映画評「大学の若大将」
☆☆(4点/10点満点中)
1961年日本映画 監督・杉江敏男
ネタバレあり
WOWOWさんが変な特集ばかり組んで今月は観るものが少ない。「若大将」シリーズ全18本放映をその“変な特集”に入れるつもりはないが、新作が余りに不作なので今月のスケジュールはこのうち何本かで埋める予定だ。
「若大将」シリーズは十代の時からよく放映されていたから何気なく何本か観ている。この第一作は映画評を書き始めてから一回観たらしく、IMDbに3点を入れている。今回再鑑賞したところ厳しすぎる気がするので、少しアップさせておきます。
京南大学の若大将こと田沼雄一(加山雄三)は水泳部のエース、老舗のすき焼き屋の長男で学生バンドのリーダーとしてキャバレーでバイトもしている。それに加えて正義感も腕っぷしも強い好青年だから女性陣にモテモテ、大学のクラスメート(団令子)に歌手(北あけみ)から秋波を送られ、そこにバスでの座席騒動で知り合ったデパート店員・澄子(星由里子)が加わる。彼女には、彼の大学の同級生である青大将(田中邦衛)も目を付けていて、ここに恋のさや当てが繰り広げられる。
それに若大将と父親(有島一郎)とのちょっとした確執を交えて展開する次第であるが、明朗であり進行に淀みがないことは誠に結構ながら、全てにおいて調子が良すぎて些か鼻白む。ライバルとなる青大将の性格が一貫しない印象があるのも弱い。
オールド・ファンにおかれてはご承知のように、このシリーズでは若大将の演奏シーンが名物となっていく。本作では大学の部室で、家で、キャバレーでといった具合に幾つか聞かせて貰える。しかし、歌われる楽曲が弾厚作(加山のペンネーム)のものではなくて日本的泥臭さを抜け出ていず、物足りない。
キャバレーの場面ではその演奏シーンを優先したが為に父親がステージに息子を発見して吃驚するところの見せ方が実に間の抜けた感じになっている。監督をした杉江敏男の感覚と呼吸に不満を感じる所以である。しかし、クライマックスの対抗戦における水泳の競技模様の見せ方は悪くない。
本作の公開二か月後に石原裕次郎主演のカレッジもの「あいつと私」が公開されていて、方や陰性、方や陽性(本作)と好対照を成すのも映画史的に興味深い。
昔わが村ではどの家にも一匹くらい青大将がいて、時々茶箪笥を開けると目と目が合って吃驚なんてこともあったが、最近は全く見ない(見たくもないが)。ただし、畑には春先から初冬にかけてマムシがいる可能性があるので、気を付けて野良仕事をする春以降の日々であります。
1961年日本映画 監督・杉江敏男
ネタバレあり
WOWOWさんが変な特集ばかり組んで今月は観るものが少ない。「若大将」シリーズ全18本放映をその“変な特集”に入れるつもりはないが、新作が余りに不作なので今月のスケジュールはこのうち何本かで埋める予定だ。
「若大将」シリーズは十代の時からよく放映されていたから何気なく何本か観ている。この第一作は映画評を書き始めてから一回観たらしく、IMDbに3点を入れている。今回再鑑賞したところ厳しすぎる気がするので、少しアップさせておきます。
京南大学の若大将こと田沼雄一(加山雄三)は水泳部のエース、老舗のすき焼き屋の長男で学生バンドのリーダーとしてキャバレーでバイトもしている。それに加えて正義感も腕っぷしも強い好青年だから女性陣にモテモテ、大学のクラスメート(団令子)に歌手(北あけみ)から秋波を送られ、そこにバスでの座席騒動で知り合ったデパート店員・澄子(星由里子)が加わる。彼女には、彼の大学の同級生である青大将(田中邦衛)も目を付けていて、ここに恋のさや当てが繰り広げられる。
それに若大将と父親(有島一郎)とのちょっとした確執を交えて展開する次第であるが、明朗であり進行に淀みがないことは誠に結構ながら、全てにおいて調子が良すぎて些か鼻白む。ライバルとなる青大将の性格が一貫しない印象があるのも弱い。
オールド・ファンにおかれてはご承知のように、このシリーズでは若大将の演奏シーンが名物となっていく。本作では大学の部室で、家で、キャバレーでといった具合に幾つか聞かせて貰える。しかし、歌われる楽曲が弾厚作(加山のペンネーム)のものではなくて日本的泥臭さを抜け出ていず、物足りない。
キャバレーの場面ではその演奏シーンを優先したが為に父親がステージに息子を発見して吃驚するところの見せ方が実に間の抜けた感じになっている。監督をした杉江敏男の感覚と呼吸に不満を感じる所以である。しかし、クライマックスの対抗戦における水泳の競技模様の見せ方は悪くない。
本作の公開二か月後に石原裕次郎主演のカレッジもの「あいつと私」が公開されていて、方や陰性、方や陽性(本作)と好対照を成すのも映画史的に興味深い。
昔わが村ではどの家にも一匹くらい青大将がいて、時々茶箪笥を開けると目と目が合って吃驚なんてこともあったが、最近は全く見ない(見たくもないが)。ただし、畑には春先から初冬にかけてマムシがいる可能性があるので、気を付けて野良仕事をする春以降の日々であります。
この記事へのコメント
どれも筋書きの決まった本なので、とにかく加山ファンとしては最後のスカッとする所やら、途中の音楽を楽しみに観ていた映画でしたね。
星由里子も綺麗だったし、飯田蝶子婆ちゃんも可愛かったし(^^)。
この後、田中邦衛がTVであんなにブレイクするとは思いもしませんでした。
当方は映画館で観たことはないですねえ。僕が映画ファンになった頃はシリーズも終わりかけていましたし、当時は邦画を殆ど観なかったですからねえ。
>筋書
明日UPする予定の第二作と本作はまるっきり同じです^^;
本当に音楽を楽しみ、最後の大団円を楽しむべきシリーズでしたねえ。
>星由里子
綺麗です。
若い頃は今の石原ひとみにかなり似ていると思いますが、いかが?
>田中邦衛
本当にですねえ。バイプレーヤーというのは知られないで終わることが多いのですが。70年代映画がすたれたのが転機になるとは皮肉ですよね。
縁起物みたいな作品ですからねぇ(笑)
星由里子は、同じく東宝のゴジラシリーズにも何作か出ていまして、そちらの方が印象が強いです。
和製ヘップバーンと言われた女優は複数いますが、華美でない美しさのある彼女が一番近いかな?
>若い頃は今の石原ひとみにかなり似ていると思いますが、いかが?
あ、石原さとみですね、うん、似ている、彼女をもっと清楚にして、色気を薄めたら星百里子でしょう。
石川ひとみではもちろんないですよね。
いやあ、一応何でも取り上げることにしていますのでね^^
ビデオ全盛期にはゲテモノも食しました。採点を付けるにも困るようなのが相当あり、ブログに書けば楽しいとは思います。今更書きませんけど。
>星由里子
日本の美人女優は清楚が売りの人が多いですけど、若い時の彼女、断然良いですね。
和製ヘップバーンか。なるほど。
>石原ひとみ
ははっ、書き間違えました<(_ _)>
石原さとみでございます。
今日アップした第二作でも触れております。