映画評「地獄への道」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1939年アメリカ映画 監督ヘンリー・キング
ネタバレあり

西部のアウトローとして有名なジェシー・ジェームズの後半生を描く西部劇。先年「ジェシー・ジェームズの暗殺」で述べたように彼とその一味を扱った作品が多い中、本作はトーキーとして初めて彼の生涯を扱った作品として記憶される。再鑑賞。

南北戦争後、鉄道敷設の土地収用の為に家を訪れた鉄道会社派遣のヤクザ者(ブライアン・ドンレヴィ)らを追っ払ったジェシー(タイロン・パワー)は、母親を死に追い込んだ鉄道会社を許せず、復讐の為に徒党を組んで列車強盗を始める。手を焼いた社長マッコイ(ドナルド・ミーク)が懐柔策を呈すると、ジェシーは親しい保安官ウィル・ライト(ランドルフ・スコット)に従って留置場に入る。が、その途端にマッコイが豹変して彼を死刑にしようとした為、兄フランク(ヘンリー・フォンダ)が救援に訪れる。

ここまで義賊ジェシー・ジェームズ誕生の巻といったところであるが、史実では、兄弟は南北戦争出征中に既に南軍ゲリラとして強盗を働いているらしく、義賊というのは後年(但し彼の生存中に)出来上がった伝説にすぎない模様。

後半では義賊としてではなく官憲に追われるアウトローとしての立場から妻ジー(ナンシー・ケリー)や子供との関係を中心に描出しつつも、映画は義賊としての彼に拘泥する様子が伺える。

全体としては、メロドラマ(ジャンルではなく演出スタイルにおけるメロドラマ)のベテラン監督であるヘンリー・キングらしく微温的な印象に終始する。それでも、馬でショーウィンドーを突き破ったり、馬ごと崖上から川に飛び込む場面などは1939年の製作作品とすればかなりモダンな印象で、見どころ。
 後年のリアリズム西部劇と違って、顔中ひげだらけで登場人物の誰が誰だが解らないなんてことがないのが何より良い。

ひと頃「ひげ中顔だらけ」といった言葉遊びが流行りましたっけな。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年03月22日 08:24
どちらが悪党かわからんということはありますな~
オカピー
2015年03月22日 15:32
ねこのひげさん、こんにちは。

西部劇ではないですが、先日観た「コン・ティキ」でも髭で区別できなくなりました。有名な俳優ならまだ良いのですがねえ。

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  • 「地獄への道」

    Excerpt: 続編の「地獄への逆襲」を先に見ていたが、このたび、やっと前作を見た。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2015-04-25 17:00