ジェームズ・ワン監督のオカルト映画。納涼の為(?)色々な恐怖映画をWOWOWが特集を組んでいるが、少なくとも新作はこの一本しか鑑賞しないつもり。
序盤は新しく購入した中古住宅に越してくる一家がその家に巣食う霊体にひどい目に遭わされるというオカルト・ハウスもの(?)の定石通りで「またか」と思わせるが、最初の一幕に登場するオカルト現象専門家の夫婦パトリック・ウィルスンとヴェラ・ファーミガを早めに絡ませることで、当初受けた印象とは少し違う方向にお話が進む。
つまり、家に固有の地縛霊の退治ではなく、家とは直接関係のない悪魔退治のお話になっていくのである。それでも、秀作「エクソシスト」のヴァリエーションになっていくだけだから新味不足の感は結局拭えない。しかし、お話が進むにつれて退治する側に焦点が移っていくのは一応のひねりとは言える。また、悪魔が母親リリ・テイラーにとりつく過程やその後の現象が具体的なので恐怖醸成は効果的に行われている。かなり正統派である。
ただ、シークエンスの繋ぎは案外ぎこちない。序盤の方で、家を買った一家から専門家夫婦の家に舞台が移る個所などはその典型で、環境描写を入れるなどの工夫がないと唐突な感じがするし、結果的にもその前後の場面から浮いている。好意的に見れば作劇における“ひねり”と関連する意図的な唐突さという解釈もできるのだが、これに関しては気に入らなかった。
こけおどしやはったりに頼るところ少なく、全体的に昨今のオカルト映画の中では上出来の部類とは言え、世評ほど買えない。個人的な趣味では、納涼には日本の幽霊映画のほうが向いている。映画館で観たほうが間違いなく怖い筈だが、大昔十代半ばで「エクソシスト」を映画館で観た時も全く怖くなかったからなあ。
「死霊館」ふたを開ければ「資料館」。
この記事へのコメント
『エクソシスト』も映画館で見ましたが、何度も失笑が館内のあちこちから上がっておりました。
特に、あの取りつかれた少女が会談を降りてくるシーンでは噴出している声が響いておりました。
特にオカルトにおける恐怖感には差があるようです。
宗教の差ではないかと。
仏教徒が怖がるのは悪魔ではなくて幽霊ですよね。
確かに「エクソシスト」は、特に大人の方には笑ってしまうようなところもありましたね。