映画評「サカサマのパテマ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・吉浦康裕
ネタバレあり

通常似たような素材の作品は敬遠したくなるものだが、このアニメに限っては2012年製作のカナダ映画「アップサイド・ダウン 重力の恋人」と似た設定らしいと知って「どういう違いがあるか」と寧ろ食指をそそられた。パクリとかそんな低次元のことを言うつもりは元来ないし、観た後もその気にならないが、予想通り似た内容ではありました。

物体に応じて二つの重力が働く世界。“地底人”とされるお姫様パテマが、反対重力側の世界に落ち、「自分たちこそ優性人類で“地底人”は滅ぼさねばならぬ」という総統が支配する独裁国家に生きる学生エイジと知り合う。エイジは「空を見ることはならぬ」という国家のドグマに反して空に向って飛び出そうとして死んだ(事故死?)父親のせいで反体制主義的として目を付けられていた為、親しくなったばかりのパテマを捕えられてしまう。エイジは”地底人”の仲間ポルタと協力してパテマを取り返す冒険を繰り広げた結果“地底人”の在り処が解ってしまい、自らご出馬と相成った総統と対決することになる。

アニメということもありターゲットは「アップサイド・ダウン」より若干低年齢層のようで、SF的に曖昧なところが多く、科学的に少し疑問を感じるところもある。例えば、二人が手を繋いだ時にかかる重力は体重が大きいと推測されるエイジについて体重差に等しいと思われるから、あの二人の体型を見る限り急に手を放すような辛さは感じないはず。

重力に関する着想は全く同じである一方、あちらの世界が空を共有していたのに対し、こちらが共有するのは地面である。従って、ビジュアル的にはこちらのほうが面白味がない。反面、最後に種明かしされるひねりに生かされている。地底人はエイジ側のほうだったのである。優性を語りつつ真相がばれるのを恐れている(はずの)こちらの総統には昨日観た「猿の惑星」の人間に対するオランウータンの態度と共通するものがあって興味深い。

「サカサマのハテナ」ならスペイン語でどうぞ。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年09月19日 02:44
体制者は常に都合の悪いことは隠そうとするようで・・・・
SFを素材にしたときは、アニメの方が描きやすいようですね。
日本アニメは説教臭くないのがよろしいです。
オカピー
2014年09月19日 20:00
ねこのひげさん、こんにちは。

>体制者
「秘密保護法」だって、本当に高度なレベルの情報の保護が目的のはずですが、次第に政治家にとって都合が悪い低次元のものまで秘密になるのではないですか? 最悪のパターンがこの法律の「治安維持法」化ですが。
「個人情報保護法」だって本当は政治家の個人情報保護が目的だったのでしょう。それはなりませんでしたが、今日の新聞に載っていた国交省により踏切事故データの情報不開示・・・馬鹿じゃないのって感じですね。

>日本のアニメ
そうですね。
僕の言い方で言えば、純度が高い作品が多いと思います。

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  • サカサマのパテマ/岡本信彦

    Excerpt: この映画のチラシが劇場に置かれだしたのが『アップサイドダウン 重力の恋人』の公開時期と重なって、とても似通ったシチュエーション設定にすごい偶然があるのねと思ったんですよ ... Weblog: カノンな日々 racked: 2014-09-16 15:41