映画評「カプリコン・1」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1977年アメリカ映画 監督ピーター・ハイアムズ
ネタバレあり
WOWOWとTSUTAYAがタイアップしている【発掘良品】の一本。
しかし、例によって解説に首をかしげましたデス。着想が凄いと仰っていますが、アポロ11号は本当は月面に着陸していないのではないかという捏造説は当時既にあったはず(僕自身この映画より後で知ったのではあるが、現在ではそうした情報も巷に溢れているので、同じ土俵では語れない)で、それを火星探査に応用しただけだから、今から思えば着想自体はそれほどでもない。そこから米国の威信をかけた、巨悪とさえ言ってよい陰謀から宇宙飛行士が逃げまくるお話に広げたハッタリにニヤリとさせられる、と言った方が正しいと思う。
三十数年ぶりの再鑑賞。こんなに逃げ回る場面があったのかと新鮮だった。
お話は既に述べたも同然ながら、キャスト紹介を兼ねてもう少し詳細に。
NASAで16年間訓練してきた宇宙飛行士ジェームズ・ブローリン、サム・ウォーターストン、O・J・シンプスンが、発射5分前になって火星探査宇宙船から降ろされ、ジェット機で砂漠の真ん中にある基地に連行される。その中には火星地面を模したセットがあり、プロジェクト・リーダーのハル・ホルブルック博士から、生命維持装置に不具合がある為、ロケットは無人のまま打ち上げ、その後の様子はこの基地から中継するので協力するように命じられる。そうと解らないように家族を人質に取られているので承服せざるを得ない。
数か月後嘘の火星探査は終わるが、地球帰還寸前(という設定時点)で宇宙船は爆破、死んだことにされてしまう。閉じこもっていたら本当に殺されると三人はジェット機を使って基地から抜け出し、燃料がすぐに尽きた為に緊急着陸、三人別々に行動することにする。生存を知られては威信が地に落ち困る当局は必死に探し回る。
その頃、NASAに勤めていた友人の一言から謎を感じたレポーターのエリオット・グールドは、友人の失踪、自身が殺されかけたことから益々躍起になり、ブローリンの細君ブレンダ・ヴァッカロに連絡を取った結果火星探査のインチキに突き当たり、テリー・サヴァラス運転する農薬散布用プロペラ機に乗って救出に向かう。
細かいことを言えば、終盤の救出に至る経緯など乱暴なところもあるが、サスペンスに夢中になっている為に鑑賞中は大して気にならない。余程デタラメではない限り、この手の“企画”映画においては大きな問題にあらず。サスペンスの趣向自体、当時の感覚においても既に新味のある部類ではないものの、脚本も書き監督を担当したピーター・ハイアムズの見せ方が巧く、楽しめる。
これで思い出すのは、フランスのTVが作った月面着陸捏造説を巡る傑作インチキ・ドキュメンタリーである。スタンリー・キューブリック未亡人を駆り出して「アポロ11号の月面着陸はキューブリックの演出により地上で為された」とする内容。1969年の実況直後から発生した噂を基にしたエイプリル・フール企画だが、キッシンジャーやラムズフェルドという有名政治家のフッテージを利用して誠にうまく構成されていた。
この手のストレートな宇宙SFは、現実が迫っている為もはやSFと言えない感じ。宇宙での競争は終わったが、未だに米露は仲良くなれまへんな。やはり国の威信というのが思想的支柱としてあるのだろうか?
1977年アメリカ映画 監督ピーター・ハイアムズ
ネタバレあり
WOWOWとTSUTAYAがタイアップしている【発掘良品】の一本。
しかし、例によって解説に首をかしげましたデス。着想が凄いと仰っていますが、アポロ11号は本当は月面に着陸していないのではないかという捏造説は当時既にあったはず(僕自身この映画より後で知ったのではあるが、現在ではそうした情報も巷に溢れているので、同じ土俵では語れない)で、それを火星探査に応用しただけだから、今から思えば着想自体はそれほどでもない。そこから米国の威信をかけた、巨悪とさえ言ってよい陰謀から宇宙飛行士が逃げまくるお話に広げたハッタリにニヤリとさせられる、と言った方が正しいと思う。
三十数年ぶりの再鑑賞。こんなに逃げ回る場面があったのかと新鮮だった。
お話は既に述べたも同然ながら、キャスト紹介を兼ねてもう少し詳細に。
NASAで16年間訓練してきた宇宙飛行士ジェームズ・ブローリン、サム・ウォーターストン、O・J・シンプスンが、発射5分前になって火星探査宇宙船から降ろされ、ジェット機で砂漠の真ん中にある基地に連行される。その中には火星地面を模したセットがあり、プロジェクト・リーダーのハル・ホルブルック博士から、生命維持装置に不具合がある為、ロケットは無人のまま打ち上げ、その後の様子はこの基地から中継するので協力するように命じられる。そうと解らないように家族を人質に取られているので承服せざるを得ない。
数か月後嘘の火星探査は終わるが、地球帰還寸前(という設定時点)で宇宙船は爆破、死んだことにされてしまう。閉じこもっていたら本当に殺されると三人はジェット機を使って基地から抜け出し、燃料がすぐに尽きた為に緊急着陸、三人別々に行動することにする。生存を知られては威信が地に落ち困る当局は必死に探し回る。
その頃、NASAに勤めていた友人の一言から謎を感じたレポーターのエリオット・グールドは、友人の失踪、自身が殺されかけたことから益々躍起になり、ブローリンの細君ブレンダ・ヴァッカロに連絡を取った結果火星探査のインチキに突き当たり、テリー・サヴァラス運転する農薬散布用プロペラ機に乗って救出に向かう。
細かいことを言えば、終盤の救出に至る経緯など乱暴なところもあるが、サスペンスに夢中になっている為に鑑賞中は大して気にならない。余程デタラメではない限り、この手の“企画”映画においては大きな問題にあらず。サスペンスの趣向自体、当時の感覚においても既に新味のある部類ではないものの、脚本も書き監督を担当したピーター・ハイアムズの見せ方が巧く、楽しめる。
これで思い出すのは、フランスのTVが作った月面着陸捏造説を巡る傑作インチキ・ドキュメンタリーである。スタンリー・キューブリック未亡人を駆り出して「アポロ11号の月面着陸はキューブリックの演出により地上で為された」とする内容。1969年の実況直後から発生した噂を基にしたエイプリル・フール企画だが、キッシンジャーやラムズフェルドという有名政治家のフッテージを利用して誠にうまく構成されていた。
この手のストレートな宇宙SFは、現実が迫っている為もはやSFと言えない感じ。宇宙での競争は終わったが、未だに米露は仲良くなれまへんな。やはり国の威信というのが思想的支柱としてあるのだろうか?
この記事へのコメント
くだらん争いをやめていれば、いまごろ人類は冥王星を超えて、はるかな宇宙を旅していたかもしれませんがね。
エイプリル・フールといえば、エイルリル・フールに『エイプリル・フール』という映画が地上波であります。(≧◇≦)
深夜放映の『シャイン』は字幕でありましたよ。
それでも、スペースシャトルの乗組員がロシアの宇宙ステーションで過ごすと聞いた時は時代が変わったものだと思いましたね。
プーチンがまた米ソ時代に戻そうとしている。
>エイプリル・フール
先日観た映画ですね。やはり出ますか^^
>『シャイン』
良いことですねえ。そうこなくちゃ\(^o^)/
僕は割りと捏造説派なんですよ。
なぜ、現在中国あたりが月に行かないのか
そう思います。
>結局、「持っていない」人は、何をしてもダメなんですねえTT
凡人の僕なんぞは何も持っていないし、何をしても駄目
最近は開き直っています
>捏造派
来週早々に、このTV番組から戴いて作ったようなフランス映画を記事にする予定。何だか面白い偶然で、驚きました。
スペースシャトルでの活躍を見ると、技術的には十分行けると思うんですよね。しかし、真実は解らない。
人類の移住を考えると火星が重要なわけですが、それにかける費用を考えたら、地球をきちんとしたほうが安いような気もしますね。
>凡人
ここ数年大変でしたので、ここまで生きながらえて来ただけでももうけものかな、などと思っていますよ。
後何年か解りませんが、生きられるだけ生きましょう、余り頑張らずに。
捏造説の方が面白いです勉強にもなります。
月は寒暖の差が激しい宇宙飛行士が凍え死ぬか、高熱で死ぬのではないか?
月で撮った写真や映像が残っているが、フィルムやテープは高い熱で溶けたのではないか?
>スペースシャトルでの活躍を見ると、技術的には十分行ける
大金持ち達が月に旅行するツアーが組まれる筈でしょう
>後何年か解りませんが、生きられるだけ生きましょう、余り頑張らずに。
同感です。ありがとうございます
>大金持ち達
SF映画では、ノアの箱舟未来版として、金持ちだけが火星やらに向かおうとする(大概失敗する)のがしばしば出てきますね。
そうなる前に地球を何とかしましょうという皮肉、逆説かもしれません。
月はまだ無理なようですが、何億円も払ってロケットに乗る企画はありますね。堀江貴文氏もその一人ではなかったですか?
>そうなる前に地球を何とかしましょうという皮肉、逆説かもしれません。
そう思います宇宙船地球号も悲鳴をあげています何とかしなければ・・・。ノストラダムスの大予言が2020年代あたりで現実になるかも知れません
>堀江貴文氏もその一人ではなかったですか?
そうです。彼も一時期程の勢いは、ないですね。
>エリオット・グールド
>ジェームズ・ブローリン
今、知りました。二人ともバーブラ・ストライサンドと結婚したんですね
バーブラ・ストライサンド
>宇宙船地球号
人間は考える「悪し」である、か^^;
そんな人間を生んだのも自然なんですけどね。
>堀江貴文氏
最近クイズ番組でよく見かけます。
本業では何をやっているのでしょうかねえ。
>バーブラ・ストライサンド
本作に出演した二人が・・・面白いですよね。
ブローリンは最近息子が活躍していますが、親父の方が二枚目。