映画評「二ツ星の料理人」

☆☆★(5点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督ジョン・ウェルズ
ネタバレあり

振り返るに、ミステリー映画「料理長(シェフ)殿、ご用心!」(1978年)が料理映画の嚆矢だった感じがしてくるが、料理を素材にした作品が目立つようになるのは日本で「タンポポ」が作られた1980年代半ばくらいからである。本作も何とかその系列に入れられる作品で、シェフたちが喧嘩を繰り広げる様子を見ると冒頭にあげた「料理長殿、ご用心!」を思い出さずにはいられない。

優れた腕を持ちながら完全主義者にありがちな癇症な性格で、酔いに任せて雇い主や仲間たちと疎遠な関係になったシェフのブラッドリー・クーパー。元友人たちが死んだと思っているある日、ロンドンに現れて前の雇い主の息子ダニエル・ブリュールをあの手この手で懐柔させて店をオープンさせる。喧嘩別れした昔の仲間オマール・シーと和解し、シングル・マザーのシエナ・ミラーなど優秀な料理人たちを引き抜くが、なかなか思ったように行かない。
 借金取り、恩を仇で返した恩師の娘、ライバル関係にあるシェフ、ベテラン・セラピストのエマ・トンプスンなどとの様々な交渉を経て、仲間とやっと一体化し始めた頃ミシュランの鑑定人に出す料理でシーが復讐のため裏切り行為を働いて全てがおじゃん。

ところが・・・というお話で、一言で言えば、評価の為に良い料理を作ろうとしていた主人公が、お客が喜ぶ料理を作るという基本の境地に辿り着き、部下たちとも真に一体化する、という型通りのお話。
 「カンパニー・メン」「8月の家族たち」のジョン・ウェルズが監督だから、実にオーソドックスにしっかりと進めて安定感のある展開ぶりだが、特に新味があるという内容でもないので、大いに面白いとは言いにくい。

料理もグルメ映画と言えるほど本格的な見せ方がされていないが、高級料理に縁がない僕はこれくらいのほうが丁度良いかもしれない。

ミシュランならぬオカピーの星は二つ半でした。

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  • 二ツ星の料理人★★★・5

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  • 「二つ星の料理人」

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