映画評「TOKYO TRIBE」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・園子温
ネタバレあり

最近のことは知らないが、40年前僕は自分の習う日本史に自虐史観など毫も感じなかった。人間なんて皆阿呆なのであって、日本人だけが品行方正でありました、というのは不合理である。
 それより日本人は昔から自分の国の映画に対して余り自虐すぎると思う。洋画へのコンプレックスが余りに強すぎる。かく言う僕も若い時は「日本映画は・・・」などと言っていたが、CGにより誤魔化されているものの内容においては欧米のレベルが下がってきたこともあり、そう酷評に走る必要性を感じない。欧米映画は数多く作られている映画の一部がスクリーニングされて日本に入って来ているのだから邦画の平均より出来栄えが良くて当たり前なのである。
 尤も、邦画のラインアップが現在貧弱であることは確かで、僕も評判になった作品や数名の監督の作品に限って観ているに過ぎない。

本作は破天荒な作品を連発して面白がらせている園子温の最新作。
 「パッチギ!」(2005年)や「クローズZERO」シリーズをもっと大規模にもっと変てこにしたような、近未来におけるストリート・ギャングの東京をめぐる覇権争いを描いたもので、台詞の大半をラップ音楽で処理したことが興味の焦点である。
 ストリート・ギャングものは概して苦手な分野であり、ラップも音楽としてはとても聴けないが、両方が合わさったことにより映画的な活気が生まれ、捨てがたい面白さが生まれている。
 世間では「つまらない」の大合唱。しかし、くだらなくてもつまらなくはない。長回しの移動撮影とラップの組み合わせは意外と相性が良い。

染谷将太以下有名人が多数出ているが、主演扱いの上位数名を僕は全く知らない。

原作は井上三太という人のコミックであるそうだが、園監督の作品と知って観に行きながら、原作に絡めて批判するのは、余りに馬鹿げている。

皆さん、望みが高いよ。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年08月02日 07:26
日本人だけ品行方正だったら警察なんか必要ないし法律もいりませんわな。
中國の伝説的な王の話でも、その王が統治しているときには、朝道路に落とした品物が、夕方、落とした人が来てみたらまだあったという話がありますね。
ありえない話です。
いまだったら、拾わないのは刑務所に入れられるからでしょうけどね(≧◇≦)
オカピー
2015年08月02日 22:59
ねこのひげさん、こんにちは。

相対的な民度は多少差がありますけどね、それほど違うとは思いませんね。

>中國の伝説的な王
さすがにそれはないですね。
そうして、優れた君主の見本を見せたのでしょう。

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