映画評「レヴェナント:蘇えりし者」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督アレハンドロ・G・イニャリトゥ
ネタバレあり
(追記:これにより映画関係の記事は都合5000となるらしい。この作品で良かったです。)
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が「バードマン」につづいて二年連続でアカデミー監督賞受賞という快挙を遂げた西部劇。
19世紀初め未開の米国(厳密に言えばまだ米国に入っていないだろう)北西部、ヘンリー隊長(ドーナル・グリースン)に率いられる狩猟団は、インディアンに襲われてメンバーを減らしつつ川を下る。
ガイドのグラス(レオナルド・ディカプリオ)が、ポーニー族の妻との間にできた息子ホーク(フォレスト・グッドラック)、慕ってくるジム・ブリージャー(ウィル・ポールター)、荒っぽいハンターのフィッツジェラルド(トム・ハーディー)と共に、チームに随行するが、子連れの灰色熊に襲われて瀕死の重傷を負った為、隊長はフィッツジェラルドとブリージャーに最期の面倒を見させ、死んだ後は埋葬するよう頼んで旅を続ける。
ところが、フィッツジェラルドはグラスを殺そうとし、それを止めようとしたホークを殺してしまう。彼は何も知らないブリージャーを騙してホーク殺しをひた隠しにしグラスを軽く埋めて、隊を追う。
息を吹き返したグラスはもの凄い生命力で瀕死の体を治しながら追跡、ポーニー族の男や隊と因縁のあるアリカラ族の娘との交錯を経て隊に戻ると、いつの間にか隊から姿をくらましたフィッツジェラルドを隊長と共に探す。
1971年に「荒野に生きる」として日本でも紹介された実話の映画化で、開拓時代の有名人ジム・ブリージャーの青春時代が見られるのが本格西部劇ファンにはお楽しみ。「荒野に生きる」はサバイバル映画だったという記憶があるが、こちらはサバイバル+復讐を内容としている。というより、復讐心というモチヴェーションが彼を死なせなかったのである。
お話としては上記以上のものではないが、シンプルさが力強さに繋がったと思う。力強すぎて、主人公を追ううち観客も疲労困憊すると言っても過言ではない。
イニャリトゥは、撮影監督エマニュエル・ルベツキの協力を得て、長回しで彼らの行動を悠然たる自然を背景にダイナミックに捉えている。最近の長回しは臨場感醸成のために行われることが多いようで、本作もその場に臨んでいるような迫力があり正に圧巻。早くもわが2017年度ベスト10における撮影賞最有力候補である。
レオナルド・ディカプリオはどこまでも忍耐する主人公を力演。アカデミー賞会員はこういう大力演に弱いので、主演賞獲得に至る。
ディカプリオは少年時代演技派として活躍したのに、大作「タイタニック」がヒットした故にイメージ先行で非演技派俳優に思われてきたように思う。21世紀に入り役柄が偏ってきた感じもあるが、まずは「おめでとう」。
2015年アメリカ映画 監督アレハンドロ・G・イニャリトゥ
ネタバレあり
(追記:これにより映画関係の記事は都合5000となるらしい。この作品で良かったです。)
アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が「バードマン」につづいて二年連続でアカデミー監督賞受賞という快挙を遂げた西部劇。
19世紀初め未開の米国(厳密に言えばまだ米国に入っていないだろう)北西部、ヘンリー隊長(ドーナル・グリースン)に率いられる狩猟団は、インディアンに襲われてメンバーを減らしつつ川を下る。
ガイドのグラス(レオナルド・ディカプリオ)が、ポーニー族の妻との間にできた息子ホーク(フォレスト・グッドラック)、慕ってくるジム・ブリージャー(ウィル・ポールター)、荒っぽいハンターのフィッツジェラルド(トム・ハーディー)と共に、チームに随行するが、子連れの灰色熊に襲われて瀕死の重傷を負った為、隊長はフィッツジェラルドとブリージャーに最期の面倒を見させ、死んだ後は埋葬するよう頼んで旅を続ける。
ところが、フィッツジェラルドはグラスを殺そうとし、それを止めようとしたホークを殺してしまう。彼は何も知らないブリージャーを騙してホーク殺しをひた隠しにしグラスを軽く埋めて、隊を追う。
息を吹き返したグラスはもの凄い生命力で瀕死の体を治しながら追跡、ポーニー族の男や隊と因縁のあるアリカラ族の娘との交錯を経て隊に戻ると、いつの間にか隊から姿をくらましたフィッツジェラルドを隊長と共に探す。
1971年に「荒野に生きる」として日本でも紹介された実話の映画化で、開拓時代の有名人ジム・ブリージャーの青春時代が見られるのが本格西部劇ファンにはお楽しみ。「荒野に生きる」はサバイバル映画だったという記憶があるが、こちらはサバイバル+復讐を内容としている。というより、復讐心というモチヴェーションが彼を死なせなかったのである。
お話としては上記以上のものではないが、シンプルさが力強さに繋がったと思う。力強すぎて、主人公を追ううち観客も疲労困憊すると言っても過言ではない。
イニャリトゥは、撮影監督エマニュエル・ルベツキの協力を得て、長回しで彼らの行動を悠然たる自然を背景にダイナミックに捉えている。最近の長回しは臨場感醸成のために行われることが多いようで、本作もその場に臨んでいるような迫力があり正に圧巻。早くもわが2017年度ベスト10における撮影賞最有力候補である。
レオナルド・ディカプリオはどこまでも忍耐する主人公を力演。アカデミー賞会員はこういう大力演に弱いので、主演賞獲得に至る。
ディカプリオは少年時代演技派として活躍したのに、大作「タイタニック」がヒットした故にイメージ先行で非演技派俳優に思われてきたように思う。21世紀に入り役柄が偏ってきた感じもあるが、まずは「おめでとう」。
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