映画評「ロボコップ」(2014年版)
☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ホセ・パヂーリャ
ネタバレあり
ポール・ヴァーホーヴェン監督の出世作とも言える「ロボコップ」(1987年)のリメイクは、意外なほど面白い。そもそもオリジナルに全くの愛着がなく素直に観ることが出来たせいもあるが、仮に愛着があったとしても冷静に見ることができればリメイクとして上出来の部類ではないかと思う。
オリジナル原理主義者(?)は原作(オリジナル)へのリスペクトがないなどと相も変わらず馬鹿らしいことを述べる(オリジナルが良いと思うのは人情であり、理解できる)が、製作者は通常オリジナルを観ていない人を如何に映画館へ呼び込むかとお金儲けしか眼中にないから当然リスペクトなどあるわけがない。芸術的にも、原点を尊重する必要があるのなら、100年も前のサイレント映画でもなければ、リメイクを作るには及ぶまい。オリジナルを一生懸命宣伝すれば良い。僕らの若い時代と違ってかなりの作品が望むままに観られる時代なのだから。
銃の横流し事件を追っていたジョエル・キナマン(役名アレックス・マーフィは旧作と同じ)が車の爆破で重体を陥り、ゲイリー・オールドマンが開発した技術を使ってサイボーグとして蘇る。推進するのは、自社の製品をロボット警官として全米各地に配備したい先進技術企業オムニコープのCEOマイケル・キートンで、海外ではロボット警官が活躍出来ているのに自国では法律が邪魔になっている。そこでサイボーグ警官で世間を味方につけ法律の撤廃を図ろうと言うのだ。また、ニュースキャスターのサミュエル・L・ジャクソンもロボット警官配備を推進しようとしている。
かくして、妻アビー・コーニッシュや幼い息子への愛情の為に人間でありたいキナマンの意に反して、オールドマンやキートンは彼を機械として支配しようとし、ここにドラマ的な葛藤が生まれる。
オリジナルが著しくB級的であったのに対し、本作は9・11以降の作品らしく主人公の家族への愛情を前面に出して上品な風刺SF的仕上がり。風刺が主人公の家族への思いと上手く絡み合って露骨な印象が避けられているのでかなり楽しめる。
風刺について言えば、アメリカ企業が外国の戦争で儲けている軍事産業やメディアの偏向といった部分がパロディー的に上手く扱われ、他方、主人公の家族への思いは科学(若しくは経済)VS人間の感情という形でドラマの面白味として機能するのである。
CGが著しく発達した2014年の本作は、まだSFX(CGはVFX)に頼るところも多かったはずの1987年版と比べて、ヴィジュアル的には遥かに流麗であるが、CG基軸ではアクションがどうも面白く感じられない僕にはそれほどプラスにならない。良く出来ているのに越したことはないといった程度である。
9・11と言えば、フランスでのテロも恐ろしい。今は対岸の火事として見られる日本も、集団的自衛権とやらでアメリカに全面的に協力するとなると、類似テロ発生の可能性が出て来るね。
2014年アメリカ映画 監督ホセ・パヂーリャ
ネタバレあり
ポール・ヴァーホーヴェン監督の出世作とも言える「ロボコップ」(1987年)のリメイクは、意外なほど面白い。そもそもオリジナルに全くの愛着がなく素直に観ることが出来たせいもあるが、仮に愛着があったとしても冷静に見ることができればリメイクとして上出来の部類ではないかと思う。
オリジナル原理主義者(?)は原作(オリジナル)へのリスペクトがないなどと相も変わらず馬鹿らしいことを述べる(オリジナルが良いと思うのは人情であり、理解できる)が、製作者は通常オリジナルを観ていない人を如何に映画館へ呼び込むかとお金儲けしか眼中にないから当然リスペクトなどあるわけがない。芸術的にも、原点を尊重する必要があるのなら、100年も前のサイレント映画でもなければ、リメイクを作るには及ぶまい。オリジナルを一生懸命宣伝すれば良い。僕らの若い時代と違ってかなりの作品が望むままに観られる時代なのだから。
銃の横流し事件を追っていたジョエル・キナマン(役名アレックス・マーフィは旧作と同じ)が車の爆破で重体を陥り、ゲイリー・オールドマンが開発した技術を使ってサイボーグとして蘇る。推進するのは、自社の製品をロボット警官として全米各地に配備したい先進技術企業オムニコープのCEOマイケル・キートンで、海外ではロボット警官が活躍出来ているのに自国では法律が邪魔になっている。そこでサイボーグ警官で世間を味方につけ法律の撤廃を図ろうと言うのだ。また、ニュースキャスターのサミュエル・L・ジャクソンもロボット警官配備を推進しようとしている。
かくして、妻アビー・コーニッシュや幼い息子への愛情の為に人間でありたいキナマンの意に反して、オールドマンやキートンは彼を機械として支配しようとし、ここにドラマ的な葛藤が生まれる。
オリジナルが著しくB級的であったのに対し、本作は9・11以降の作品らしく主人公の家族への愛情を前面に出して上品な風刺SF的仕上がり。風刺が主人公の家族への思いと上手く絡み合って露骨な印象が避けられているのでかなり楽しめる。
風刺について言えば、アメリカ企業が外国の戦争で儲けている軍事産業やメディアの偏向といった部分がパロディー的に上手く扱われ、他方、主人公の家族への思いは科学(若しくは経済)VS人間の感情という形でドラマの面白味として機能するのである。
CGが著しく発達した2014年の本作は、まだSFX(CGはVFX)に頼るところも多かったはずの1987年版と比べて、ヴィジュアル的には遥かに流麗であるが、CG基軸ではアクションがどうも面白く感じられない僕にはそれほどプラスにならない。良く出来ているのに越したことはないといった程度である。
9・11と言えば、フランスでのテロも恐ろしい。今は対岸の火事として見られる日本も、集団的自衛権とやらでアメリカに全面的に協力するとなると、類似テロ発生の可能性が出て来るね。
この記事へのコメント
とうぜん、日本も目標にするでありましょう。
甘く見ると人類滅亡に繋がりかねませんな。
サイボーグをロボとはこれいかに。
まあいいけど。
>イスラム国
原理主義者は困ったものですが、彼らを過剰にさせるのは西欧先進諸国のせいでもあるという複雑な側面がありますよね。
イスラム教徒にとって現在の日本は最も住みやすい先進国だそうですので、アメリカに追従して余り積極的に絡まない方が良いと思いますが。
>サイボーグをロボとは
SF的用語の扱いとしてはかなりいい加減ですよね。
実際にロボコップは出て来るけど、主人公はサイボーグ・コップでした。