映画評「ミニオンズ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2015年アメリカ映画 監督カリル・バルダ、ピエール・コフィン
ネタバレあり
「怪盗グルー」シリーズのスピンオフ作品。
悪党に仕えるのを至上の喜びとする黄色い謎の生き物ミニオン(子分の意味なり)たちは、何と恐竜時代より前に生まれ、次々と変わる親分たちよりたくましく生き延びて、遂に1968年。
ケヴィン、ボブ、スチュワートの三人(?)が新しいボスを探すべくニューヨークに辿り着き、大悪党大会でスカーレット・オーバーキル(声:サンドラ・ブロック)という女強盗と意気投合する。彼女は女王になる夢を持ち、実現するために英国に向かう。三人は彼女に命じられてロンドン塔に侵入し、やがてボブが伝説の聖剣エクスカリバーを抜いた為にエリザベス女王自ら彼に王位を譲り、さらにボブが法律を変えてスカーレットに譲位する。
しかし、悪意もないのに彼女を殺す寸前に追い込んだ三人が彼女の一味に追われる。が、逃れるうちにケヴィンが巨大化し、一味に対峙する。
というナンセンスなお話で、ナンセンスだから意味がある(言葉遊びです)。実際にはかかる映画を理解するセンスと、特にサブカルチャーに関する知識・教養が必要な作品で、楽しめなかった方はそのどちらかか或いは両方が欠けている。従って、若い人が本質的に楽しむのはかなり難しく、好評の方においても「ミニオンが可愛い」で済ます方が多い。
1968年だから米国ではニクソンが大統領候補者で、町はヒッピーたちがラブ&ピースを唱えて闊歩し、英国ではビートルズがアビー・ロードを渡っている。
ビートルズが出てきたので大量に紹介されるポップスについて語りますと、タートルズ「ハッピー・トゥゲザー」、ローリング・ストーンズ「19回目の神経衰弱」、スペンサー・デーヴィス・グループ「アイム・ア・マン」、ドアーズ「ブレイク・オン・スルー」、ジミ・ヘンドリックス「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」、キンクス「ユー・リアリー・ガット・ミー」、ボックス・トップス「あの娘のレター」、ザ・フー「マイ・ジェネレーション」、「モンキーズのテーマ」などが出て来る。殆どが1966~68年に流行った曲で、BGMとして時代を絞って精選されている印象。
エンド・クレジットで流れるのは何とビートルズものほんの「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」で、続いてミニオンたちによるビートルズ「レボリューション」。後者はやはり1968年発表だからかなり徹底しているが、ボブがエリザベス女王から貰ったギターで弾くのはヴァン・ヘイレン「エラプション」で、これだけ未来にタイム・スリップしている。しかし、その後ギターを破壊するのはジミ・ヘンドリックスのパロディー。
大昔に幽閉が多く行われたロンドン塔の模様など音楽以外でもパロディー満載だが、早く流れてしまうので一々記憶している余裕がない。いずれにしても、幅広い知識があると大いに楽しめるはずなので、1960年以前に生まれた人に向いていると思う次第。
サントラを買えば、ロックが一番活気のあった時代が少し勉強できまっせ。
2015年アメリカ映画 監督カリル・バルダ、ピエール・コフィン
ネタバレあり
「怪盗グルー」シリーズのスピンオフ作品。
悪党に仕えるのを至上の喜びとする黄色い謎の生き物ミニオン(子分の意味なり)たちは、何と恐竜時代より前に生まれ、次々と変わる親分たちよりたくましく生き延びて、遂に1968年。
ケヴィン、ボブ、スチュワートの三人(?)が新しいボスを探すべくニューヨークに辿り着き、大悪党大会でスカーレット・オーバーキル(声:サンドラ・ブロック)という女強盗と意気投合する。彼女は女王になる夢を持ち、実現するために英国に向かう。三人は彼女に命じられてロンドン塔に侵入し、やがてボブが伝説の聖剣エクスカリバーを抜いた為にエリザベス女王自ら彼に王位を譲り、さらにボブが法律を変えてスカーレットに譲位する。
しかし、悪意もないのに彼女を殺す寸前に追い込んだ三人が彼女の一味に追われる。が、逃れるうちにケヴィンが巨大化し、一味に対峙する。
というナンセンスなお話で、ナンセンスだから意味がある(言葉遊びです)。実際にはかかる映画を理解するセンスと、特にサブカルチャーに関する知識・教養が必要な作品で、楽しめなかった方はそのどちらかか或いは両方が欠けている。従って、若い人が本質的に楽しむのはかなり難しく、好評の方においても「ミニオンが可愛い」で済ます方が多い。
1968年だから米国ではニクソンが大統領候補者で、町はヒッピーたちがラブ&ピースを唱えて闊歩し、英国ではビートルズがアビー・ロードを渡っている。
ビートルズが出てきたので大量に紹介されるポップスについて語りますと、タートルズ「ハッピー・トゥゲザー」、ローリング・ストーンズ「19回目の神経衰弱」、スペンサー・デーヴィス・グループ「アイム・ア・マン」、ドアーズ「ブレイク・オン・スルー」、ジミ・ヘンドリックス「パープル・ヘイズ(紫のけむり)」、キンクス「ユー・リアリー・ガット・ミー」、ボックス・トップス「あの娘のレター」、ザ・フー「マイ・ジェネレーション」、「モンキーズのテーマ」などが出て来る。殆どが1966~68年に流行った曲で、BGMとして時代を絞って精選されている印象。
エンド・クレジットで流れるのは何とビートルズものほんの「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」で、続いてミニオンたちによるビートルズ「レボリューション」。後者はやはり1968年発表だからかなり徹底しているが、ボブがエリザベス女王から貰ったギターで弾くのはヴァン・ヘイレン「エラプション」で、これだけ未来にタイム・スリップしている。しかし、その後ギターを破壊するのはジミ・ヘンドリックスのパロディー。
大昔に幽閉が多く行われたロンドン塔の模様など音楽以外でもパロディー満載だが、早く流れてしまうので一々記憶している余裕がない。いずれにしても、幅広い知識があると大いに楽しめるはずなので、1960年以前に生まれた人に向いていると思う次第。
サントラを買えば、ロックが一番活気のあった時代が少し勉強できまっせ。
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