映画評「マラヴィータ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2013年フランス=アメリカ合作映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり
冗長なのが味でもあったフレンチ・ノワールの個性を減じてしまった脚本家・製作者リュック・ベッソンの罪は大きいと思うが、監督としてのリュック・ベッソンは割合好きで、星の数は少なめに抑えたものの、マフィアをテーマにしたこのブラック・コメディーもなかなか楽しく観た。
ロバート・デニーロとミシェル・ファイファーのアメリカ人中年夫婦がハイティーンの娘ダイアナ・アグロンと息子ジョン・ディレオを連れてノルマンディー地方に越してくる。
デニーロは隣人には作家などと称するが、実はFBI監視の下、証人保護プログラムに庇護されている元マフィアのボスで、数か月に一度引っ越しを余儀なくされている。長く居留まろうと近所付き合いをするものの、短気な性格を抑えるのに苦労する。
このシークエンスにおいて相手に暴力を振るう場面を想像するアイデアは平凡ながら、その直後に実際に相手を痛めつける場面が置いて効果を強めているのは上手い。さらに、他の家族も全員気が短くかつ暴力的なのも、笑わせてくれる。
さて、息子がマフィアのジョークを載せた学校新聞が、何の神のいたずらか、アメリカの刑務所にまで渡りデニーロ一家の居場所が突き止められるのが、さらに面白い。
しかし、これによりマフィアの連中が一家の家に押し掛けてバイオレンスを繰り広げる終盤は不満。ユーモアがすっかり欠如してしまうからである。マフィア映画のパロディーたる本作であるから、何の関係もないフランスの一般庶民が巻き込まれて殺傷されてしまうのが怪しからん、などと野暮なことは申さぬが、こうした激しい場面においても前半の如くユーモアが醸成されなければ一貫したものが感じられず、ちぐはぐな印象をもたらしてしまう。
外にいた娘と息子が駆けつけて活躍するのに、前半豪快なところを見せたミシェルがおたおたするのも少々腑に落ちない。
トニーノ・ブナキスタの小説(邦題「隣のマフィア」)が原作。
家族が一家を上げて活躍するところは「なるほどファミリー(家族)である」と、ファミリーの意味をマフィアのそれと重ねたユーモアは大いに買いますがね。
2013年フランス=アメリカ合作映画 監督リュック・ベッソン
ネタバレあり
冗長なのが味でもあったフレンチ・ノワールの個性を減じてしまった脚本家・製作者リュック・ベッソンの罪は大きいと思うが、監督としてのリュック・ベッソンは割合好きで、星の数は少なめに抑えたものの、マフィアをテーマにしたこのブラック・コメディーもなかなか楽しく観た。
ロバート・デニーロとミシェル・ファイファーのアメリカ人中年夫婦がハイティーンの娘ダイアナ・アグロンと息子ジョン・ディレオを連れてノルマンディー地方に越してくる。
デニーロは隣人には作家などと称するが、実はFBI監視の下、証人保護プログラムに庇護されている元マフィアのボスで、数か月に一度引っ越しを余儀なくされている。長く居留まろうと近所付き合いをするものの、短気な性格を抑えるのに苦労する。
このシークエンスにおいて相手に暴力を振るう場面を想像するアイデアは平凡ながら、その直後に実際に相手を痛めつける場面が置いて効果を強めているのは上手い。さらに、他の家族も全員気が短くかつ暴力的なのも、笑わせてくれる。
さて、息子がマフィアのジョークを載せた学校新聞が、何の神のいたずらか、アメリカの刑務所にまで渡りデニーロ一家の居場所が突き止められるのが、さらに面白い。
しかし、これによりマフィアの連中が一家の家に押し掛けてバイオレンスを繰り広げる終盤は不満。ユーモアがすっかり欠如してしまうからである。マフィア映画のパロディーたる本作であるから、何の関係もないフランスの一般庶民が巻き込まれて殺傷されてしまうのが怪しからん、などと野暮なことは申さぬが、こうした激しい場面においても前半の如くユーモアが醸成されなければ一貫したものが感じられず、ちぐはぐな印象をもたらしてしまう。
外にいた娘と息子が駆けつけて活躍するのに、前半豪快なところを見せたミシェルがおたおたするのも少々腑に落ちない。
トニーノ・ブナキスタの小説(邦題「隣のマフィア」)が原作。
家族が一家を上げて活躍するところは「なるほどファミリー(家族)である」と、ファミリーの意味をマフィアのそれと重ねたユーモアは大いに買いますがね。
この記事へのコメント
友達もボクも デニーロが好きです。
カタギの生活に 悪戦苦闘の元ボス・・・いいねえ~Ъ(^~゜)
気が向いたから 動画を貼り付けますね。バナナラマ「愛しのロバートデニーロ」
https://www.youtube.com/watch?v=YhWE0we4FaQ
>デニーロ
最近やたらに出まくっているのが少々気になりますが、この「マラヴィータ」のパロディー演技や、「アメリカン・ハッスル」におけるカメオ出演は良かったです。
デニーロは僕が映画ファンになってから有名になった(by 「タクシー・ドライバー」ので、僕にとってはいつまでも新人のようなイメージですが、大分貫録がつきました。
やっぱりデニーロの迫力には勝てませんな~
『タクシー・ドライバー』はよかったですな~
SMAPの草彅君の出た作品もそうでしたね。
だからすぐに元の世界に戻ってしまうのですが。
>『タクシー・ドライバー』
10年以上も前から再鑑賞しようと思いつつ、未だにしていないという・・・
主題曲が特に好きでしたね。