映画評「アンフェア the end」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・佐藤嗣麻子
ネタバレあり

TVシリーズから始まった篠原涼子演ずる雪平夏美ものの劇場版最終作で、映画版の中では一番の出来。と言っても一向に褒めたくなるほどのものではない。

実質的に第二作の後編で、巨悪の実相がつまったUSBメモリーが引き続き物語のカギである。かつてのスパイものなどであれば、これをめぐる争奪戦となるのだが、本作は誰が雪平の味方なのかということを主題に進行する。

即ち、官憲により配達業の父親を死に追い込まれ巨悪に立ち向かおうと彼女に助けを求めてくる青年・津島(永山絢斗)、かつての上司で彼女の父親を殺した犯人と判明する一条(佐藤浩市)、彼女が信頼を置く鑑識の三上(加藤雅也)、検察局のお偉方である武部(AKIRA)がその面々である。
 中盤から小さなどんでん返しを繰り返し、やがて最後の大どんでん返しと続くと説明しただけで、お話の構図は見えてしまうと思うが、僕が一応推しておきたい点は、北欧ミステリーのようなムードがあること。クールなのである。しかし、雪平が意外なほど甘い人物である正体を露呈することで、途中からそのムードが殆ど消え失せてしまい、がっかり。

少し細かい点で気になるのは、逃げ込んだ架空の東欧小国エルドニヤ共和国大使館(地図上指で示されるのは実在するベラルーシ。大使館表記に使われていた文字はキリル文字だが、大使館にかかる国名の最後が主格Яで終わるのはロシア語に準ずるならば間違い。生格Йにならなければならない)の関係者が、館内で撃ち合いをしているのに影も形も見せないこと。見ている最中気になってしまう嘘もしくは不自然さはやはりダメで、がっかりの上塗りをしてくれた。

政治家・官僚は多かれ少なかれ悪(わる)と思っていたら失望することもないが、さすがにここまで日本の官憲は腐ってはいまい。絵空事だから気軽に楽しめるわけである。

本作の永山絢斗は瑛太によく似ている。さすが兄弟。

悪く言っているわけでもないのに、架空の国を使う日本人。使っている地図は本物。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年07月18日 17:12
海外に気を使い過ぎですね。
アメリカやイギリスは平気で使ってますけどね。
オカピー
2016年07月18日 20:15
ねこのひげさん、こんにちは。

北朝鮮はやたらに悪者として出てきますよね。まあ、北朝鮮に関しては日本は、難しい立場ではありますから、同じようにはできないかもしれませんけど。

今日見た作品でも、実在の俳優名がぽんぽん飛び出してくる。日本ではこういうのも余りないですね。

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