映画評「なんちゃって家族」

☆☆★(5点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ロースン・マーシャル・サーバー
ネタバレあり

下ネタで安直に笑わせようという感心できない傾向は最近の殆ど全てのアメリカ製コメディーに当てはまるので、もはや個々の作品を紹介する際に一々その類の愚痴を付ける必要のない感がある。本作もまた例外ではないが、嘘と誤解を中心にシチュエーション・コメディーとしての結構が比較的整っている為、誉めるほどでないにしても近年観た下ネタ中心のコメディーの中では楽しめる部類。

麻薬密売人のジェースン・サダイキスが、元締めの商人エド・ヘルムズに命令でメキシコから少々実は1トンものヘロインを密輸することになる。いかに何でも難しいと思っている時に家族を装って入出国すれば比較的ばれにくいだろうと、妻として同じアパートで暮らしているヌードダンサーのジェニファー・アニストン、娘役に浮浪少女エマ・ロバーツ、息子に近所の童貞少年ウィル・ポールターを雇い、キャンピング・カーで出かける。何とか無事に国境を抜け出たものの、ヘルムズが他人の取引を出し抜いたものだからメキシコの関係者に追われる羽目になる。

悪党の麻薬ディーラーや悪辣極まりない商人、米墨の官憲が絡んで色々と困難に遭遇するのは定石通りで大して面白くないが、一応格好はついている。しかし、その解決にも一々下ネタが絡んでいるのには苦笑い。

それより、アメリカでの検問所で知り合いになった夫婦の手前色々と嘘を付かなければならなくなる後半のシークエンスのほうが笑える。特に、夫ニック・オファーマンが麻薬取締官と判明した為対策を取ろうと夜中に二人して夫婦の寝るテントに忍び込んでスワッピングの勧誘と誤解される辺り、下品すぎるのは残念ながらシチュエーション・コメディーの要素を満たしている為古典的映画観で観る僕には評価したくなる部分ではある。しかるに、その対策が具体的にどういうものであったか最後まで不明なのは困る。

また、下ネタのほうでは親子・姉弟でキスをするところを夫婦の娘に見られてしまうのは誤解に絡めて悪くない一方、毒蜘蛛のサスペンスが少年の急所絡みなのはいかにもお下劣、直球過ぎて笑う気も起きない。

疑似家族が一緒に行動するに連れて本当の家族みたいになっていくのは型通りでつまらないような落ち着くような複雑な印象。しかし、証人保護プログラムの一環で結局チームは疑似家族を演じ続ける羽目になってヤレヤレという幕切れの扱いは割合スマートと言うべし。

元来下ネタ好きのアメリカ人の国民性が21世紀になって完全にタガが外れて現在の状況にあると思うが、シチュエーションの面白さで笑わせる古典的なアメリカ喜劇が好きな日本の映画ファンは、僕だけでなく、アメリカ喜劇の不作を嘆いているにちがいない。

下ネタが多い以外は比較的オーソドックスなアメリカ喜劇でした。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年12月23日 10:06
最近は、アメリカでもヘロインなどより危険ドラックが、日本と同じように問題になっているようでありますがね。
下品なコメディー・・・観ている人間の質に合わせているとしたら悲しいことでありますがね。
オカピー
2014年12月23日 17:53
ねこのひげさん、こんにちは。

>危険ドラッグ
困りますよねえ。
今の若い人は友達付き合いを大事にする為、誘われたりすると断れず深みにはまることもあり、子供を一人暮らしさせる親の心配の種になっているようです。

>観ている人間の質に
日本の場合は、TV局が映画に関わり出してから質の低下が始まったと思っています。結局TVドラマのレベルに合わせて作ると、行間で見せる映画に比べて無駄の多い長い映画が増えるのですね。
アメリカの場合は、素人製作者が増えたせいでしょうか。
いずれにしても、観客が大人になってそういう映画を観なくなれば質は向上しますが、自発的にそんなことが起こるわけもないのでして・・・TT

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