映画評「イコライザー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督アントワーヌ・フークア
ネタバレあり

ホームセンターで働く中年黒人男性デンゼル・ワシントンが、深夜のダイナーでロシアン・マフィアにこき使われている若い娼婦クロエ・グレース=モレッツと知り合い、その彼女が元締めに痛め付けられたと知るや、元敏腕CIA工作員の得意技を発揮してあっという間に一味をやっつける。
 これに対して動き出したのはマフィアとつるんでいる警察ではなく、ロシアの大ボス(かの大作家アレクサンドル・プーシキンと同姓同名、但し父称は知らない)から派遣された片腕マートン・ソーカス。なかなか迫力ある人物で、ワシントンがタンカーと連なっているタンクローリーを爆破しても動ぜず、ホームセンターの同僚を人質におびき寄せるが、これが失敗の元で、ワシントンは自分の職場ならではの利点を生かし、店に置かれた道具を使って片っ端から仕留めていく。

前半は面白い。警備員を目指すセンターの同僚に指導をし、深夜のダイナーで「老人と海」を読み、本を通じてクロエと知り合うといった一般ドラマのような描写が大いに興味をそそる。相手がロシアン・マフィアと解り、彼が凄腕エージェントの前身を生かす活躍を見せる序盤も瞬間的に状況を把握して理詰めに攻撃に入っていく描写を入れることでスタイリッシュに面白く観られる。
 CIAの元同僚と会う場面も滋味溢れ、かつ、サスペンス映画としてもきちんと生かされているのは良いが、ロシアン・マフィアという新味の薄さが徐々に悪い方に傾き出し、ハイライトと言うべきホームセンターの攻防で消沈した。特に良くないのは暗い場面に終始したこと、そして長すぎることである。こういうのは対峙する者同士の地理的関係をうまく説明すると抜群に面白くなるのだが、相手の人数を考えるとそういうわけにも行かず、主人公の持ち味である理詰めの行動が生かされていない。

ロシアまで出掛けて大ボスを倒す幕切れは切れ味が良いものの、環境描写がない為にロシアに行った気分が出ず不満。

50年近く映画を観ているが、こんなに強い一般人を見たことは殆どないなあ。

監督はアクション派の中堅になって来たアントワーヌ・フークア。

わが愚兄は、たまたま持っていた4チャンネル用イコライザーをオープン・デッキ用のノイズ・リダクションに使った。つまり録音時に高域をアップさせて再生時にダウンする。すると演奏はそのままで、テープ・ヒス・ノイズが激減するのだ。勉強はできない兄だが、物凄いアイデアと唸った。何を言っているか解りますか?

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年08月02日 07:15
ロシアに行った気分が出ず・・・・キューブリックは自宅から離れるのが嫌いで、ほとんどの映画を自宅近くのスタジオなどで撮っていますね。
だから、SF映画を撮ったという話があるくらいで、『フルメタルジャケット』もベトナムではなく自宅近くで撮影したそうで・・・(@_@)
オカピー
2015年08月02日 22:38
ねこのひげさん、こんにちは。

落雷でパソコンが壊れてしまいましてね。
全部できるか解りませんが、できるだけれすいたします。

>ロシア
ロシアにロケをするには及ばないですが、少しそれらしい町並みとか環境描写がほしかったなあ、と。

>キューブリック
それは面白い話ですね。

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