映画評「ホワイトハウス・ダウン」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ローランド・エメリッヒ
ネタバレあり
映画史において偶然似たような作品がほぼ同時に作られるということがある。隕石衝突パニック映画「ディープ・インパクト」と「アルマゲドン」はたった二ヶ月しか本国での公開時期が違わない。偶然か後追いなのか僕は知らないが、偶然でも不思議ではない。
ホワイトハウスがテロリストに占拠されて大統領が危機に陥る「エンド・オブ・ホワイトハウス」と同工異曲である本作のアメリカ公開は前述作の凡そ三ヶ月後である。とにかく、2001年以前であればホワイトハウス破壊などというネタはまず考えられもしなかったであろう。アメリカ映画界が更なる刺激を求めてなりふり構わない状態に近づいていることと、アメリカ人がテロを本気で怖がっていることを裏打ちする現象ではないかと思う。
前述作の主人公はシークレット・サービスを干された男で、こちらもシークレット・サービスになり損ねた直後の男である。その軍隊上がりの主人公チャニング・テイタムが、大統領を英雄視している娘ジョーイ・キングを連れてホワイトハウスに出かけ、シークレット・サービス採用試験を受けるが、知り合いの特別警護官マギー・ギレンホールにすげなく落とされてしまい、娘へのサーヴィスでホワイトハウス見学をすることになる。
そこへ大統領の和平工作が気に入らない警護官トップのタカ派ジェームズ・ウッズがCIAのブラック・リストに載っている男たちを使って内部からテロを起こす。まずは国会議事堂の爆破で関心をそちらに向けさせた後ホワイトハウスを乗っ取る。
子供が人質になるのは「エンド」と重なる趣向だが、こちらのほうが使い方がぐっと上手い。アクション場面は似たり寄ったりで新味なく、コンピューター制御室でクラシック音楽それもベートーヴェンが流されるのは立てこもり系テロ・サスペンスの金字塔「ダイ・ハード」からの拝借である。
「エンド」ですら「ダイ・ハード」に似て既に新味がなかったのに、こちらはその「エンド」とほぼ同じ趣向なのだから「何をか言わんや」という感想が実際ながら、大統領ジェイミー・フォックスが平和主義の黒人大統領でバラク・オバマ氏を明らかに意識している辺りや、少女の思いがけぬ活躍に一応感興が湧く。実際大部分はかなり白けて観ていたのだが、少女の旗振りには思わず胸を打たれたデス。
「エンド」と併せて勉強になるのは、アメリカの下院議長は相当偉いということ。この映画の順序で言えば、副大統領に次ぐNo.3ということになる。
イスラム国(いつの間にかできた国家を名乗るテロ・グループ)が核兵器を持ったら秘密保護法も何もあったものではない。仮に集団的自衛権行使によりアメリカに協力してイスラム圏で戦争をしたら、日本も核の標的になる可能性が出て来る。原理主義テロリストに交渉の余地はない。怖いですね。
2013年アメリカ映画 監督ローランド・エメリッヒ
ネタバレあり
映画史において偶然似たような作品がほぼ同時に作られるということがある。隕石衝突パニック映画「ディープ・インパクト」と「アルマゲドン」はたった二ヶ月しか本国での公開時期が違わない。偶然か後追いなのか僕は知らないが、偶然でも不思議ではない。
ホワイトハウスがテロリストに占拠されて大統領が危機に陥る「エンド・オブ・ホワイトハウス」と同工異曲である本作のアメリカ公開は前述作の凡そ三ヶ月後である。とにかく、2001年以前であればホワイトハウス破壊などというネタはまず考えられもしなかったであろう。アメリカ映画界が更なる刺激を求めてなりふり構わない状態に近づいていることと、アメリカ人がテロを本気で怖がっていることを裏打ちする現象ではないかと思う。
前述作の主人公はシークレット・サービスを干された男で、こちらもシークレット・サービスになり損ねた直後の男である。その軍隊上がりの主人公チャニング・テイタムが、大統領を英雄視している娘ジョーイ・キングを連れてホワイトハウスに出かけ、シークレット・サービス採用試験を受けるが、知り合いの特別警護官マギー・ギレンホールにすげなく落とされてしまい、娘へのサーヴィスでホワイトハウス見学をすることになる。
そこへ大統領の和平工作が気に入らない警護官トップのタカ派ジェームズ・ウッズがCIAのブラック・リストに載っている男たちを使って内部からテロを起こす。まずは国会議事堂の爆破で関心をそちらに向けさせた後ホワイトハウスを乗っ取る。
子供が人質になるのは「エンド」と重なる趣向だが、こちらのほうが使い方がぐっと上手い。アクション場面は似たり寄ったりで新味なく、コンピューター制御室でクラシック音楽それもベートーヴェンが流されるのは立てこもり系テロ・サスペンスの金字塔「ダイ・ハード」からの拝借である。
「エンド」ですら「ダイ・ハード」に似て既に新味がなかったのに、こちらはその「エンド」とほぼ同じ趣向なのだから「何をか言わんや」という感想が実際ながら、大統領ジェイミー・フォックスが平和主義の黒人大統領でバラク・オバマ氏を明らかに意識している辺りや、少女の思いがけぬ活躍に一応感興が湧く。実際大部分はかなり白けて観ていたのだが、少女の旗振りには思わず胸を打たれたデス。
「エンド」と併せて勉強になるのは、アメリカの下院議長は相当偉いということ。この映画の順序で言えば、副大統領に次ぐNo.3ということになる。
イスラム国(いつの間にかできた国家を名乗るテロ・グループ)が核兵器を持ったら秘密保護法も何もあったものではない。仮に集団的自衛権行使によりアメリカに協力してイスラム圏で戦争をしたら、日本も核の標的になる可能性が出て来る。原理主義テロリストに交渉の余地はない。怖いですね。
この記事へのコメント
香港みたいに脚本を盗んで、本家より先に完成させてお株を奪うというわけではなさそうですしね。
狂信者が増えているというのは困ったものです。隻眼金髪の若者が参加するというのも、それだけ、貧富の差が酷くなっているという事もあるのでしょうが・・・
『キャリー2』…忘れてました('◇')ゞ
調べて画像を見て思い出しましたよ。主人公がブスではなく美人だったのが問題だったんですよね。
2013年にはリメイクもされてますね。
これは観てないですが、いずれ放映されるかな?
香港映画は知らず、アメリカの場合は時代のムードというのがあるのかもしれませんね。あちらの脚本家さんは結構勉強熱心で鋭く感じ取りますから。
>貧富の差
今の政権が思った通りに政策を進めると、大学へ行けない貧困層が自衛隊に入るようになるかもですね。
人口減で入り手の減っている自衛隊は相当焦っているようですし、そこへ集団的自衛権で死ぬ可能性があると思えば入り手はさらに減りますからね。しかし、勤め口がなければおのずとそこへ行かざるを得ないようになるかもしれません。
それでも足りなければ、徴兵制が始まりますね。
すぐにそこまでは行かないと思いますが。
>「キャリー2」
結構忘れるものですよ。
まして余り大した映画ではなかったですし。
リメイクは多分来年WOWOWに出るでしょう。ゾンビ映画やPOV映画ではないので観ると思いますが(笑)。
僕らの若い時代と違って、地上波は見当もつきません^^;