映画評「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々:魔の海」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督トール・フロイデンタール
ネタバレあり

ただ今読んでいるシェリーの詩劇「鎖を解かれたプロメテウス」でも時代や場所を超越する試みが行われている。オリンポス神に先立つタイタン族の子孫とされるプロメテウスがキリストやフランス革命の悲劇を知って苦しむのである。リック・リオーダンの荒唐無稽と思われるファンタジー小説も、好意的に見れば、同じようなものなのかもしれない。

その映画化第二弾で、海神ポセイドンと人間の女性との間に生まれた半神パーシー・ジャクソン(ローガン・ラーマン)が、黄金羊皮の蘇生力を使って悪名高いタイタン族の神クロノスを復活させてオリンポスの神々を滅亡させようと企む半神ルークに友人グローバー(ブランドン・T・ジャクスン)を拉致された為、女友達アナベス(アレクサンドラ・ダダリオ)や母違いの兄弟タイソン(ダグラス・スミス)と共に奪回する旅に出る。

そこからの主な舞台はポセイドンの息子らしく海で、バミューダの魔の三角地帯も巨大怪物が絡んでいるという設定がいかにも若者向けらしい。怪物の胃の中には先に訓練所の結界を復活させる為に羊皮を探す旅に出た高慢な半神クラリッサ(レヴェン・ランビン)もいて、ここから鮮やかなチームワークを発揮して怪物の胃の中から抜け出すと、パーシーは三人の魔女がつぶやいた謎の数字から羊皮の在り処を突き止めるが、結局ルークに奪われてクロノスが復活してしまう。

というお話で、ギリシャ神話に則っている箇所と、全く関係なく一般少年冒険映画と見まがうような箇所とが並立しているのはともかく、妙にメカニカルな怪物の登場など、おじさんには白ける部分が多い。
 死んで木になったゼウスの半神娘が蘇るところで終わり、第三作製作への意欲を強く感じさせるが、この時の登場人物の反応が少し妙。子供時代に一緒に行動した友達のはずなのに名前を聞いても互いにそれらしい反応がない。どうなっているのと首を傾げたくなりましたぞ。

画面としては、黄金羊皮をめぐるギリシャ神話に比較的忠実に作られた「アルゴ探検隊の大冒険」(1963年)のストップ・アニメーションによる特撮場面が一々見応えたっぷりで力が入るのに比べると、CGでこしらえられた一見華美な場面の何とも味気ないことよ。思い込みと言われれば、否定もできないのだが。

最近のアメリカ映画については何を言っても愚痴になる。寂し。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年09月05日 17:08
このシリーズの小説は全巻読みましたが、どうもいまいちで・・・・・
映画も1本目は観ましたがね・・・・
これもどうも・・・・・

ところで今晩日本テレビでエヴァンゲリオンが放映されますが、その時に特撮短編『巨神兵東京に現れる』も放映されるようです。
特撮フアン、必見であると思いますよ(^o^)/
オカピー
2014年09月05日 20:04
ねこのひげさん、こんにちは。

何だか原作は児童小説と聞きましたが?
それならこのくらいでも仕方がないかなあ。

>『巨神兵東京に現れる』
「エヴァ」は何か言うと怒られそうなので、触れないことにしています。
書くかどうかは別にして、こちらは観てみますか。
情報有難うございました<(_ _)>

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