映画評「マッド・ナース」

☆☆(4点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ダグラス・アーニオコスキー
ネタバレあり

大病院の看護婦パス・デ・ラ・フエルタは、少女時代父親を殺した罪で入院していた異常性を隠し、有能と思われているが、夜になると性欲の強い妻帯者を誘って罰として殺すことを日常としている。
 新人看護婦カトリーナ・ボーデンの継父が浮気をしているのを知って筋肉弛緩剤で殺したのに少しも靡かない彼女に逆恨みをし、犯行に気付いた彼女の通報より早く手を打って、彼女こそ自分をストーキングする変態女と警察に思い込ませることに成功する。
 新任の人事部長をこっそり始末した後、反撃を開始したカトリーナと対決、いよいよ連続殺人犯の正体を現して病院で大暴れする。

お話の辻褄など全く考えていないようで、けしからん男を世の中から抹殺する仕置き人を気取る割には終盤の大乱闘で男女問わず患者を殺すなど誠に適当に推移する部分が多すぎるが、WOWOWがスプラッター・ホラーを謳い乍らコメディー映画特集の中に入れていることが一番の謎であった。
 実際観てみると、看護婦とは思えないセクシーな服装だったり、男性医師が示す助平な態度であったり、そういう常識を無視したお色気設定をもってコメディーと見なすことはできる。しかし、全く笑えない以上喜劇として成功しているとは言えない。ヒロインの勘違いぶりを前面に押し出せれば、ブラック・コメディーとしてもっと機能したのではないかと思う。

個人の好みの問題に帰すとは言え、抜群に悩殺的な肉体を持つパス嬢のお顔には全く魅力を感じられず、惜しまずに脱いでくれても全く有難味がない。彼女がもう少し可愛らしければ★一つ分くらい多く進呈できただろう。

パス嬢はパス。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年01月17日 15:05
マッドとついた作品では『マッドマックス』に勝る作品はありませんね。
新作も凄かった。
『スターウォーズ』の新作もそうですが、女性陣の活躍が凄いですね。
オカピー
2016年01月17日 20:30
ねこのひげさん、こんにちは。

その背景には男女平等に基づくジェンダー論があると思いますが、今世紀に入って(厳密には1990年代後半くらいから)女性たちが活躍する映画が増えましたねえ。

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