映画評「ブラインド・フィアー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督ジョセフ・ルーベン
ネタバレあり

盲目の女性が怖い目に遭う映画と言った時に誰もが最初に思い浮かべるのは、オードリー・ヘプバーン主演の「暗くなるまで待って」(1967年)であろう。ミア・ファローが主演した「見えない恐怖」(1971年)というちょっと面白いサスペンスもあり、このカタカナ邦題は完全にそれを意識しているが、密室的に進行する結構は「暗くなるまで待って」に極めて近い。あちらが英国辺りではよくある道路より低い部屋を舞台にしていたのに対し、こちらは道路を見下ろすペントハウスである。

中近東で自爆テロに遭って失明した報道写真家ミシェル・モナハンが外出先から戻ると、いるはずの恋人がいない。それもそのはずで、彼は血まみれで倒れてい、犯人バリー・スローンが気付かない彼女の様子を伺っている。血で滑った彼女が事態に気付くと、スローンは行動を起こして彼女に隠しているものを見せろと脅迫しにかかる。眼の見えない彼女には全く処置なしで、しかも、何のことだが見当もつかない。
 隙を付いてスローンに反撃を試みた彼女が外に出て助けを求めると、検事を名乗るマイケル・キートンが現れる。「暗くなるまで待って」を観ている人なら彼がスローンの相棒なのはお見通しなのでヒロインほどショックを受けない。実際には、彼女にしてもそれほど驚いた感じがなく、観客に対するショック演出が生ぬるい印象は禁じ得ない。

この二人が何を探しているのかヒロインになかなか明かさないのは少し妙なのだが、これはお金が発見されて二人が部屋を出たと彼女共々観客に思わせる為に作者側が用意した伏線であることがやがて判る。

ここからが後半で、二人がまだ部屋にいることに気付いた彼女は、彼らの仲間割れを期して工作を図り、反撃を試みる。かのオードリー主演作が秀作になったのは、建物の構造を丹念に示したことがヒロインの行動の描出に大いに生かされてサスペンスが盛り上がり、また、反撃に盲人故の利点を最大限生かす面白味があったからだが、本作は第一の点はともかく、第二の点が特に弱い。電球を壊すシーンがあるも扱いが中途半端であるし、夕刻のベランダで彼女がキートンを撃つ場面では盲人故の耳の良さを生かしているものの、健常者の彼が特段不利になったわけではないので面白くなり切らないのである。

どういう結末を迎えるかは言わぬが花として、ヒロインはどうも彼らが何を探していたか本当は知っていた模様。

ないだろうと思いつつ調べてみたら、「見えない恐怖」のビデオ、何と図書館にありました。来月借りようっと。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年12月23日 10:27
名作があるとそれを凌ぐ作品を作るのはなかなかのようですね。
しかし、そちらの図書館は豊富ですね。
オカピー
2014年12月23日 18:16
ねこのひげさん、こんにちは。

出来栄えはともかく、こういうストレートなサスペンスは好きなので、もっと作られて欲しいですね。

>図書館
吃驚ですよ。
最近古い作品に関してNHKもWOWOWもふがいないので、暫く図書館から借りることが増えそうです。

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