映画評「王の涙 イ・サンの決断」
☆☆★(5点/10点満点中)
2014年韓国映画 監督イ・ジェギュ
ネタバレあり
高校時代世界史で先史時代から大統領を辞めたばかりのニクソンまで習ったが、朝鮮史は殆ど知らない。教科書が殆ど扱っていないからで、主たる王朝や両班(ヤンバン)といった用語を覚えた程度。だから、本作の主人公である李氏朝鮮の世祖イ・サンは聞いたこともない。
日本でも彼を主人公にしたTV歴史ドラマが観られたとのこと。それを観ていればすっきり解ったのだろうが、人物関係が複雑で終始乗れなかったのはご愁傷様。加えて、「曹操暗殺 三国志外伝」と瓜二つの構成だから、二番煎じの印象も強い。但し、TV時代から考えれば「曹操暗殺」がかのTVシリーズから拝借した可能性がかなりある。
アメリカが独立した1776年に王に即位したイ・サン(ヒョン・ビン)は翌年、祖父の後添いである若い王太后=貞純王后(ハン・ジミン)を取り巻く貴族一派・老論派の陰謀によりクーデターで暗殺されかける。
その一日を、イ・サン、彼の側近実は刺客として少年時代に王宮に入った宦官カプス(チェン・ジェヨン)、彼の弟分で彼に代わる刺客ウルス(チョ・ジョンソク)、彼が恋するようになる女官ウォレ(チョン・ウンチェ)の動向を点出することで構成する仕組みで、時間を表記することでクライマックスに近づいていくサスペンスを醸成する手法は一応認められる。
“一応”に留まるのは、人物の関係特にイ・サンとカプス、カプスとウルスの関係を回想形式で描く為に緊張感が途絶えてしまうからである。
先日の「観相師-かんそうし-」と違って韓国映画の悪弊である前半喜劇タッチというのを回避しているのは好ましい。大衆映画でありながらこのスタイルを取っていない韓国映画を僕は随分久しぶりに見る。嬉しくなった。
逆に良くないのは、最初からカットの切り替えが速く甚だ落ち着かないこと。当然アクション場面の切り替えも速いが、どういうシチュエーションでも差がない。細かいカット割りが必要とされるサスペンス寄りの描写が多いとは言え、ドラマ部分では正統派時代劇らしくじっくり見せてほしいという不満が生じる。
その癖アクションではスローモーションが目立って尺稼ぎのようになっている為、オーソドックスな映画観を持っている僕には首を傾げている時間が多かった。
その細かいカット割りの中にパンやズームという手法が入って来るので最初はちょっと興味を覚えたものの、次第に描写における腰のなさを露呈、TVドラマのように見え始めると興醒めし、結局大ファールという印象に終わる。
最近は余り李氏朝鮮と言わなくなったみたいですが?
2014年韓国映画 監督イ・ジェギュ
ネタバレあり
高校時代世界史で先史時代から大統領を辞めたばかりのニクソンまで習ったが、朝鮮史は殆ど知らない。教科書が殆ど扱っていないからで、主たる王朝や両班(ヤンバン)といった用語を覚えた程度。だから、本作の主人公である李氏朝鮮の世祖イ・サンは聞いたこともない。
日本でも彼を主人公にしたTV歴史ドラマが観られたとのこと。それを観ていればすっきり解ったのだろうが、人物関係が複雑で終始乗れなかったのはご愁傷様。加えて、「曹操暗殺 三国志外伝」と瓜二つの構成だから、二番煎じの印象も強い。但し、TV時代から考えれば「曹操暗殺」がかのTVシリーズから拝借した可能性がかなりある。
アメリカが独立した1776年に王に即位したイ・サン(ヒョン・ビン)は翌年、祖父の後添いである若い王太后=貞純王后(ハン・ジミン)を取り巻く貴族一派・老論派の陰謀によりクーデターで暗殺されかける。
その一日を、イ・サン、彼の側近実は刺客として少年時代に王宮に入った宦官カプス(チェン・ジェヨン)、彼の弟分で彼に代わる刺客ウルス(チョ・ジョンソク)、彼が恋するようになる女官ウォレ(チョン・ウンチェ)の動向を点出することで構成する仕組みで、時間を表記することでクライマックスに近づいていくサスペンスを醸成する手法は一応認められる。
“一応”に留まるのは、人物の関係特にイ・サンとカプス、カプスとウルスの関係を回想形式で描く為に緊張感が途絶えてしまうからである。
先日の「観相師-かんそうし-」と違って韓国映画の悪弊である前半喜劇タッチというのを回避しているのは好ましい。大衆映画でありながらこのスタイルを取っていない韓国映画を僕は随分久しぶりに見る。嬉しくなった。
逆に良くないのは、最初からカットの切り替えが速く甚だ落ち着かないこと。当然アクション場面の切り替えも速いが、どういうシチュエーションでも差がない。細かいカット割りが必要とされるサスペンス寄りの描写が多いとは言え、ドラマ部分では正統派時代劇らしくじっくり見せてほしいという不満が生じる。
その癖アクションではスローモーションが目立って尺稼ぎのようになっている為、オーソドックスな映画観を持っている僕には首を傾げている時間が多かった。
その細かいカット割りの中にパンやズームという手法が入って来るので最初はちょっと興味を覚えたものの、次第に描写における腰のなさを露呈、TVドラマのように見え始めると興醒めし、結局大ファールという印象に終わる。
最近は余り李氏朝鮮と言わなくなったみたいですが?
この記事へのコメント
言わなくなった・・・・・調査すればするほど不都合な真実がわかってきたからでしょう。
中国映画はCGがまだダメかなあ。一時の質の高いドラマが殆ど輸入されないのも寂しい。
韓国映画はあの作り方が問題。日本映画より面白いくらいですが、あれに抵抗があって本数がどんどん減っていますよ。
>不都合な真実
日本の天皇陵も公開して調べてほしい。古代史がもっと正確に解ると思うのだけどなあ。