映画評「マギー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ヘンリー・ホブスン
ネタバレあり

多勢に無勢若しくは力の差がありすぎて全く興味を呼び起こさないのでゾンビ映画は観ないことにしているが、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演ではあるし、「アイアムアヒーロー」のような拾い物的な楽しめる作品に或いはなっているかもしれないと思って観ることにした。世評と全く逆に、これが大当たりだった。

シュワちゃんは、先妻との娘アビゲイル・ブレスリンが、人を噛むことで感染者を増やしていく謎の奇病を移されてしまったのを知り、家に匿う。現在の妻ジョエリー・リチャードスンとの間にできた子供二人は別のところに避難させ、様子を見ながら三人で過ごす。近隣の住人や彼女の友人の中にも同じような状態の者がいる。シュワちゃんは発症し襲い掛かってきた知り合いの父娘を殺す。
 やがてアビゲイルも発症の兆しを見せたためジョエリーは通報を訴えるが聞き入れてもらえず、家を出て行ってしまう。アビゲイルは父親の苦しみを減らそうと自ら屋根から飛び降りる。

何が面白いかと言って、シュワちゃんが全くアクションをしないという作り方が肩透かしをくらわせて面白いのである。「シュワちゃんを使った意味がない」どころか、大ありではないか。

内容は難病映画のヴァリエーションで、例えば白血病の患者に襲われて白血病になるなんてことはないけれども、安楽死の問題など共通する要素が多く見られるわけである。発症までに時間がかなりかかるところに着想の妙がある。

北欧サスペンス調のトーンを導入して半ば文学的にしたところが、アクション的なゾンビ映画を殆ど面白いと思ったことがない僕には却って楽しめる所以。文学的にしたから良い映画になるわけではなく、大真面目にひねくれた映画を作った点を買うのである。

しかし、右を見ればゾンビ、左を見れば吸血鬼、上からアメコミの映画版、下からは軟弱なYA小説の映画版、といった現在、我々昔からのオーソドックスな映画ファンは何を見たら良いのだ?

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