映画評「ホットロード」
☆☆(4点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・三木孝浩
ネタバレあり
三木孝浩という若手監督は、「ソラニン」「僕等がいた」「陽だまりの彼女」と三作・四本を観ているが、いずれもベストセラー・コミック若しくはYA小説の映画化で、そう大した作品を発表していない。素直な作風で監督自身には文句を言いたいところは少ないものの、任される素材が余りに若者向けで甘っちょろいのである。その中では一番最近観た「陽だまりの彼女」が最も好みであった。紡木たくという漫画家の人気コミックを原作とした本作は余りよろしくない。
母親・木村佳乃が強制的に結婚させられた夫の死後、初恋の人・小澤征悦と過ごすことが多くなったことが気に入らない中学3年生の能年玲奈が、転校してきたばかりの同級生・竹富聖花に誘われたのが縁で、暴走族の不良少年・登坂広臣と親しくなるが、グループは彼がリーダーになったのをチャンスと見たライバル暴走族から喧嘩を売られる。彼は、母親を巡るゴタゴタでドタバタしている彼女にほだされモタモタと遅れて出た結果、交通事故に遭遇、昏睡状態に陥る。
昨日の「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」と逆のシチュエーションであるが、こちらの少年は幽体離脱はしない。しかし、似たところはあり、少女が“彼が死んだら生きてはいけない”と衰弱して運び込まれた同じ病院で、彼女の為に生きようとする意志が強かった少年が昏睡から目覚め、それに呼応するように彼女にも生気が訪れる。
ファンタジー的に考えれば、以心伝心というか一種のテレパシーみたいなもので、洋の東西を問わず、似たような発想はあるもの、しかも二日続けてとは恐れ入りました。
個人的には、親の事情を解ってやれない少女が全く青臭くていけない。子供とは言え、余りに自己中心的だ(但し、☆★が少ないのはそれとは関係ない)。父親と過ごした唯一の記憶と思ったのが実は小澤との記憶であったと知り頭がこんがらがった末に母親の長すぎる春を認める気になるという展開だけが、ほんの少し興味深い。それ以外は甚だまだるっこく退屈が先に立つ。僕が年を取ったせいか。
暴走族が出てきて今更の感があるが、原作のコミックが1980年代のものということで納得。
ハリウッドはYA小説、日本はコミックの映画化というのが若者向け映画の定番となりつつある。
2014年日本映画 監督・三木孝浩
ネタバレあり
三木孝浩という若手監督は、「ソラニン」「僕等がいた」「陽だまりの彼女」と三作・四本を観ているが、いずれもベストセラー・コミック若しくはYA小説の映画化で、そう大した作品を発表していない。素直な作風で監督自身には文句を言いたいところは少ないものの、任される素材が余りに若者向けで甘っちょろいのである。その中では一番最近観た「陽だまりの彼女」が最も好みであった。紡木たくという漫画家の人気コミックを原作とした本作は余りよろしくない。
母親・木村佳乃が強制的に結婚させられた夫の死後、初恋の人・小澤征悦と過ごすことが多くなったことが気に入らない中学3年生の能年玲奈が、転校してきたばかりの同級生・竹富聖花に誘われたのが縁で、暴走族の不良少年・登坂広臣と親しくなるが、グループは彼がリーダーになったのをチャンスと見たライバル暴走族から喧嘩を売られる。彼は、母親を巡るゴタゴタでドタバタしている彼女にほだされモタモタと遅れて出た結果、交通事故に遭遇、昏睡状態に陥る。
昨日の「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」と逆のシチュエーションであるが、こちらの少年は幽体離脱はしない。しかし、似たところはあり、少女が“彼が死んだら生きてはいけない”と衰弱して運び込まれた同じ病院で、彼女の為に生きようとする意志が強かった少年が昏睡から目覚め、それに呼応するように彼女にも生気が訪れる。
ファンタジー的に考えれば、以心伝心というか一種のテレパシーみたいなもので、洋の東西を問わず、似たような発想はあるもの、しかも二日続けてとは恐れ入りました。
個人的には、親の事情を解ってやれない少女が全く青臭くていけない。子供とは言え、余りに自己中心的だ(但し、☆★が少ないのはそれとは関係ない)。父親と過ごした唯一の記憶と思ったのが実は小澤との記憶であったと知り頭がこんがらがった末に母親の長すぎる春を認める気になるという展開だけが、ほんの少し興味深い。それ以外は甚だまだるっこく退屈が先に立つ。僕が年を取ったせいか。
暴走族が出てきて今更の感があるが、原作のコミックが1980年代のものということで納得。
ハリウッドはYA小説、日本はコミックの映画化というのが若者向け映画の定番となりつつある。
この記事へのコメント
主人公が朝の連ドラで人気が沸騰した能年玲奈さんだし・・・
我々世代からすると、暴走族なんていまさらですけどね。
映画化の話が今までに何度もあったけど、原作者が脚本とかが気に入らなくて許可しなかったとか・・・・そのうち時期を失ってしまった作品でしょうね。
なにごとにも旬というものがあるようです。
先日の『ささらさや』について・・・ささらというのは、竹の先が無数に割れたりするときに使う方言がありましたね。
ささらもさらなんて言ったりします。
そのあたりからとったんでしょうね。
現在40代くらいであろう主たる原作の読者も懐かしがって来るだろうという見込みもあったのでしょう。
あまっちょろいと言っても、アイドル映画の砂糖菓子のような甘さとは違って作風は割合きちんとしていますが、余り惹かれるものがなかったです。
>ささら
原作及び映画では、地名になっていますが、そうした語源がきっとあるのでしょうね。作者の創作による地名なのかなあ。