映画評「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2015年オランダ映画 監督マイク・ファン・ディム
ネタバレあり

何年かに一遍お目にかかるオランダ映画で、20年位前に「キャラクター/孤独な人の肖像」を見たマイク・ファン・ディムの第2作。寡作ですなあ。

40年ほど前幼年時代に父親を失って以来感情を失った大富豪の貴族イェロン・ファン・コーニンブルッヘが、一緒に生きてきた母親を失って死への旅路を決意し、何度も自殺に失敗した後出かけた崖のそばで拾った小物を届けに出かけた葬儀社で、自殺幇助をしてくれることを知り、どう死ぬか解らないサプライズというオプションを選ぶ。普通に生活している中で事故死に見えるように殺してくれるのである。
 棺を選んでいる時に同じ目的をもって訪れた美人ジョルジナ・フェルバーンと出会って意気投合、死を待ちながらデートを重ねるうちに感情が蘇るが、契約は変更できずに葬儀社から襲撃されることになる。

というお話。
 この後どんな風に展開していくかは見てのお楽しみといったところで、僕は葬儀社が殺すふりをして顧客に生への希望をもたらす、といった展開を予想したのだが、全くそうにはならず、ブラック・コメディーに終始。その割にドタバタした感じや嫌味が薄いのが、この監督の持ち味なのか、殊勲と言って良いような気がする。
 貴族的なとぼけた品の良さをよく出したコーニンブルッヘや60年代の女優のようなムードのあるジョルジナが緩衝材的に貢献している。

視覚上のお楽しみは、貴族の住むお城の中や庭園、そして何十台もある車(多くはヴィンテージ性の高い高級車)の数々。画面のレベルも高いが、欧州からは変わり種が多く登場するので、物語としては少々物足りなさを覚えるのは致し方あるまいか。

オランダは安楽死を法律で認めているが、勿論こうした形の自殺幇助が許されているわけではないので、お間違い無きよう。

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