映画評「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」
☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ=ドイツ合作映画 監督フランシス・ローレンス
ネタバレあり
アメリカでは大ヒットしたが、日本ではさほどではなかったらしいSFアクション・シリーズの第3作後編、最終作。映画としては第4作なのだが。
キャピトル(まあ官邸ですかな)に捕らわれていた愛するピータ(ジョシュ・ハッチャースン)を救出したものの洗脳されていて危険な状態。これに怒り心頭に発したカットニス(ジェニファー・ローレンス)は独裁者スノウ大統領(ドナルド・サザーランド)を殺そうと、第13地区の同志たちと立ち上がるが、“敵は卑怯な落とし穴”作戦にはまって戦局はなかなか好転しない。しかし、体制側が内戦状態に疲弊する一般国民をキャピトルに隔離しようと図った時レジスタンスが国民犠牲の作戦を敢行したしたことから形成は一気に逆転する。
まあ、そんなお話なのだろうが、第3作目から面倒くさくなってきて集中できず画面を漫然と観ている時間が多い為余り自信がない。それでも、二日間にわたって観た「進撃の巨人」とある意味似たお話でありながら、遥かに上出来なのは分る。かの作品のおかげで相対的に言えば秀作と見なしたくなるくらいだ。
さて、終幕のカットニスの行動について。反体制側のコイン首相(ジュリアン・ムーア)がスノウと五十歩百歩であることをカットニスは感じていたし、処刑前に大統領と会って確信したはずである、「妹を殺したのは首相である」と。だから、処刑場で彼女が取る行動は完全に予想できるわけで、妹の件がなくとも首相が独裁者になるのは解り切っていたので彼女は実行したかもしれない。
本作単独の評価など今更誰も期待していないだろうが、溜め(問い)の部分である前編よりは解答編である本作の方が面白い反面、第2作には大分及ばない。
かくして4年かけて作られた本シリーズもまた「進撃の巨人」同様17世紀から20世紀の近代史を終末論的なアングルからなぞる構成と言いたくなる内容で、「メイズ・ランナー」などこういう若者の閉塞感を基調にしたアイデアの作品が近年目立つ。
しかし、世界的に大作はほぼ“ヤング・アダルトもの”と相場が決まってしまっている昨今の映画環境の方に僕らオールド・ファンはうんざりしている、という現実は問題である。高齢映画ファンは映画を観なくなり、若者は本当の映画ファンにならず“映画も好き”で終わる。“ビデオがラジオスターを殺した”と歌うバグルスの名曲「ラジオスターの悲劇」になぞって言えば、“CGが映画ファンを殺した”のではないか。
“敵は卑怯な落とし穴”が解る人は、アラウンド60。
2015年アメリカ=ドイツ合作映画 監督フランシス・ローレンス
ネタバレあり
アメリカでは大ヒットしたが、日本ではさほどではなかったらしいSFアクション・シリーズの第3作後編、最終作。映画としては第4作なのだが。
キャピトル(まあ官邸ですかな)に捕らわれていた愛するピータ(ジョシュ・ハッチャースン)を救出したものの洗脳されていて危険な状態。これに怒り心頭に発したカットニス(ジェニファー・ローレンス)は独裁者スノウ大統領(ドナルド・サザーランド)を殺そうと、第13地区の同志たちと立ち上がるが、“敵は卑怯な落とし穴”作戦にはまって戦局はなかなか好転しない。しかし、体制側が内戦状態に疲弊する一般国民をキャピトルに隔離しようと図った時レジスタンスが国民犠牲の作戦を敢行したしたことから形成は一気に逆転する。
まあ、そんなお話なのだろうが、第3作目から面倒くさくなってきて集中できず画面を漫然と観ている時間が多い為余り自信がない。それでも、二日間にわたって観た「進撃の巨人」とある意味似たお話でありながら、遥かに上出来なのは分る。かの作品のおかげで相対的に言えば秀作と見なしたくなるくらいだ。
さて、終幕のカットニスの行動について。反体制側のコイン首相(ジュリアン・ムーア)がスノウと五十歩百歩であることをカットニスは感じていたし、処刑前に大統領と会って確信したはずである、「妹を殺したのは首相である」と。だから、処刑場で彼女が取る行動は完全に予想できるわけで、妹の件がなくとも首相が独裁者になるのは解り切っていたので彼女は実行したかもしれない。
本作単独の評価など今更誰も期待していないだろうが、溜め(問い)の部分である前編よりは解答編である本作の方が面白い反面、第2作には大分及ばない。
かくして4年かけて作られた本シリーズもまた「進撃の巨人」同様17世紀から20世紀の近代史を終末論的なアングルからなぞる構成と言いたくなる内容で、「メイズ・ランナー」などこういう若者の閉塞感を基調にしたアイデアの作品が近年目立つ。
しかし、世界的に大作はほぼ“ヤング・アダルトもの”と相場が決まってしまっている昨今の映画環境の方に僕らオールド・ファンはうんざりしている、という現実は問題である。高齢映画ファンは映画を観なくなり、若者は本当の映画ファンにならず“映画も好き”で終わる。“ビデオがラジオスターを殺した”と歌うバグルスの名曲「ラジオスターの悲劇」になぞって言えば、“CGが映画ファンを殺した”のではないか。
“敵は卑怯な落とし穴”が解る人は、アラウンド60。
この記事へのコメント
むしろ、ジジィのほうが行くものだと思うけどね。
中途半端な新しい作品より、知られた古い映画の方が当方のアクセス数が多い傾向がありますよ。
今の作品に興味を持てる老人は、幸せです。わが周囲は観る映画がないと嘆いているオールド・ファンばかり。