映画評「ナイトピープル」
☆☆(4点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・門井肇
ネタバレあり
最近邦画に関しては、「キネマ旬報」で年間ベスト50くらいに入った作品を除けば、短尺の作品を選んで観ている。本作は90分しかない上に、犯罪サスペンスらしいので観てみた。
暴力団と繋がりのある国会議員が二人のヤクザを迎え入れたところで、黒いバイクスーツに身を包んだ二人組強盗が侵入、隠し金二億円を奪い去っていく、というのがプロローグ。
場面変わって、妙齢美人・佐藤江梨子が北村一輝がマスターを務める酒場に現れて雇ってほしいと言う。彼女の評判は周囲に上々だが、ある時現れた男実は左遷された刑事・杉本哲太が「女は国会議員強盗の犯人に片割れである」と告げる。腐れ縁のある小ホテル経営の若村麻由美から女と刑事がつるんでいる証拠を見せられた北村が追及すると、女は「相棒を殺して独り占めした金を刑事が狙っているので殺してほしい」と毒を渡される。
かくして刑事を殺して現金の隠された山中に入った二人が二億円を折半するのかと思いきや、死んだはずの刑事が現れ、刑事とヒロインは北村が彼女の妹を殺したことを突き止める為の芝居であったと打ち明ける。
といった具合に二転三転するコン・ゲームの様相が一応楽しめるわけだが、前半に見られたハードボイルドな映画的ムードがこの狸と狐の化かし合いが続くうちに希薄になってドタバタに変じバカバカしくなっていく。それが刑事とつるんでいるヤクザが山中に現れ、銃撃戦になる辺りから顕著になる。
フランソワ・トリュフォーの「ピアニストを撃て!」(1960年)を思い出させないでもない、この山中での銃撃戦は妙に間が抜けている感じが強く、それが彼らが都市部に逃げた後も延々と続く。
ショット単位で言えば字余りの印象を残しているのである。しかるに、こういう間の抜けた感じであれば全体の描写にオフビート感を加えて進行させれば、コーエン兄弟の諸作のようにとぼけた犯罪劇に仕立て上げられてぐっと楽しめる作品になるのであるが、監督をした門井肇という人にそういうアイデアというか才覚はなかったらしい。
もしそれができれば、商店街の銃撃戦という日本ではありえない風景も、かつての日活アクションのように無国籍アクションとして楽しめただろうに。
最高に笑ったのは以下の流れ。
佐藤江梨子を殺そうと追跡する杉本刑事がホテルの従業員を意味もなく射殺する。「そんなことしているといざという時にまずいことになるよ」と思っていると、案の定、彼女を発見して撃とうとすると弾丸切れで、彼女にやられてしまう。その為の伏線であるとしたら、かの従業員殺しはなかなか秀逸なショット(銃撃だけに)であったわけだが、それを上手く匂わせられていない。惜しい。
狸と狐の化かし合いを西洋風に言うと、コン・ゲームとなる・・・狐の類だけに。
2013年日本映画 監督・門井肇
ネタバレあり
最近邦画に関しては、「キネマ旬報」で年間ベスト50くらいに入った作品を除けば、短尺の作品を選んで観ている。本作は90分しかない上に、犯罪サスペンスらしいので観てみた。
暴力団と繋がりのある国会議員が二人のヤクザを迎え入れたところで、黒いバイクスーツに身を包んだ二人組強盗が侵入、隠し金二億円を奪い去っていく、というのがプロローグ。
場面変わって、妙齢美人・佐藤江梨子が北村一輝がマスターを務める酒場に現れて雇ってほしいと言う。彼女の評判は周囲に上々だが、ある時現れた男実は左遷された刑事・杉本哲太が「女は国会議員強盗の犯人に片割れである」と告げる。腐れ縁のある小ホテル経営の若村麻由美から女と刑事がつるんでいる証拠を見せられた北村が追及すると、女は「相棒を殺して独り占めした金を刑事が狙っているので殺してほしい」と毒を渡される。
かくして刑事を殺して現金の隠された山中に入った二人が二億円を折半するのかと思いきや、死んだはずの刑事が現れ、刑事とヒロインは北村が彼女の妹を殺したことを突き止める為の芝居であったと打ち明ける。
といった具合に二転三転するコン・ゲームの様相が一応楽しめるわけだが、前半に見られたハードボイルドな映画的ムードがこの狸と狐の化かし合いが続くうちに希薄になってドタバタに変じバカバカしくなっていく。それが刑事とつるんでいるヤクザが山中に現れ、銃撃戦になる辺りから顕著になる。
フランソワ・トリュフォーの「ピアニストを撃て!」(1960年)を思い出させないでもない、この山中での銃撃戦は妙に間が抜けている感じが強く、それが彼らが都市部に逃げた後も延々と続く。
ショット単位で言えば字余りの印象を残しているのである。しかるに、こういう間の抜けた感じであれば全体の描写にオフビート感を加えて進行させれば、コーエン兄弟の諸作のようにとぼけた犯罪劇に仕立て上げられてぐっと楽しめる作品になるのであるが、監督をした門井肇という人にそういうアイデアというか才覚はなかったらしい。
もしそれができれば、商店街の銃撃戦という日本ではありえない風景も、かつての日活アクションのように無国籍アクションとして楽しめただろうに。
最高に笑ったのは以下の流れ。
佐藤江梨子を殺そうと追跡する杉本刑事がホテルの従業員を意味もなく射殺する。「そんなことしているといざという時にまずいことになるよ」と思っていると、案の定、彼女を発見して撃とうとすると弾丸切れで、彼女にやられてしまう。その為の伏線であるとしたら、かの従業員殺しはなかなか秀逸なショット(銃撃だけに)であったわけだが、それを上手く匂わせられていない。惜しい。
狸と狐の化かし合いを西洋風に言うと、コン・ゲームとなる・・・狐の類だけに。
この記事へのコメント
途中でイライラして消してしまいました。
あはは。それはそれは^^
当方も、もう少しちゃんとしているかと思って見始めたのですが。