映画評「るろうに剣心 京都大火編」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・大友啓史
ネタバレあり
和月伸宏の人気コミック(と言っても目にしたことすらない)の映画版第2弾にして、続く第3弾の前編に当たる。監督は前作と変わらず、大友啓史。
明治11年、不殺(殺さず)の誓いを守っているかつての尊皇攘夷派の暗殺者・緋村剣心(佐藤健)が、前作で知り合った人々と、女師範・神谷薫(武井咲)の住居で平穏に過ごしている或る日、内務卿・大久保利通(宮沢和史)に呼び出されると、討伐隊では終ぞ抑えられない謀反人の志々雄真実(藤原竜也)を倒すように命じられ、社会の平穏の為にとやむなく一味のいる京都に向う。同地で宿屋を営むかつての幕府密偵の老人(田中泯)からは別に剣心を狙う元密偵(伊勢谷友介)の情報を得る一方、彼らと力を合わせて、大火を起こそうとする一味の謀略を最小限に抑えようと懸命に働く。
明治政府に恨みを持つ男の日本征服の野望を、不殺の誓いに悩まされながら、くじかなければらない剣心のジレンマがドラマ的に肝となる設計であるが、本作に関してはやはり殺陣の魅力に尽きる。現在の作品であるから勿論アクションでのカット割りは全般的に細かいものの、それでもミディアム(寄りと引きの間)からロング(引き)のショットをうまく組み合わせることで誰が何をしているかよく解るように撮り、かつ現代的なスピード感を損なっていないのだから、前作同様誉めておかねばらない。カメラの貢献度の高さだけでなく、佐藤健の運動能力も大したものである。
それと美術(スタッフ)が相当頑張っているのも印象深い。
お話としては、大久保利通暗殺の史実を上手く利用したところは面白いが、薫が京都へわざわざ主人公の邪魔しに来るような印象があるのは苦笑を誘う。アクションに比べてこちらは弱体と言わざるを得ない。続き物であるからすっきりしないまま終わるのもじれったい。来月後編が観られるそうであるから楽しみに待つことにしましょう。
当方のジャンル分類の基準では、本来明治時代は時代劇に入らないのだけれど、殺陣が重要視されているので、時代劇扱いにするのだ。
2014年日本映画 監督・大友啓史
ネタバレあり
和月伸宏の人気コミック(と言っても目にしたことすらない)の映画版第2弾にして、続く第3弾の前編に当たる。監督は前作と変わらず、大友啓史。
明治11年、不殺(殺さず)の誓いを守っているかつての尊皇攘夷派の暗殺者・緋村剣心(佐藤健)が、前作で知り合った人々と、女師範・神谷薫(武井咲)の住居で平穏に過ごしている或る日、内務卿・大久保利通(宮沢和史)に呼び出されると、討伐隊では終ぞ抑えられない謀反人の志々雄真実(藤原竜也)を倒すように命じられ、社会の平穏の為にとやむなく一味のいる京都に向う。同地で宿屋を営むかつての幕府密偵の老人(田中泯)からは別に剣心を狙う元密偵(伊勢谷友介)の情報を得る一方、彼らと力を合わせて、大火を起こそうとする一味の謀略を最小限に抑えようと懸命に働く。
明治政府に恨みを持つ男の日本征服の野望を、不殺の誓いに悩まされながら、くじかなければらない剣心のジレンマがドラマ的に肝となる設計であるが、本作に関してはやはり殺陣の魅力に尽きる。現在の作品であるから勿論アクションでのカット割りは全般的に細かいものの、それでもミディアム(寄りと引きの間)からロング(引き)のショットをうまく組み合わせることで誰が何をしているかよく解るように撮り、かつ現代的なスピード感を損なっていないのだから、前作同様誉めておかねばらない。カメラの貢献度の高さだけでなく、佐藤健の運動能力も大したものである。
それと美術(スタッフ)が相当頑張っているのも印象深い。
お話としては、大久保利通暗殺の史実を上手く利用したところは面白いが、薫が京都へわざわざ主人公の邪魔しに来るような印象があるのは苦笑を誘う。アクションに比べてこちらは弱体と言わざるを得ない。続き物であるからすっきりしないまま終わるのもじれったい。来月後編が観られるそうであるから楽しみに待つことにしましょう。
当方のジャンル分類の基準では、本来明治時代は時代劇に入らないのだけれど、殺陣が重要視されているので、時代劇扱いにするのだ。
この記事へのコメント
>薫が京都へわざわざ~
原作ではきちんと理由付けされていますが、映画で描くとなると中々難しいようですね。
いっその事、こういう部分を大胆に改変しても良かったぐらいです。
原作ファンの血圧は上がるでしょうが・・・
脚本家は、映画的であるかどうか、時間配分的にどうか、ということを斟酌しながら改変するはずなので、映画が原作と変わるのは当たり前ではないかと思います。
>原作ファン
原作ファンの怒る心理は、ハリウッド版「ドラゴンボール」を観た時に半分くらいは理解できた気がしました。特に出来がひどくて面白くない場合は、そのことにより原作も面白くないと思われたくないのでしょうね。
いずれにしても、原作をリスペクトしていない、という評価ほど純然たる映画ファンとして腹の立つことはないのですが。
殺陣は良かったですね。
原作を読まないと意味が分からんでは困るので、話を変えた方が良かったでしょうね。
先日、地上波の深夜映画で『クレイマー・クレイマー』をやっておりましたが字幕でありました。
ダスティン、ホフマンの若いこと!
>原作を読まないと意味が分からんでは
脚本家としては、原作ファンが怖いのでそう変更もできないし、かと言って上映時間のことも考えなければならず、中途半端にすると、こういう事態が生じるんですねえ。
日本人は、欧米人に比べて、原作への拘りが強い人が多いようです。
>『クレイマー・クレイマー』
字幕で良かったです。
ホフマンは「卒業」の時に既に30歳くらいで、大学新卒者を演じたんですよね。もう80歳にならんとしている・・・