映画評「藁の楯 わらのたて」
☆☆★(5点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
積極的に観なくても撮影本数がやたらに多い為に一年に一本は観てしまう三池崇史監督作品で、原作は木内一裕。
変態青年・藤原竜也に孫娘を殺された大資産家の老人・山崎努が男を殺した者に10億円を進呈すると広告を出す。この広告により早速彼を匿っていた友人に襲われた藤原は自ら福岡の警察署に出頭する。
ここからがいよいよ本番で、警視庁SPの大沢たかおと松嶋菜々子、警視庁捜査一課の岸谷五朗と永山絢斗、そして福岡県警の伊武雅刀が彼を警視庁まで護送することになるが、当初予定していた飛行機は整備士が細工をしていたことが発覚した為新幹線を使うことになる。
関係者を含めて誰が襲ってくるか解らず、身内も裏切る可能性がないとは言えない為に疑心暗鬼が生ずる状態が護送中続く、という大いに面白くなる可能性をふいにした、誠に勿体ない出来栄えと言うべし。
一番ヨロシクないのは、折角老人が用意した良い意味でのゲーム性を、だらだらした人間ドラマ的な要素で無駄にしてしまったことである。だらだら度はひどいとまでは言えないにしても、もっとハードボイルドに徹していたら「スピード」(1994年)のように真に面白いサスペンスになり得たが、ドラマ性即ちこの手の作品においてはメッセージ性を有難がるファンが多い日本ではどうしてもこういう作りになるのであろう。
尤も、この設定自体が現在の日本では余りに現実離れしている。日本は法治国家であるから、多分10億円を貰うには法律的問題があるはずで、一般国民はともかく官憲がその餌に簡単にあっさり飛びつくとも思えない。それゆえ殺害でなく未遂でも1億円払って社員に迎え入れるという設定を追加したのだろうが、それでも日本人の国民性を考えると説得力が薄いので、結局大量の星を進呈するというわけには行かなかったかもしれない(が、可能性はあった)。
もう少し細かい点では、優秀であるはずの女性SPが余りにも油断が多く、ご都合主義に過ぎる。半ばお涙頂戴的な、下手な作劇と言うしかない。
「わらの殺陣」だったりして。現代劇だから擬斗と言うべきでしょうが。
2013年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
積極的に観なくても撮影本数がやたらに多い為に一年に一本は観てしまう三池崇史監督作品で、原作は木内一裕。
変態青年・藤原竜也に孫娘を殺された大資産家の老人・山崎努が男を殺した者に10億円を進呈すると広告を出す。この広告により早速彼を匿っていた友人に襲われた藤原は自ら福岡の警察署に出頭する。
ここからがいよいよ本番で、警視庁SPの大沢たかおと松嶋菜々子、警視庁捜査一課の岸谷五朗と永山絢斗、そして福岡県警の伊武雅刀が彼を警視庁まで護送することになるが、当初予定していた飛行機は整備士が細工をしていたことが発覚した為新幹線を使うことになる。
関係者を含めて誰が襲ってくるか解らず、身内も裏切る可能性がないとは言えない為に疑心暗鬼が生ずる状態が護送中続く、という大いに面白くなる可能性をふいにした、誠に勿体ない出来栄えと言うべし。
一番ヨロシクないのは、折角老人が用意した良い意味でのゲーム性を、だらだらした人間ドラマ的な要素で無駄にしてしまったことである。だらだら度はひどいとまでは言えないにしても、もっとハードボイルドに徹していたら「スピード」(1994年)のように真に面白いサスペンスになり得たが、ドラマ性即ちこの手の作品においてはメッセージ性を有難がるファンが多い日本ではどうしてもこういう作りになるのであろう。
尤も、この設定自体が現在の日本では余りに現実離れしている。日本は法治国家であるから、多分10億円を貰うには法律的問題があるはずで、一般国民はともかく官憲がその餌に簡単にあっさり飛びつくとも思えない。それゆえ殺害でなく未遂でも1億円払って社員に迎え入れるという設定を追加したのだろうが、それでも日本人の国民性を考えると説得力が薄いので、結局大量の星を進呈するというわけには行かなかったかもしれない(が、可能性はあった)。
もう少し細かい点では、優秀であるはずの女性SPが余りにも油断が多く、ご都合主義に過ぎる。半ばお涙頂戴的な、下手な作劇と言うしかない。
「わらの殺陣」だったりして。現代劇だから擬斗と言うべきでしょうが。
この記事へのコメント
深作監督だったら・・・北の監督だったら・・・
動なんでしょうね。
>三池さん
イメージとしてはそうですよね。
深作欣二監督がご存命なら撮りそうです。もっとドキュメンタリー・タッチに仕上げ、厳しさが増すのではないでしょうか。
たけちゃんはやくざ映画を撮っていますが、結構アート志向なので、どうですか。