映画評「光にふれる」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年台湾=香港=中国合作映画 監督チャン・ロンジー
ネタバレあり

台湾の辻井伸行君ことホアン・ユィシアン君の半生をベースに構成した青春映画である。

全盲のホアン君扮するホアン君は、母親の主導により、台北の大学の音楽部でピアノの練習に励むことになるが、母親の事前の準備にも拘わらず一人暮らしに悪戦苦闘する。
 そんな時に知り合ったのがダンサーの夢を持ちながらバイトに明け暮れるサンドリーヌ・ピンナで、子供時代に「盲目だから(同情から)優勝できた」と言われたことがトラウマになり才能を持ちながらコンテスト出場に消極的になっている彼と同病相憐れみ親しくなっていく。
 彼の存在自体に励まされてサンドリーヌはダンスのコンクールに参加、そんな彼女からの音の手紙と音楽仲間の協力で彼もまたコンテストの場に上がる。結果は彼女は惜しくも落選、彼はコンテストの対象外ではあったものの好評を博す。

監督チャン・ロンジーは新人で、セミ・ドキュメンタリー・タッチが爽やか。二人が出会うまでの進め方が些かぎこちなくかつまだるっこいが、その部分でも感覚の良さは随処に感じられる。
 それが顕著に現れているのは、ハイライトと言うべき二つのコンテストのクロス・カッティングで、彼(ら)の演奏がBGMを使わない彼女の踊りのBGMになっていくように感じられるアイデアが秀逸。その部分だけ若干通俗的な扱いになっている印象があるものの、昨今の日本映画やハリウッド映画のような大仰な展開や見せ方をしない抑制的な態度に感心させられた。

全体として上手い映画とは言いにくいので、☆★は抑えたが、ミーちゃんハーちゃん的な目的を持って観なければ捨てがたい良作と言うべし。

外見が全くのフランス人で、中国(北京)語を話しているのが不思議に見えるハーフのサンドリーヌ・ピンナが魅力的。

日本映画なら、彼女の外国人風の容貌に周囲の登場人物の関心が集まるだろうな。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年05月10日 08:53
日本でもかなり海外から来た人やハーフのタレントが増えたのであまり珍しいがられることもなくなりましたけどね。。
でも、諸外国に比べれば少ない方なんでしょうね。
オカピー
2015年05月10日 21:58
ねこのひげさん、こんにちは。

芸能人はともかく、町でああいうバタ臭い顔をして店の売り子をして普通に日本語を喋っていれば「ハーフですか」などと訊くと思うわけです。僕の住んでいるような田舎だったらもう大変ですよ。
実は近所に一人若いアメリカ人が住んでいますけどね、最初は大騒ぎだった。今は年寄りたちとそれなりの日本語で世間話をしています。

その点アメリカ(カリフォルニア)は全然違いますね。
僕などはいかにも旅行者だからすぐに解るでしょうが、よく渡米していたわが上司は在米日本人か日系米人みたいですから、現地の人から逆に空港のレンタル屋では「車の借り方教えてください」、観光地では「あの魚は何と言うんですか」、レコード屋では「これこれのレコードを探しているんですが」と店員でもないのに訊かれていたのに遭遇し、吃驚しましたね。
カリフォルニアでは民族なんか関係ないんだなって。

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