映画評「陸軍中野学校 雲一号指令」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1966年日本映画 監督・森一生
ネタバレあり
監督の森一生を始め、主要スタッフががらりと入れ替わった戦争スパイ・シリーズ第二作。
スパイ養成の中野学校一期生として卒業した市川雷蔵が、神戸を出港した軍用船が爆破される事件に関し、同期生の仲村隆から怪しいと聞かされた港湾倉庫の夜警を追い、その男が身分不相応にも入れ込んでいるらしい芸者・村松英子に秘密があると睨んで追跡するうち、さる教会が連絡基地として浮上すると共に、実は中国人スパイである彼女が憲兵の佐藤慶の持っている秘密書類をカメラに収めている現場を目撃する。教会からも重要な資料を押収し、次の爆破計画も未然に防ぎ、一味を一網打尽にする。
前作がドラマ性を打ち出していたのに対し、今回はぐっとスパイ映画らしくなっているが、それでもアクションは事実上なく、最後の一幕を除けば全編捜査(警察ではないので厳密には調査)ものと言って良い。スパイ側にピンチの発生する余地はなく、あくまで調査を積み重ねて犯人や対象に迫っていくのを眼目としたハードボイルド・ミステリーとほぼ同じ構図である。
「007」や「ミッション:インポッシブル」のようなマンガではない代わりに、ジョン・ル・カレのようにごく即実的でもなく、適度にリアルな感触を残す言わば劇画的なタッチなので、肩を凝らさずに楽しめる大衆映画と言うべし。
もう一段面白くする為にやはりスパイ側に大きなピンチが訪れるエピソードが一つくらいあっても良い。80分と短尺であっても、現状では血の気の多い若い人は退屈しそうだ。
日本には中国・北朝鮮の工作員がごまんと言われる(事実だろう)けれど、この作品について調べるうちに、北朝鮮は陸軍中野学校残党が作った国などという珍説に遭遇した。実に面白い。
1966年日本映画 監督・森一生
ネタバレあり
監督の森一生を始め、主要スタッフががらりと入れ替わった戦争スパイ・シリーズ第二作。
スパイ養成の中野学校一期生として卒業した市川雷蔵が、神戸を出港した軍用船が爆破される事件に関し、同期生の仲村隆から怪しいと聞かされた港湾倉庫の夜警を追い、その男が身分不相応にも入れ込んでいるらしい芸者・村松英子に秘密があると睨んで追跡するうち、さる教会が連絡基地として浮上すると共に、実は中国人スパイである彼女が憲兵の佐藤慶の持っている秘密書類をカメラに収めている現場を目撃する。教会からも重要な資料を押収し、次の爆破計画も未然に防ぎ、一味を一網打尽にする。
前作がドラマ性を打ち出していたのに対し、今回はぐっとスパイ映画らしくなっているが、それでもアクションは事実上なく、最後の一幕を除けば全編捜査(警察ではないので厳密には調査)ものと言って良い。スパイ側にピンチの発生する余地はなく、あくまで調査を積み重ねて犯人や対象に迫っていくのを眼目としたハードボイルド・ミステリーとほぼ同じ構図である。
「007」や「ミッション:インポッシブル」のようなマンガではない代わりに、ジョン・ル・カレのようにごく即実的でもなく、適度にリアルな感触を残す言わば劇画的なタッチなので、肩を凝らさずに楽しめる大衆映画と言うべし。
もう一段面白くする為にやはりスパイ側に大きなピンチが訪れるエピソードが一つくらいあっても良い。80分と短尺であっても、現状では血の気の多い若い人は退屈しそうだ。
日本には中国・北朝鮮の工作員がごまんと言われる(事実だろう)けれど、この作品について調べるうちに、北朝鮮は陸軍中野学校残党が作った国などという珍説に遭遇した。実に面白い。
この記事へのコメント
村松英子さんはどこやらの大学の教授になっておられるとか・・・
北朝鮮は中野学校残党が・・・・かもしれませんぜ(笑)
市川雷蔵はご贔屓で、大概観てしまいますねえ。
>北朝鮮
その後、中国と戦うには、北朝鮮と手を組む必要がある、と続いていました。
笑って良いものやら^^;