映画評「図書館戦争 THE LAST MISSION」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり
焚書坑儒SF「華氏451」ソフト版日本映画の第二弾。結論から言えば、今回のほうが楽しめた。
パラレル・ワールドの日本では“メディア良化法”なる法律に基づく検閲がまかり通り、その実現の為に暴力的排除も辞さない良化隊と、表現の自由を守るために彼らと対抗する図書隊が戦いを繰り広げている。
その合間に図書隊員のヒロイン榮倉奈々の上官・岡田准一への思慕を絡めているのはアメリカのヤング・アダルトものに近いが、前回より面白く感じたのは、現実の日本と重なる部分が相当透けて見えるからである。【Yahoo!映画】で妙に評判が良いのはロマンス絡みの正義が好感を以って受け止められたと推測するが、それとは全く違う理由でござる。
現自民党政権が政権に批判的なメディアに口を挟み、数の力で強権的に不完全な法律を通する姿を想起させ、それが偶然ではなく、製作者たちが本作をその寓意として作っているように感じたのである。
「図書館の自粛」といった台詞が第2次安倍政権誕生以来目立つ地方自治体の政権への忖度(そんたく)や、昨年以来TV局が大人しくなっている現状と重なってしまう。だから、外国人には単なるSFアクションでしかないが、日本人にしてみればひしひしと迫ってくるものがある。反権力的な表現者は、政権やその思想的支持者と、心の中で血を流しながら戦っているのだろう、本作の銃撃戦は言論での戦いでのメタファーなのだろうと思えて面白いのである。普遍性はあっても、ある意味時局的な作品と言って良いのかもしれない。
前回首を傾げた、書物を巡る闘争と一般市民の平和的日常のギャップもこの続編を見て納得が行った。これも、現実の日本の自由な言論の危機に対する庶民の無関心と重なるものがあるのである。
純粋に映画的な側面では、お話以上に戦闘アクションがなかなか頑張っている。本を散乱させながら交戦する図書館内でのシークエンスなどかなり良い。邦画だからと思考停止的に「迫力がない」と決めつける意見が散見されるが、必ずしもそうは言えない気がする。貶された邦画のVFXが、褒められた洋画のそれを上回るような印象を覚えたケースが何度もあるように、本作の戦闘アクション、擬斗は悪くないと思う。アメリカ映画のようにアクション場面を細切れにして胡麻化さないだけでも立派なものではないか。ただ、暗いところでのアクションが多いなど問題を感じないわけでもない。
原作は有川浩(ありかわ・ひろ)。監督も前回と変わらず、佐藤信介。
“町の図書館”には、窓ガラスに大きく【図書館の自由に関する宣言】が貼られている。第一作を見て以来これが妙に気になる僕である。
2015年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり
焚書坑儒SF「華氏451」ソフト版日本映画の第二弾。結論から言えば、今回のほうが楽しめた。
パラレル・ワールドの日本では“メディア良化法”なる法律に基づく検閲がまかり通り、その実現の為に暴力的排除も辞さない良化隊と、表現の自由を守るために彼らと対抗する図書隊が戦いを繰り広げている。
その合間に図書隊員のヒロイン榮倉奈々の上官・岡田准一への思慕を絡めているのはアメリカのヤング・アダルトものに近いが、前回より面白く感じたのは、現実の日本と重なる部分が相当透けて見えるからである。【Yahoo!映画】で妙に評判が良いのはロマンス絡みの正義が好感を以って受け止められたと推測するが、それとは全く違う理由でござる。
現自民党政権が政権に批判的なメディアに口を挟み、数の力で強権的に不完全な法律を通する姿を想起させ、それが偶然ではなく、製作者たちが本作をその寓意として作っているように感じたのである。
「図書館の自粛」といった台詞が第2次安倍政権誕生以来目立つ地方自治体の政権への忖度(そんたく)や、昨年以来TV局が大人しくなっている現状と重なってしまう。だから、外国人には単なるSFアクションでしかないが、日本人にしてみればひしひしと迫ってくるものがある。反権力的な表現者は、政権やその思想的支持者と、心の中で血を流しながら戦っているのだろう、本作の銃撃戦は言論での戦いでのメタファーなのだろうと思えて面白いのである。普遍性はあっても、ある意味時局的な作品と言って良いのかもしれない。
前回首を傾げた、書物を巡る闘争と一般市民の平和的日常のギャップもこの続編を見て納得が行った。これも、現実の日本の自由な言論の危機に対する庶民の無関心と重なるものがあるのである。
純粋に映画的な側面では、お話以上に戦闘アクションがなかなか頑張っている。本を散乱させながら交戦する図書館内でのシークエンスなどかなり良い。邦画だからと思考停止的に「迫力がない」と決めつける意見が散見されるが、必ずしもそうは言えない気がする。貶された邦画のVFXが、褒められた洋画のそれを上回るような印象を覚えたケースが何度もあるように、本作の戦闘アクション、擬斗は悪くないと思う。アメリカ映画のようにアクション場面を細切れにして胡麻化さないだけでも立派なものではないか。ただ、暗いところでのアクションが多いなど問題を感じないわけでもない。
原作は有川浩(ありかわ・ひろ)。監督も前回と変わらず、佐藤信介。
“町の図書館”には、窓ガラスに大きく【図書館の自由に関する宣言】が貼られている。第一作を見て以来これが妙に気になる僕である。
この記事へのコメント
ご本人は自衛隊もえだそうです。
映画のメッセージは原作とは少し違うかもしれません。
しかし、これからの自衛隊員、大変だなあ。