映画評「フランキー&アリス」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年カナダ映画 監督ジェフリー・サックス
ネタバレあり

ハリー・ベリーが自ら製作に乗り出して主演した実話の映画化。

マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」やTレックスの「メタル・グルー」が流行っていた1973年のロサンゼルス、黒人ストリッパーのフランキー(ハリー)はよろしく楽しもうと黒人男性の部屋に入ってから態度豹変、暴力をふるった挙句に道路の真ん中で倒れてしまう。精神病院に入らなければ刑務所送りになるという選択を迫られ、病院で精神病学者オズワルド(ステラン・スカルスガルド)と出会う。
 症状に興味を持った学者医師が彼女に接するうち、主人格フランキーの他に、黒人に侮蔑的な表現を吐く白人女性アリスと、アリスがフランキーの人格を駆逐しようとしているのを心配する少女“天才”の人格を発見する。そして、彼は50年代に彼女に起きた白人男性との悲恋にその多重人格発生の原因を見出す。

日本映画では恐怖映画くらいにしか多重人格は扱われないが、欧米には大真面目にこの問題にアプローチする作品が少なくない。
 恐らくこのスタンスで初めて本格的に作られた作品はアメリカの「イヴの三つの顔」(1957年日本劇場未公開)で、本作は実話に基づいた同作に類似する内容になっている為、そう興味深く見られたわけではない。ただ、黒人女性の中に人種差別主義の白人女性の人格が現れるというのは「イヴ」になかったセンセーショナルさである。しかも、差別が元で人格が分裂したのであれば、荒唐無稽ではなく、寧ろ合理的なくらい。

思い起こせば、「イヴ」で面白かったのは、一番目の人格と二番目の人格とが互いを消し合っているうちに現れた三番目の人格が実は主人格であったと判明する一種のどんでん返し。本作にはそれに匹敵する趣向はないが、それでも、かの作品を観ていなければ医師が原因を探る一種のミステリーというアングルから一応は楽しめるかもしれない。

発音サイトで確認したらやはり日本で言われている“ハル・ベリー”ではなく“ハリー・ベリー”が正しい(と言うより近いと言うべきか)らしい。近くても変えない方が良い場合もあるが、彼女のケースは違うだろう。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年09月06日 11:26
多重人格というのは謎でありますね。
『24人のビリー・ミリガン』というのがありますが、後にこの人は嘘だったと告白しておりますね。
いまだに読まれておりますけどね。
オカピー
2015年09月06日 18:34
ねこのひげさん、こんにちは。

>多重人格
一種の逃避が作り出すものでしょうね。
昔、兄の友達から貰ったかなりの数の本の中に多重人格に関する本がありました。ソフィーという名前だったような記憶がありますが、結局読まなかった^^;

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  • フランキー&アリス ★★★

    Excerpt: 黒人ストリッパーでありながら人種差別主義の白人女性の人格を持つ解離性同一性障害の女性を、『チョコレート』や『X-MEN』シリーズなどのハル・ベリーが演じるヒューマンドラマ。舞台は1970年代のアメリカ.. Weblog: パピとママ映画のblog racked: 2015-09-02 12:36
  • 「フランキー&アリス」

    Excerpt: 多重人格もの。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2015-09-05 08:04