映画評「美しい絵の崩壊」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年オーストラリア=フランス合作映画 監督アンヌ・フォンテーヌ
ネタバレあり

アンヌ・フォンテーヌは面白い素材に取り組んでいるので毎回注目してはいるのだが、もう一つ抜け切らず歯がゆさを感じる女性監督である。英国の作家ドリス・レッシングの短編小説を映画化した本作でもその憾みは残る。

オーストラリアの海岸地帯、少女時代から仲良しであるナオミ・ワッツとロビン・ライトには、それぞれ同世代の逞しき息子ゼイヴィア・サミュエルとジェームズ・フレッシュヴィルがいる。
 ロビンが夫の意向である引っ越しに応じず夫に出て行かれてから互いにシングル・マザー状態になり、ここから物語が大きく動き始める。即ち、サミェエル君は友人の母ロビンへの思慕という一線を超えて遂に結ばれてしまうのである。それを知ったナオミとフレッシュヴィル君も同じ状態に陥り、最初は相手を咎めたり自制しようとするが、やがて互いに認め合うようになる。
 父親のいるシドニーで演出家の道を歩み始めたフレッシュヴィル君が女優ジェシカ・トヴェイと結婚したことから、ロビンも関係を断ち、同じ頃孫も生まれる。これでこの関係は終わったと思いきや、全てが妻たちに明らかになった為に親子三代家族団欒という絵が崩壊してしまう。

邦題を付けた方が何を基準に崩壊としたか不明であるが、僕は一般的な親子三代の風景が次の瞬間に消えてしまうのを見て邦題をもじったストーリー紹介としてみた。かなり特殊だが不道徳とは言い切れない彼らの関係を美しい絵と見れば、幕切れでは崩壊から復活したことになり、まるで逆の意味となる。

純文学作家は人を様々な実験台に乗せて人間なるものを凝視するわけで、アンヌ・フォンテーヌにも原作を土台にそうした狙いをもって作り上げようとしたことは間違いない。その意味で本作を世評ほど通俗的なものとは思わない一方、「運命的な愛は不変」とでも言っているような、中間小説的な印象を以って終わるのは物足りない。ただ、彼らの態度は世俗を超越しているのだ・・・と思えば、逆説的な純文学である。

孫を持つ役を演じてもナオミ・ワッツは美しい。わざと老けを強調するカメラワークがあっても動じない。この間出たばかりの新人と思っていたのも束の間、もうベテランの貫録がある。ロビン・ライトの顔をこんなにじっくり見せられたのも初めてのような気がする。しかし、彼女たちの息子を演ずる若手二人を含めて、美形が揃いすぎた為、浮世離れしている感は否めない。

そう言えば、ヤクルト・スワローズに所属したペタジーニは友達の母親と結婚していましたね。それが相互になると、とんでもなく非現実的になる、ということがよく解る。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年06月14日 07:14
タイトル微妙・・・これが美しい絵と言えるんですかね・・・・?
絵に描いた餅というべきか・・・ばれてないだけで、いずれは破たんする団欒風景ですね。
オカピー
2015年06月14日 21:09
ねこのひげさん、こんにちは。

原作を読まないと、ちと解りませんかなあ^^
zebra
2015年07月29日 09:16
こんにちは オカピーさん おひさしぶりブリ~フ
>美形が揃いすぎた為、浮世離れしている感は否めない。
オカピーさん それを言っちゃあ おしめえよ^^
けど、 どうなんでしょうか? ふたりの それぞれの子供と 付き合うというのは・・・こんな会話になったのかも 
タエ「なあ、トミ」 
トミ「なんだね、タエ」

タエ「あんたとわたすは ちっちぇえ頃からの親友だっぺ」 
トミ「そうだべ! どうしたんだぁ」

タエ「・・ん・・・トミ・・・実はな、あんたには 悪いと思ってるコトが あるんよ・・・実は あんたんトコの権兵衛ちゃんとつきあってるんよ」
トミ「なぁに 冗談言ってんのぉ~・・・まさか もう 〇〇〇は やってもうただか・・・・じゃあ この際わたすも言うけどもぉ・・・あんたんトコの吾作ちゃんと つきあってるんよぉ・・・もちろん〇〇〇も やってもうて・・・ 吾作さん あんまし激しいもんだから わたすは しばらく足腰たたなくたって もうたわ~」
タエ「あのバカ吾作・・・悪ガキだったのが 真面目にがんばってくれたけんども ここ最近、急にわたすに優しくしたり ほかの村の若い衆が嫌がる仕事まんで 自分から進んでやるようになったもんだから・・・なんか あったとは おもっちょったけんどもぉ~そうだったんかぁ」
トミ「わたすも タエの気持ち ようわかる。人としていかんこととわかっとっても止められんかったんじゃぁ 男と女は死ぬまで男と女だとわかっただ」
タエ「わたすも あんたなら バカ息子の吾作を託せる・・・わたすら やっぱり大親友だっぺ トミ」
トミ「そうじゃあ これからも 頼むなぁ タエ」

案外 こんな感じかな
オカピー
2015年07月29日 20:41
zebraさん、こんにちは。

>オカピーさん それを言っちゃあ おしめえよ^^
ある意味誉めているんですけどね。綺麗な方々なので神話みたいでしょ?

>タエとトミ
zebraさんは、ブログでこうした変化球映画評を発表すると、人気が出そうですがねえ^^
例によって、面白いです。
zebra
2015年08月09日 21:09
オカピーさん もうひとコメントします。

と、いうのも 先日の <変化球映画評を発表すると、人気が出そうですがねえ^^>
 オカピーさんが書てくれたことに 恐縮です。
で、ボクの変化球映画評が 下記のとおり

人の母がババになり、二人の息子がパパになってもやはり女の情炎、男の情炎は消し去ることはできなかった・・・っで 元サヤかぁ~

この4人の姦係 母親同士が親友 息子同士が親友 で横棒2本
それぞれの 母子で 縦棒2本

それぞれの息子の親友と関係すればななめ線2本を 交差させます。

 仕上げに 両横3角を色を塗りつぶせば  ボーリングの ストライク柄ができあがりまぁ~す。

できればずっと ストライク姦係であって ほしかったんですケド そうはいかないのが男と女なんでしょうね。
ストライクで タマでピンがゴロンゴロンと崩壊のストライク。 モラルはガーターです。
あとねえ、この作品のシチュエーションに一致(MATCH)した洋楽があります。

とある ブロガーさんは 「心に流れてきたBGMは「カルロストシキ&オメガトライブ」でした!!(←W浅野のテーマ曲じゃ)」 と 言ってましたが

この映画のイメージ曲は・・・・ジャジャァ~ン♪ クリスレア「オンザビーチ」
リンク先↓(日本語歌詞もあるよ)
http://mettapops.blog.fc2.com/blog-entry-325.html

リンク先の日本語歌詞を見ながら聞きますと 本作のシーンをひとつひとつ思い出してくるのでは・・・
作品が毒々しいので せめて この曲を解毒剤として聞いててみてください。爽やかな気持ちになります^^
オカピー
2015年08月11日 22:07
zebraさん、こんにちは。

他にちょっと例がないので、ぜひおやりになるべきと思いますが、ブログ人気も下降していますし、続けるのがなかなか難しいのですよね。

パソコンが事実上動かない(ページからページに移行するのに20~30分かかります)状態ですので、すぐに返事ができませんでした。
また、リンクには来月パソコンが修理から帰ってきたから伺ってみますね。

この記事へのトラックバック

  • 美しい絵の崩壊~上げ潮と引き潮が交わる所

    Excerpt: 公式サイト。オーストラリア=フランス。原題:Adore、またはTwo Mothers。原作:ドリス・レッシング「グランド・マザーズ」、アンヌ・フォンテーヌ監督。ナオミ・ワッツ、ロビン・ライ ... Weblog: 佐藤秀の徒然幻視録 racked: 2015-06-09 10:48
  • 美しい絵の崩壊 ★★★

    Excerpt: ナオミ・ワッツとロビン・ライトという演技派女優を主演に迎え、ドリス・レッシング原作の「グランド・マザーズ」を映画化した禁断の愛の物語。親友同士がお互いの息子と恋に落ち、一線を越えてしまったことから思い.. Weblog: パピとママ映画のblog racked: 2015-06-09 16:13
  • 「美しい絵の崩壊」

    Excerpt: 親友の息子と深い仲になる。しかも、お互いがお互いの息子と。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2015-09-05 09:19
  • 『美しい絵の崩壊』(2013)

    Excerpt: 幼い頃からの親友同士のロズとリル。それぞれの息子トムとイアンも仲が良く、二組の親子は美しい海辺の街で、あたかも一つの大きな家族のような生活を満喫していた。だがある夏、イアンはロズへの秘めた想いをぶつけ.. Weblog: 【徒然なるままに・・・】 racked: 2016-01-07 21:33