映画評「ワイルド・スピード SKY MISSION」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
当初はB級的カー・アクション映画だったのに、一作ごとにスケールを増し、特に前第6作からカー・アクションをフィーチャーしたスパイ・アクションと化して、今やすっかりメジャー映画中のメジャー映画になって来た。
そんな中ほぼ本シリーズ一本でやって来た主演のポール・ウォーカーが撮影途中で皮肉にも交通事故したが、かなり撮り終えていたらしく、ブルース・リーの「死亡遊戯」ほどあからさまな代役作戦は取らなくて良かったようだ。ただ、出番が減っていることは十分伺える。
前作の騒動で弟をやっつけられて面白くない元軍人ジェースン・ステイサムが、今や特殊工作員並みの活動をしている、ヴィン・ディーゼルやウォーカー以下のメンバーに復讐の攻撃を加えてくる。そこへ米国捜査当局のカート・ラッセルが首を突っ込んできて、男を仕留めたければ、まずはテロリストが拉致したハッカーを連れ戻し、その開発した特殊なハッキング装置を確保せよと言う。その装置があれば男の行方はいつでも把握できるというのだ。拒む理由もない彼らは、アゼルバイジャンの敵基地に空から接近する。
僕が本作で一番気に入った部分はここで、パラシュートで人間ならで車が次々と降りてくるのを僕は初めて観た。この手の新機軸は映画ファンのお楽しみと言うべし。物理的には飛行機から離れた時間差と同じ時間差で着地するのが正しいわけだが、まあ、そういうことは極端に生活実感から離れていない限り重視するには及ばない。
その作戦が見事に成功すると、次は、奪還したハッカー・・・予想に反して美女・・・ナタリー・エマニエルの情報に基づく、アブダビの王子のスーパーカーからその装置を盗む大々的なサスペンス。車が中心となってはいるが「ミッション:・インポッシブル」シリーズを観ているようだ。
最後は装置を横取りしたテロ・グループがステイサムを加えて、彼らとハッカーを仕留めようとする街中での大アクション。
これが勿論クライマックスであるが、よろしくない。大袈裟すぎるのと長すぎるのが寧ろマイナスに働く。ジャスティン・リンから変わった監督ジェームズ・ワンのアクションの見せ方がせわしくて甚だ感心できず、それが長丁場であるが為に益々気になってしまう。カー・アクション描写はそう悪くはないものの、もっときちんと見せるリン監督に比べて、真の意味での迫力で及ばない。格闘では、昨今の映画の例に洩れず、格好だけの劇画的細切れカット処理にかなりげんなりさせられる。アップが多いから一見ダイナミックに見えるも、何をやっているのか正確に解らないというのが実際。
かくして、点数は同じにしたが、トータルで前作に及ばない。
親友二人が別れる幕切れの後、旧作からウォーカー出演場面を抜粋して彼を偲ぶおまけを付け、For Paul(ポールに捧ぐ)という字幕を出してジーンとさせる。
僕もポール・ウォーカーに捧げて一首。名に沿いて 歩けば死なずに 済みしもの と言っても空し 春の夜寒に
2015年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
当初はB級的カー・アクション映画だったのに、一作ごとにスケールを増し、特に前第6作からカー・アクションをフィーチャーしたスパイ・アクションと化して、今やすっかりメジャー映画中のメジャー映画になって来た。
そんな中ほぼ本シリーズ一本でやって来た主演のポール・ウォーカーが撮影途中で皮肉にも交通事故したが、かなり撮り終えていたらしく、ブルース・リーの「死亡遊戯」ほどあからさまな代役作戦は取らなくて良かったようだ。ただ、出番が減っていることは十分伺える。
前作の騒動で弟をやっつけられて面白くない元軍人ジェースン・ステイサムが、今や特殊工作員並みの活動をしている、ヴィン・ディーゼルやウォーカー以下のメンバーに復讐の攻撃を加えてくる。そこへ米国捜査当局のカート・ラッセルが首を突っ込んできて、男を仕留めたければ、まずはテロリストが拉致したハッカーを連れ戻し、その開発した特殊なハッキング装置を確保せよと言う。その装置があれば男の行方はいつでも把握できるというのだ。拒む理由もない彼らは、アゼルバイジャンの敵基地に空から接近する。
僕が本作で一番気に入った部分はここで、パラシュートで人間ならで車が次々と降りてくるのを僕は初めて観た。この手の新機軸は映画ファンのお楽しみと言うべし。物理的には飛行機から離れた時間差と同じ時間差で着地するのが正しいわけだが、まあ、そういうことは極端に生活実感から離れていない限り重視するには及ばない。
その作戦が見事に成功すると、次は、奪還したハッカー・・・予想に反して美女・・・ナタリー・エマニエルの情報に基づく、アブダビの王子のスーパーカーからその装置を盗む大々的なサスペンス。車が中心となってはいるが「ミッション:・インポッシブル」シリーズを観ているようだ。
最後は装置を横取りしたテロ・グループがステイサムを加えて、彼らとハッカーを仕留めようとする街中での大アクション。
これが勿論クライマックスであるが、よろしくない。大袈裟すぎるのと長すぎるのが寧ろマイナスに働く。ジャスティン・リンから変わった監督ジェームズ・ワンのアクションの見せ方がせわしくて甚だ感心できず、それが長丁場であるが為に益々気になってしまう。カー・アクション描写はそう悪くはないものの、もっときちんと見せるリン監督に比べて、真の意味での迫力で及ばない。格闘では、昨今の映画の例に洩れず、格好だけの劇画的細切れカット処理にかなりげんなりさせられる。アップが多いから一見ダイナミックに見えるも、何をやっているのか正確に解らないというのが実際。
かくして、点数は同じにしたが、トータルで前作に及ばない。
親友二人が別れる幕切れの後、旧作からウォーカー出演場面を抜粋して彼を偲ぶおまけを付け、For Paul(ポールに捧ぐ)という字幕を出してジーンとさせる。
僕もポール・ウォーカーに捧げて一首。名に沿いて 歩けば死なずに 済みしもの と言っても空し 春の夜寒に
この記事へのコメント
先日深夜で『スピード』を観ましたが、地下鉄が暴走して追突するシーンは模型でありました。
10分の1ぐらいの大きさですかね?
CGよりは良いです。
字幕放映でありました。
次はクリストファー・リーブの『スーパーマン』だそうです。
スーパーマンらしいスーパーマンでありましたね。
フジテレビも深夜映画をやりだしましたね。
うれしい限りであります。
早い時間帯では流しにくい映画をやってくれるとありがたいですね。
車のアクションはCGではねえ。
本作の場合は離れ業なので、コンピューターによる補完は仕方ないと思いますが、かなり実写でやっているようですね。
>字幕放映
ゴールデンタイムは吹き替えで良いです(と言っても最近は洋画より邦画が圧倒的に多いのですが)が、深夜くらいは大人向けでお願いしますよ(笑)。
映画館で吹き替えというのは、タイ辺りは当たり前でしたが、僕が映画館に余り行かなくなっているうちに日本でこうなるとはねえ。
最近は3Dで吹き替えをバックアップする事情ができていますが、僕ならオリジナル言語の2Dを選びますね。セリフも演技のうちですから。