映画評「日々ロック」
☆☆★(5点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・入江悠
ネタバレあり
ここ十数年邦画に音楽青春映画が増えている。その中でも実感があったのが入江悠監督「SR サイタマノラッパー」。入江監督としてはそのロック版をこしらえたという印象だが、漫画家・榎屋克優の原作があり、またこの間メジャー映画に進出していることもあって、かの作品におけるセミ・ドキュメンタリーのリアルさからは程遠い。おっと、ストーリーの説明の前に評価に入ってしまいましたな。
上京して高校時代からの仲間二人とパワー・トリオ・ロック・バンドを組む主人公・野村周平は、竹中直人の経営するライブハウスで住み込みで働きながら演奏も披露しているが、一向に上昇する雰囲気がない。好意を寄せているアルバイトの娘も大物ヴィジュアル系バンドのボーカルに横取りされてしまう形。
そんな折、デジタル・ミュージック系アイドル実は竹中の姪・二階堂ふみが泥酔して演奏中に割り込み彼らを愚弄するが、その実彼のコンポーザーとしての実力を感じ、主人公に曲を書いてくれと頼む。
彼女の依頼でやって来たプロデューサー毬谷友子に貶されたことから、結果的にライブハウスが消失、メンバーは各地に散って力仕事に汗を流すことになるが、やがてふみちゃんがガンで闘病中であるとの報道を聞き、東京に急行。他の関係者もみな集まり、彼女が臥せる病院の向かいにあるビルの屋上で雷雨の中彼女の為に書いた曲を披露する。
死病と青春を組み合わせる発想がどうも型通り、ロックに対する考えも固定観念の域を出ていないような気がする。しかし、諦めないことがロック精神なのである、という結論が浮かび上がりそうな幕切れは意図的な甘っちょろさが効果を発揮していてそれなりに見応え、聴き応えがあった。
本作に悪評が目立つのは、多分に野村周平君の大げさなコミカル演技によるところが多いのだろう。しかし、彼としては「愛を積むひと」の無口な少年との対照ぶりが強い印象を残す。
入江監督は群馬好き? また群馬の名前が出てきました。
2015年日本映画 監督・入江悠
ネタバレあり
ここ十数年邦画に音楽青春映画が増えている。その中でも実感があったのが入江悠監督「SR サイタマノラッパー」。入江監督としてはそのロック版をこしらえたという印象だが、漫画家・榎屋克優の原作があり、またこの間メジャー映画に進出していることもあって、かの作品におけるセミ・ドキュメンタリーのリアルさからは程遠い。おっと、ストーリーの説明の前に評価に入ってしまいましたな。
上京して高校時代からの仲間二人とパワー・トリオ・ロック・バンドを組む主人公・野村周平は、竹中直人の経営するライブハウスで住み込みで働きながら演奏も披露しているが、一向に上昇する雰囲気がない。好意を寄せているアルバイトの娘も大物ヴィジュアル系バンドのボーカルに横取りされてしまう形。
そんな折、デジタル・ミュージック系アイドル実は竹中の姪・二階堂ふみが泥酔して演奏中に割り込み彼らを愚弄するが、その実彼のコンポーザーとしての実力を感じ、主人公に曲を書いてくれと頼む。
彼女の依頼でやって来たプロデューサー毬谷友子に貶されたことから、結果的にライブハウスが消失、メンバーは各地に散って力仕事に汗を流すことになるが、やがてふみちゃんがガンで闘病中であるとの報道を聞き、東京に急行。他の関係者もみな集まり、彼女が臥せる病院の向かいにあるビルの屋上で雷雨の中彼女の為に書いた曲を披露する。
死病と青春を組み合わせる発想がどうも型通り、ロックに対する考えも固定観念の域を出ていないような気がする。しかし、諦めないことがロック精神なのである、という結論が浮かび上がりそうな幕切れは意図的な甘っちょろさが効果を発揮していてそれなりに見応え、聴き応えがあった。
本作に悪評が目立つのは、多分に野村周平君の大げさなコミカル演技によるところが多いのだろう。しかし、彼としては「愛を積むひと」の無口な少年との対照ぶりが強い印象を残す。
入江監督は群馬好き? また群馬の名前が出てきました。
この記事へのコメント
群馬は関係ないようですが…ね。
映画を作って見せようと努力するほど貧乏になると嘆いておられましたが・・
まあ、映画だけでなく、自由業というものに所属している90%の人はそうなんですけどね。
入江監督は群馬県境にほど近い深谷市で過ごしているので、結構知っているのかも。
深谷には東芝の工場があり、群馬から勤めている人も多いんですよ。
また、彼は北埼玉トップクラスの進学校・熊谷高校出身ですが、高校に入った当初、同級生が熊谷高校の話をしていたのを思い出します。
>自由業
ゴッホなど、インターネット時代に生きていたら、金持ちだったかも。そういうものがない時代だから描けたと言えばそれまでですけど(笑)