映画評「何という行き方!」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1964年アメリカ映画 監督J・リー・トンプスン
ネタバレあり
1960年代の主要コメディーはほぼ見尽くしたと思っていたが、題名だけよく知っていたこの作品は観ていなかった。図書館にDVDがあったので借りて来ました。
2億ドルものを寄付を国に申し出たものの頭がおかしいのではないかと門税払いを食らったシャーリー・マクレーンが、精神科医ボブ・カミングスにその訳を語る。
という形で本番が始まり、拝金主義の母親への猛反発から、町の青年実業家ディーン・マーティンを袖にして、「森の生活」を著した自然主義者ソローが好きだと言う商店主のディック・ヴァン・ダイクと結婚する。が、彼はマーティンへの対抗意識から突然金の亡者に変身して働きに働いた挙句過労死して莫大な遺産を彼女に残す。
パリに出た彼女はタクシー運転手ポール・ニューマンと意気投合するが、彼も機械に絵を描かせるアイデアで大成功を収めた挙句莫大な遺産を残してこれまた死んでしまう。ニューマンが機械に殺されるSFめいた展開。
それでは金持ちと結婚すればこんな悲劇は起こるまいと思って大富豪ロバート・ミッチャムと結婚、田舎でのんびりと暮らし始めるが、彼もまた牛に蹴られて頓死する。
もう結婚はこりごりと思って入った酒場で親しくなったダンサー、ジーン・ケリーと結局は結婚、するとまたまたあげまんぶりを発揮して彼は大スターになるが、ファンに押しかけられて不慮の死を遂げる。
話を聞くうちにすっかり彼女に惚れ込んでしまったカミングスが危うくあの世行きになったところへ落ちぶれたマーティンが掃除夫として現れ、今度こそ質素に暮らせると思いきや、原油が噴き出してがっくり・・・と思わせてそうならないのがコメディーたる所以であるが、馬鹿馬鹿しいお話ながら、可笑しさを内包している下ネタで直截に笑いを取るしか能がなくなった昨今のハリウッド喜劇に比べて、何と創意工夫のあることだろう。
お金儲けが嫌いなのに結婚すれば相手を尽く成功に導き、しかしあげまん変じて死神になってしまう呪われたヒロインの人生行路は正に傑作と言うべき可笑しさで、そこには勿論拝金主義や現代文明への風刺もあるのだが、その風刺が露骨にならず実に品が良い。
各エピソードがサイレント映画、1950年代風フランス映画、50年代風アメリカ映画、終戦直後のハリウッド・ミュージカル風の場面となって展開する辺りの洒落っ気も楽しい。監督は「ナバロンの要塞」(1961年)などアクション派のイメージが強いJ・リー・トンプスンで、完全に上手くこなしているとは言えないものの、このくらいの出来栄えに仕上げてくれればお釣りが出る。
アルフレッド・ヒッチコックのブラック・コメディー「ハリーの災難」(1956年)でデビューしたシャーリーならではのおとぼけ演技も冴えている。
オードリー・ヘプバーン主演、ビリー・ワイルダー監督で観たかった気もするなあ。尤も、本作自体が同じ年に作られたオードリー主演の「マイ・フェア・レディ」を意識して作られている観もある。
1964年アメリカ映画 監督J・リー・トンプスン
ネタバレあり
1960年代の主要コメディーはほぼ見尽くしたと思っていたが、題名だけよく知っていたこの作品は観ていなかった。図書館にDVDがあったので借りて来ました。
2億ドルものを寄付を国に申し出たものの頭がおかしいのではないかと門税払いを食らったシャーリー・マクレーンが、精神科医ボブ・カミングスにその訳を語る。
という形で本番が始まり、拝金主義の母親への猛反発から、町の青年実業家ディーン・マーティンを袖にして、「森の生活」を著した自然主義者ソローが好きだと言う商店主のディック・ヴァン・ダイクと結婚する。が、彼はマーティンへの対抗意識から突然金の亡者に変身して働きに働いた挙句過労死して莫大な遺産を彼女に残す。
パリに出た彼女はタクシー運転手ポール・ニューマンと意気投合するが、彼も機械に絵を描かせるアイデアで大成功を収めた挙句莫大な遺産を残してこれまた死んでしまう。ニューマンが機械に殺されるSFめいた展開。
それでは金持ちと結婚すればこんな悲劇は起こるまいと思って大富豪ロバート・ミッチャムと結婚、田舎でのんびりと暮らし始めるが、彼もまた牛に蹴られて頓死する。
もう結婚はこりごりと思って入った酒場で親しくなったダンサー、ジーン・ケリーと結局は結婚、するとまたまたあげまんぶりを発揮して彼は大スターになるが、ファンに押しかけられて不慮の死を遂げる。
話を聞くうちにすっかり彼女に惚れ込んでしまったカミングスが危うくあの世行きになったところへ落ちぶれたマーティンが掃除夫として現れ、今度こそ質素に暮らせると思いきや、原油が噴き出してがっくり・・・と思わせてそうならないのがコメディーたる所以であるが、馬鹿馬鹿しいお話ながら、可笑しさを内包している下ネタで直截に笑いを取るしか能がなくなった昨今のハリウッド喜劇に比べて、何と創意工夫のあることだろう。
お金儲けが嫌いなのに結婚すれば相手を尽く成功に導き、しかしあげまん変じて死神になってしまう呪われたヒロインの人生行路は正に傑作と言うべき可笑しさで、そこには勿論拝金主義や現代文明への風刺もあるのだが、その風刺が露骨にならず実に品が良い。
各エピソードがサイレント映画、1950年代風フランス映画、50年代風アメリカ映画、終戦直後のハリウッド・ミュージカル風の場面となって展開する辺りの洒落っ気も楽しい。監督は「ナバロンの要塞」(1961年)などアクション派のイメージが強いJ・リー・トンプスンで、完全に上手くこなしているとは言えないものの、このくらいの出来栄えに仕上げてくれればお釣りが出る。
アルフレッド・ヒッチコックのブラック・コメディー「ハリーの災難」(1956年)でデビューしたシャーリーならではのおとぼけ演技も冴えている。
オードリー・ヘプバーン主演、ビリー・ワイルダー監督で観たかった気もするなあ。尤も、本作自体が同じ年に作られたオードリー主演の「マイ・フェア・レディ」を意識して作られている観もある。
この記事へのコメント
オードリーだと、もっと華やかになったかもしれませんね。
>オードリー
色気は内わになったでしょうけどね。