映画評「スーサイド・スクワッド」
☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督デーヴィッド・エアー
ネタバレそれほどなし
マーヴェル・コミックスの「アベンジャーズ」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「X-MEN:アポカリプス」に対抗するかのように作られたDCコミックスの戦隊もの。似たようなものを見せられても上手ければ、観ているうちに楽しんでしまうのが人情というものだが、構図的に一番似ている「X-MEN:アポカリプス」に比べて断然つまらない。
超人を含めたスーパーな悪党だけで戦隊を組ませるというアイデアが一応ユニークだが、メンバーを一人一人紹介していく場面の積み重ねにおけるリズムの悪さ、絵のつまらなさ、かなり似ている「X-MEN:アポカリプス」より映画的に段違いに落ちる。
それでもご機嫌なロックンロールに乗って紹介されるので前半は一通り見られるが、話の見通しの悪いこと誠に甚だしい。
この手の作品ではまず敵役がはっきりしないとまずいのに、女性精神分析医ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)の頭を狂わせたジョーカー(ジャレッド・レトー)、戦隊の仲間であった太古から生きる霊的女王エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニュ)とその弟、そして戦隊の生みの親ウォラー女史(ヴィオラ・デイヴィス)という三悪党がいて、全体の構図がはっきりするまで、すっきり見られない。
女史の悪党ぶりが判明するのはかなり後半だから除外できるにしても、女史が彼らを使って何をしたいか碌に解らないうちに戦闘が始まってしまう。エンチャントレスが作戦開始前に抜けて自分たちの悪事を始めるなんてお話にするからこんな混乱が生まれる。一言で言えば設計が悪く、観客のことを殆ど考えていない作劇になっている。女王を最初から悪役に据えておけば見通しが良くなったのである。
全員が悪党だからこの先どうなるか解らないという展開を予想させることでサスペンスを生み出そうとしたのかもしれないが、それには欲をかかずに余分な悪役を配置せずにそこに専念する必要があっただろう。
霊的な存在がいるかと思えば、ウィル・スミスのようにオリンピックに出れば金メダル確実の射撃の名手ではあるが普通の人間に過ぎないメンバーがいたり、戦隊のバランスも良くない。しかも中盤になると、めそめそした全く気勢の上がらない展開になり、それが暗いだけのつまらない画面で進行する。
ヒーロー以上に悪党がめそめそするのは「スパイダーマン」第一シリーズで指摘したようにお話をつまらなくすることだけに貢献する。めそめそ・くよくよ型も、僕が口を酸っぱくして言ってきたせいか(そんなわけはないが)大分改良されているのだが、本作は「スパイダーマン」より悪い。ロックンロールなのかと思ったら演歌の世界だった。
何も知らずに見たところ、蓋を開けてみれば、本作は「バットマンvsスーパーマン」の後日談にして、「バットマン」外伝の趣である。スーパーマン絡みの序盤でがっくり来た。「またアメコミか」てなもんで。
小汚い連中が多いのも印象が悪い。しかも演歌だ(笑)。
2016年アメリカ映画 監督デーヴィッド・エアー
ネタバレそれほどなし
マーヴェル・コミックスの「アベンジャーズ」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「X-MEN:アポカリプス」に対抗するかのように作られたDCコミックスの戦隊もの。似たようなものを見せられても上手ければ、観ているうちに楽しんでしまうのが人情というものだが、構図的に一番似ている「X-MEN:アポカリプス」に比べて断然つまらない。
超人を含めたスーパーな悪党だけで戦隊を組ませるというアイデアが一応ユニークだが、メンバーを一人一人紹介していく場面の積み重ねにおけるリズムの悪さ、絵のつまらなさ、かなり似ている「X-MEN:アポカリプス」より映画的に段違いに落ちる。
それでもご機嫌なロックンロールに乗って紹介されるので前半は一通り見られるが、話の見通しの悪いこと誠に甚だしい。
この手の作品ではまず敵役がはっきりしないとまずいのに、女性精神分析医ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)の頭を狂わせたジョーカー(ジャレッド・レトー)、戦隊の仲間であった太古から生きる霊的女王エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニュ)とその弟、そして戦隊の生みの親ウォラー女史(ヴィオラ・デイヴィス)という三悪党がいて、全体の構図がはっきりするまで、すっきり見られない。
女史の悪党ぶりが判明するのはかなり後半だから除外できるにしても、女史が彼らを使って何をしたいか碌に解らないうちに戦闘が始まってしまう。エンチャントレスが作戦開始前に抜けて自分たちの悪事を始めるなんてお話にするからこんな混乱が生まれる。一言で言えば設計が悪く、観客のことを殆ど考えていない作劇になっている。女王を最初から悪役に据えておけば見通しが良くなったのである。
全員が悪党だからこの先どうなるか解らないという展開を予想させることでサスペンスを生み出そうとしたのかもしれないが、それには欲をかかずに余分な悪役を配置せずにそこに専念する必要があっただろう。
霊的な存在がいるかと思えば、ウィル・スミスのようにオリンピックに出れば金メダル確実の射撃の名手ではあるが普通の人間に過ぎないメンバーがいたり、戦隊のバランスも良くない。しかも中盤になると、めそめそした全く気勢の上がらない展開になり、それが暗いだけのつまらない画面で進行する。
ヒーロー以上に悪党がめそめそするのは「スパイダーマン」第一シリーズで指摘したようにお話をつまらなくすることだけに貢献する。めそめそ・くよくよ型も、僕が口を酸っぱくして言ってきたせいか(そんなわけはないが)大分改良されているのだが、本作は「スパイダーマン」より悪い。ロックンロールなのかと思ったら演歌の世界だった。
何も知らずに見たところ、蓋を開けてみれば、本作は「バットマンvsスーパーマン」の後日談にして、「バットマン」外伝の趣である。スーパーマン絡みの序盤でがっくり来た。「またアメコミか」てなもんで。
小汚い連中が多いのも印象が悪い。しかも演歌だ(笑)。
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