映画評「荒野はつらいよ~アリゾナより愛をこめて~」
☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督セス・マクファーレン
ネタバレあり
「テッド」は日本でも割合受けたようだが僕の顔はしかめさせたセス・マクファーレンが共同脚本と監督のほか今度は顔出しの主演もしているパロディー西部劇。
「大いなる西部」(1958年)もどきの背景音楽に1950~60年代のカラー西部劇を彷彿とする字体のクレジット・タイトルで始まる開巻部分は、直後の決闘を含めて、なかなかゴキゲン。
が、その後二種類の下ネタのオンパレードは前作通りで、もう少し何とかしてもらえないと笑うことも出来ない。決闘やちょっとしたことで喧嘩に発展してしまう酒場の場面、射撃の訓練などオールド・ファンを大いにニコニコさせる(パロディー)要素も多いので、実に勿体ない感じがする。これが持ち味だから仕方がないですかな。
まるで現代の青年が19世紀にタイムスリップしたような羊飼いマクファーレンが、決闘でみっともない真似を見せたせいか、恋人アマンダ・セイフライドに去られてがっくり。彼女が商人のニール・パトリック・ハリスと懇ろになったのを見て腹を立て、結局決闘になってしまう。
銃の腕前にはまるで自信のない彼に指導を授けるのがどこからか流れてきた美人シャーリーズ・セロン。ところが、彼女が悪名高いお尋ね者リーアム・ニースンの妻であったものだから大変、後から現れて噂を聞いたニースンが彼女を人質に彼に喧嘩を売る。
まるで感心できない下ネタ・ギャグを別にすれば結構うまく作っていて、ハリスの為に訓練した射撃がシャーリーズの嫌う悪漢の夫との決闘に役立つ、なんてのは昔の西部劇を見るよう。
タイムスリップ感覚を全編にはりめぐらしたのも面白く、主人公の言動などまるでオーパーツ人間の如し、その流れの中で3作目で開拓時代にタイムトリップした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の博士クリストファー・ロイドが登場する箇所は、四半世紀以上映画を観ている人なら膝を打つに違いない。
もう一つの楽屋落ち的お楽しみは「ジャンゴ 繋がれざる者」のジェイミー・フォックスの登場。こちらは比較的若い映画ファンでも理解できましょう。インディアンの言葉の中に「テッド」で共演した“ミラ・クニス”が入っているのも可笑しい。
もっと映画的なところではカメラワークが奮闘していて、特に、ニースン一味と彼らから逃げるマクファーレンと接近してくる貨物列車の三者を捉えるカット割りはなかなかクラシックにしてきちんとした出来栄え。こういうのを見ると益々勿体ないと思う次第でござる。
勿体ないお化けが出て来るぞー(意味不明)。
2014年アメリカ映画 監督セス・マクファーレン
ネタバレあり
「テッド」は日本でも割合受けたようだが僕の顔はしかめさせたセス・マクファーレンが共同脚本と監督のほか今度は顔出しの主演もしているパロディー西部劇。
「大いなる西部」(1958年)もどきの背景音楽に1950~60年代のカラー西部劇を彷彿とする字体のクレジット・タイトルで始まる開巻部分は、直後の決闘を含めて、なかなかゴキゲン。
が、その後二種類の下ネタのオンパレードは前作通りで、もう少し何とかしてもらえないと笑うことも出来ない。決闘やちょっとしたことで喧嘩に発展してしまう酒場の場面、射撃の訓練などオールド・ファンを大いにニコニコさせる(パロディー)要素も多いので、実に勿体ない感じがする。これが持ち味だから仕方がないですかな。
まるで現代の青年が19世紀にタイムスリップしたような羊飼いマクファーレンが、決闘でみっともない真似を見せたせいか、恋人アマンダ・セイフライドに去られてがっくり。彼女が商人のニール・パトリック・ハリスと懇ろになったのを見て腹を立て、結局決闘になってしまう。
銃の腕前にはまるで自信のない彼に指導を授けるのがどこからか流れてきた美人シャーリーズ・セロン。ところが、彼女が悪名高いお尋ね者リーアム・ニースンの妻であったものだから大変、後から現れて噂を聞いたニースンが彼女を人質に彼に喧嘩を売る。
まるで感心できない下ネタ・ギャグを別にすれば結構うまく作っていて、ハリスの為に訓練した射撃がシャーリーズの嫌う悪漢の夫との決闘に役立つ、なんてのは昔の西部劇を見るよう。
タイムスリップ感覚を全編にはりめぐらしたのも面白く、主人公の言動などまるでオーパーツ人間の如し、その流れの中で3作目で開拓時代にタイムトリップした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の博士クリストファー・ロイドが登場する箇所は、四半世紀以上映画を観ている人なら膝を打つに違いない。
もう一つの楽屋落ち的お楽しみは「ジャンゴ 繋がれざる者」のジェイミー・フォックスの登場。こちらは比較的若い映画ファンでも理解できましょう。インディアンの言葉の中に「テッド」で共演した“ミラ・クニス”が入っているのも可笑しい。
もっと映画的なところではカメラワークが奮闘していて、特に、ニースン一味と彼らから逃げるマクファーレンと接近してくる貨物列車の三者を捉えるカット割りはなかなかクラシックにしてきちんとした出来栄え。こういうのを見ると益々勿体ないと思う次第でござる。
勿体ないお化けが出て来るぞー(意味不明)。
この記事へのコメント
『ローン・レンジャー』は、この監督の大ヒット作より気に入りましたが。
僕は下ネタは苦手なので、その点でダメでしたねえ。それを除いた部分は実はかなりよくできていました。