映画評「デュエリスト/決闘者」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1977年イギリス映画 監督リドリー・スコット
ネタバレあり

リドリー・スコット監督のデビュー作で、1979年の「エイリアン」の大ヒットにより、製作から5年後の1982年に本邦でも公開された。1980年代半ばに観て以来の2回目の鑑賞。

1801年ストラスブール、ナポレオン軍の下級将校ハーヴィー・カイテルは決闘好きで、ドイツ系有力者の甥を負傷させる。上司の命令で謹慎を伝達しに来た下級将校キース・キャラダインに「侮辱した」と難癖をつけて決闘を挑んで負傷、これがさらなる逆恨みを生んで、その後15年に渡り決闘を繰り広げることになる。

という実に変わった内容の時代劇で、迷惑を一方的にかけられているキャラダイン氏は彼に一種の友情を感じているらしく、1812年のロシア遠征の時は極寒の中一緒にロシア兵を倒し、ナポレオンの失脚後の1816年には反王政的として逮捕されたカイテルを救出するのである。
 その事実を知ってか知らずか、カイテルは家庭を持ったキャラダイン氏をなおも追いかけ、結局返り討ちに遭う。しかし、彼はカイテルを殺さず、今後は自分に関わるなと言って解放する。

友情めいたものを交え、微笑ましいところがあるのに、ユーモアを少しも交えずに、上品なタッチを貫き通した結果、風格と魅力のある作品になっている。決闘模様も実感があり、時代色醸成も大作並みに本格的。それに貢献しているのが撮影で、アングルなどスコットの感覚の良さが大いに発揮されて秀逸である。

キャラダインとカイテルの一種の好敵手ぶりも良い。

「エイリアン」がなかったら、日本では埋もれていただろうなあ。今でも観た人は多くないでしょうけどね。

この記事へのコメント

2017年08月02日 06:10
おっしゃる通り、エイリアンがなかったら
日の目をみなかった可能性大ですよね。
不思議な展開で引き込まれました。
男の友情の変わり種型映画。
友情=友の情け、ですかね。(^^)
オカピー
2017年08月02日 23:12
vivajijiさん、こんにちは。

>エイリアンがなかったら
言葉は悪いですが、変な内容ですからね。

>不思議な展開
決闘が絡んでいない場面が殆どないという・・・

>男の友情の変わり種型映画
逆説的な友情なのでしょうかねえ。

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